安倍晋三首相はきょうから米国を訪問し、トランプ大統領と首脳会談を行う。
核・ミサイル問題をめぐり、急展開を見せる北朝鮮に対し、日米で足並みをそろえて臨む姿勢をアピールする狙いがある。
3月末に中朝首脳会談が開かれ、今月27日の南北首脳会談、5~6月上旬とされる米朝首脳会談と対話が続く中で、日本が置き去りにされた印象は否めない。
このまま交渉が進めば、東アジアにおける日本の発言力は一層低下しかねない。会談で米国との緊密な連携を確認し、日本の存在感を示す必要がある。
安倍首相は核・ミサイル開発を繰り返す北朝鮮に対し、一貫して国際社会の圧力強化を訴えてきた。信頼関係を強調してきたトランプ氏が米朝会談受け入れを表明したのは驚きだったに違いない。
北朝鮮のミサイル技術は米本土への核攻撃能力を得る一歩手前まで進んだともいわれ、米が対話路線にかじを切ったとの見方もある。トランプ氏の真意は測りかねるが、既に中距離核ミサイルの射程内にある日本の厳しい立場をしっかり米側に伝えてもらいたい。
各国が核放棄を最優先課題とする中で、日本は拉致問題の解決を譲るわけにはいかない。
トランプ氏は昨年11月の訪日時に拉致被害者家族と面会し、北朝鮮による人権問題も重視しているといわれる。首相はトランプ氏に、米朝会談で拉致問題を取り上げるよう要請する考えだ。
一方でトランプ氏は日米の貿易不均衡に強い不満を抱いている。安倍首相との会談では通商問題も重要議題となるだろう。
米国を除く11カ国で発効への準備が進む環太平洋連携協定(TPP)について、トランプ氏は「米国にとって良い内容に変われば加入する」と再交渉の考えを示している。日本も対象になっている鉄鋼やアルミニウムの輸入制限についても、米側は協議する良い機会だと伝えている。
「取引の天才」を自任するトランプ氏である。北朝鮮への対応を取引材料に譲歩を求められると日本側は苦しい。
森友・加計学園や自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)などの問題が再燃し、共同通信の世論調査で安倍内閣の支持率が37.0%と昨年7月の最低に次ぐ低さになった。内政の不振に悩む首相が成果を急ぎ、安易に譲歩したりはしないか気掛かりだ。
北朝鮮が対話姿勢を見せているとはいえ、非核化への交渉の行方はまだ先が見通せない。拙速に対応することなく、日本の立場を主張していくことが重要だ。
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