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NON EDIT TALK : 小室哲哉★桑田佳祐


小室:
こんばんは。小室哲哉です。ええ、相変わらず不慣れな司会ですが、なんと6回目にもうなってしまいました。ちょっとですね、あの、日焼けも若干してるので、みなさん「具合悪いんじゃないですか?」という心配をされてる方も、顔色ちょっと良くなったんじゃないかと思うんで、今日は元気にいきたいと思いますが。今日は僕なんかよりもですね、あの、トークという意味では、何倍もお上手な方をゲストにですね、お招きしてて。そんなことないですか? 桑田佳祐さんです。

桑田:
こんにちは。あ、こんばんは。

小室:
こんばんは。はじめましてではないので。何回かは。

桑田:
そうですね、御無沙汰してます。

小室:
御無沙汰してます。いつもこうやって、いろんなゲストの方をお招きしてて、間接的には雑誌だらテレビだらなんだかんだで、情報は入ってきてるので、あんまりそう、なんか、すごい久し振りって感じはしないんですけど。

桑田:
そうだね。

小室:
なんか近くにもいましたもんね、このあいだライブUFOで。隣ですよね。

桑田:
そうなんですよ、なんかね。擦れ違ってた。毎日やってたんですけどね。

小室:
僕はまあ、出演してなかったんでね。でもけっこう行ってました。どうでした?

桑田:
 ライブUFO?

小室:
懐かしいロックをやってたんですよね?

桑田:
そうそう。あの、まあ60年代とかね、70年代の。僕なんかの本当にその、リアルタイムの曲ばっかりだったからね。俺はすごくやりやすかったんだけどね。学園祭みたいな気持ちで。

小室:
 学園祭みたいな気持ちっていうことですよね。それはね、小林さんも来ていただいたんで、そういう話ししてたんですけど。けっこうなんかロックの歴史みたいなのやるのかな? と思って、大変なことやんのかな?と思ってたんですよ。でも、学園祭ノリだったらわかりますね。

桑田:
そうね。

小室:
僕らもやってましたから。あの、キーボード僕の世代は少なかったんですよ、男のキーボードって。一人あの、学生服の女の子のピアノの人が入ったりしなきゃいけないような、キーボード使う時にはね、男でちゃんとしてるやつは。

桑田:
ああ、ウチと一緒だじゃあ。ウチのバンドと。

小室:
あ、そういえばそうですね。

桑田:
キーボードね、男で弾けるやつは、ちょっといなかったですからね。ですからやっぱりちょっとその、音楽的な教育をちょっと受けた女子なんですね、俺なんかはね。

小室:
ちょっとハモりもできたりとかして。

桑田:
そうそうそう。

小室:
まさにサザン・オール・スターズですね。

桑田:
まさにそうなんですよ。

小室:
僕はだから、なんでも一応やらされてたんで、その時代になんかいろんなね、ジャンルは勉強できたんですよ。コピーさせられたから。だからね、サザン・オール・スターズはね、ギリギリでしたけど。その前とかはツイストとかはやらされましたよ、僕。

桑田:
世良のところ?

小室:
いや、アマチュアの学生のバンドのツイストをコピーするキーボードやってました。チャーさんとかね。原田真二君とかあそこらへんのは。

桑田:
じゃあ、同じ世代ですね、じゃあ。

小室:
それはべつにプロとしてではなくて、アマチュアのバンドのバックとかでやったりとかもしてたし。あとはあれですね、ディスコバンドをやってましたから。コモドアーズとかマシンガンとか、シンセサイザーないとダメですよね? ああいうのやってましたし。それからあとは、ディープ・パープルからマウンテンから。

桑田:
じゃあ、本当にこだわりなく。

小室:
全部、オールマン(・ブラザーズ・バンド)まで。

桑田:
そこまでやったの? マシンガンからオールマンまで? それはすごいな。

小室:
学園祭はもう全部。スタジオミュージシャン並みだなと思いましたもん、あの時。

桑田:
まさにそうだもんね。学園祭ってそういうもんだもんね。もう百花繚乱だもんね。もう出るバンド出るバンドが、ぜんぜん脈絡がなく。 

小室:
そう、だからその頃は楽しかったんで、わかりますね、その雰囲気はね。

桑田:
そうなの。だからそうやって割り切るっていうかあの、納得してね、学園祭だから気楽にカバーとかいっぱいやってると、文句いわれるかもしれないけど、まあ学園祭だというふうに割り切ってやったら、楽しかったですけどね。桜井君てあのミス・チルの彼なんかはね、やっぱり若いんだよね。

小室:
僕より10こ下ぐらいかな?もっと下かもしれないですね。

桑田:
え? 何年?

小室:
僕、昭和33年11月ですね。

桑田:
あ、そうですか。僕はね、31年の2月なんですけどね。桜井君は15下ですからね、俺よか。

小室:
15下か。ったら俺と13? 一回り違うってこと?

桑田:
そうそう。

小室:
一回り? 戌年かどうか、聞いといてくれます? 僕、戌年なんで。そしたら一回りかもしれないね。

桑田:
だからね、やっぱり違うんだよね、あの、なんだろ? 音楽に対するそのつき合い方っていうのかな? だからその、今、小室さんがいったみたいにその、なんでも貪欲にこう、ほら、節操なくとも言うんだろうけど、僕らが学生の時って。あの、なんでも喰っちゃったっていうね、感じともちょっとまた、人によるんだろうけど、違うねやっぱ。

小室:
いや、節操はなかったとさ思いますね。聴くジャンルに関しては。一日に何枚も違うのを聴ってことはなくて、1ヶ月とか3ヶ月ぐらい妙にハマっちゃってたんですよ、それに。

桑田:
もうずっとキーボード? 

小室:
ずっとキーボードです。中学の時にギターやってたんですけど、高校、早稲田実業で、新宿の学校だったんですけど、けっこういろんなとこから集まってきてて、うまい人多かったんですよ。で、僕はそれまで自分の地元の公立の中学校だったんで、やっぱとってもかなわなかったですね。で、キーボードがいなかったんで、で、やったんですけど。

桑田:
それあれだね、プログレ・バンドってやっぱり、その、僕ら高校の終わりから、大学の初めぐらいは、やっぱりその、キーボード弾ける、その、なんていうの? すごいキーボードの教祖みたいなヤツが必ずいてさ、学年に一人二人。で、やっぱりE.L.Pとかね。

小室:
やってましたね。

桑田:
そのディスコとかがなんか流行る前だけど、とんでもないバンド。またディープ・パープルね、あと。

小室:
E.L.Pとかイエスとかディープ・パープルも。ディープ・パープルはコピーできたんだけど、やっぱE.L.Pぐらいになるとテクニックがムリだったね。僕あの、ピアノとか習ってないから。

桑田:
あ、そうなの? それはちょっと意外ですね。

小室:
いっさいね、耳コピーだけだったんですよ。

桑田:
あ、そうなんですか。

小室:
だから、やってないんで、さすがに無理だね、あそこらへんはね。けっこうだから、意外、けっこうじゃないですね。あの、意外と、どんな人ともジャンルとしては話はできるんですよ。

桑田:
すごいね、それはね。

小室:
そこそこ聴いてるんで。だからジャズならジャズでも多少は話できるし。

桑田:
じゃあ、けっこう深くそれぞれのジャンルをやっぱり?

小室:
もう一時期はグァーッとのめり込んで、かなり深いとこまで入って、で、一応なんか卒業っていうか、とりあえずそれはOKって感じで聴いてましたね。一時期ライターになろうかなとか思ったこともあった時もあったし。

桑田:
ライターに?

小室:
高校の時ぐらい。あまりやっぱり、バンドでギターのうまい人とか、歌のうまい人とか、あとコンテストでみんな優勝したりとか、そういう人多かったんですよ。で、自分でもちょっと、もしかしたら無理かもしれない、と思った瞬間もあったんで、なんかそんなこと思ってましたね。

桑田:
へぇー。

小室:
ミニコミ作ってたりしてたんで、なんかそういう。

桑田:
へぇ、それはまた意外ですね。ライターになろうと思ったの。

小室:
その時なんか書くのも書きたかったりしてね。まあ、ずいぶん前の話ですが。僕の話ししてもしょうがないんで。あの、当然なんですけども、ずっと自分もプロになっても、プロになる前から、プロになろうとした時から、全部の時期にサザン・オール・スターズって必ずやっぱりいたんですよ、存在として自分の中で。で、デビューの時はあの、隣のスタジオでサザンのレコーディングをしてたりとか、そういう時もありましたし。

桑田:
え、そんなことあった?

小室:
あったんですよ。藤井君とかいて。

桑田:
あ、そうだ。はいはいはい。

小室:
僕たちからすると、藤井君もすごいスーパー・マニュピレーターだったわけで、その時期に。それでサザンの今度やってるっていうんで、なんかその時TMネットワーク面白いねって、呼ばれたりして。まだデビューしてなかったんですけどね、その時は。どの頃かわかんないんですけど。

桑田:
どっかでクロスしてんだね。

小室:
かなりいろんなとこで会って、で、多分すごく「ああ、わかる」って言ってもらえると思うんですけど、「カマクラ」ってアルバムが衝撃的だったんですよ、僕にとって。

桑田:
ああ、そうですか。

小室:
そんなに思いません?

桑田:
いやいやいや、恥ずかしいなぁと思って。

小室:
あれってけっこうハイテクなアルバムじゃない。もう、テクノロジーを駆使したアルバムで。

桑田:
いや、お恥ずかしいですけどね。

小室:
サンプリングとかね、そういうのが入ってて。「あ、サザン・オール・スターズってこういう方向にいくのかな?」って、あの時思って。で、「あ、これは参考になるな」と思って、ずいぶん聴いたんですけど、あのアルバムは。

桑田:
なんか恥ずかしいですけどね。

小室:
恥ずかしいですか?

桑田:
いや、あの頃はなんか、前向きではあったんだけど、なんかほら、とにかくほら、シンセとかね、よく知らないじゃん、使い方とか僕らはね。それで、そのマニュピレーターとかそういう存在も、本当、初めて知ったような感じでね。なんかその、いろんな意味でいろんなことができるから、だから、こういうふうにこう、実験みたいなこと、今考えたらね、実験っていってもその、節操なくいろんなことやった感じがするんだけどね、今聴くとちょっと恥ずかしいって思うんですけどね。

小室:
ああ、僕も最近聴いたことはないですけどね、さすがにね。いや、あの時はでもね、すごく画期的に聞こえたんだよね。で、それもあの、ちゃんとしたセールスの中で、セールスを考えた中での実験だったと思うから、いいバランスだと思ったんですよ。これは、こういうことやれるのはサザンしかいないなと思ってたし、マーケットを考えてもね。だからすごい羨ましかったし、その時とかはね、そういうので。だから、何箇所かポイントで、ずっと、あの、べつにファンをやってたわけではないので、自分が自然な立場において、で、入ってくる時、やっぱインパクトがある時なんですよ。桑田さんとかがね。だから何点かね、その、ポイントってあるんですけどね。だからまあ、そのあいだも、いくつかあるんですけど、やっぱり、その後で大きかったのは「真夏の果実」とかの、あのパワーのね、曲のパワーっていうのを、すごく思い知ったんですよ、あの時。あの、サザン・オール・スターズという、もう確実になんかパブリック・イメージが付いちゃってる一つのものがあって、で、桑田佳祐というのもパブリック・イメージが一つすごいあって、で、あらゆるパブリック・イメージがあるにも係らず、曲だけはすごく新しいなんかイメージで、ぜんぜん違うとこから僕には入ってきた感じだったんですよ、あの時。声ももちろん桑田さんの声だし、原さんの声も一緒だし、全部一緒なんですけどね。あの時あらためて、楽曲の重さをすごい感じたんですよ。で、よくチャートとかも僕、見ますから。で、毎週毎週「まだ入ってるよ、こんなに」とかずっと言ってましたよ、「これ、曲すげぇんだなぁ」って言ってて思いましたね。

桑田:
あの時もね、あの、こう、映画を作ってたんですよ。

小室:
すっごい労力でやってたんじゃないですか?

桑田:
そうそう。そういうなんかこう、「カマクラ」もそうかもしれないけど、混乱した状況とかね、単純に忙しいとかね、いうなかでこう、そういうのってこう、わりとスルッと出てくる、なんていうんだろう? すごくゆとりがあるなか、時間的に、ゆとりばっかりあっても、なかなかできないんだなぁと思いましたけどね、あん時は。

小室:
そうなのかもしれないですね。なんかだから、一般的にすごくみんなが知ってて、みんなカラオケで歌うサザンの曲っていう、まあもちろんそれはそれで僕もわかってるんですけど、やっぱり見方がちょっと違うと思ってるんですよ。自分のなかで桑田さんのこと見てるとこって。だから多分、視点が自分なりに見てたとこ、今まであったなぁって思ってて。

桑田:
そうですか。見られてるんだ。

小室:
一応、見てますね。

桑田:
マズいな。それは。

小室:
逆もあるかもしれないですけど。けっこうやっぱり、みんな見たり、読んだり、お互いにしてくれてるっていうか、あると思うんですけどね。

桑田:
そうね、じゃあそれやっぱりなんていうの? 雑誌、音楽雑誌とか、音楽雑誌以外でも、その、やっぱそういうのチェックする? テレビとか。

小室:
チェックっていうか、あの、気にしてじゃないんだけど。

桑田:
ああ、そうか。

小室:
自然と、ボーッとハマってますね。だから、雑誌とかパラパラしてんだけど、なんかずっと真剣に読んでたら、例えば桑田さんのインタビューだったりとかっていうのは、自然に。多分、もともと音楽ファンから入ってるから、もともと音楽の記事があるとことかは、立ち読みでも、止まって見ちゃってたほうなんですよ。あの、例えば週プレとかでも、音楽のページ、調べちゃう癖があったりとかっていうのはあったんで。だから今でも、敢えてチェックっていうんじゃないんだけど、見ちゃいますね。

桑田:
俺らはね、なんか僕はね、なんていうのかな? 敢えて見ないようにする時があるんですよね。あの、情報が入り過ぎちゃってね、なんかこう、なんていうんだろう? 揺れちゃうっていうかなんかね。例えばレコーディングしてる時とか、曲に集中してる時とかね、あんまりこう、テレビとか雑誌とかもちろん好きなんだけどね、好き過ぎちゃってね、影響受けちゃうんだよ。なんかいろいろ、その、人のコメントとか。

小室:
ああ、なるほど。詞とかにそういうの入っちゃったりします? 

桑田:
そうなんですよね。だから普段そういう雑誌だとかっていうことが、本当、テレビだとかって好きでね。多分そっからじゃない。そっからだけなんか、自分はその、情報をね、食べてるっていうかね。それだけの人間じゃないかなと思うんだけど。だから、影響受け過ぎちゃって、時々やめるっていう。怖くなっちゃて。

小室:
なるほどね。俺なんてもう、入れちゃいますから、ガンガンね。だからスープみたいな、ラーメンとかの。で、ちょこっとこう、誰もわからないんだけど、なんか入れとくと、もしかしたら味が自分の中ではね、一味違うようになるかなとかって、もうどんどん気にしないで入れちゃってるんですけどね。

桑田:
なんかこう、あれじゃない? けっこう太っ腹な感じじゃない? もしかすると性格は。そうでもない? 

小室:
自分ではわかんないですね、それは。あまりね、あの、そうですね、曲とかに関しては、もったいないとか、そういう一曲に対しての重みはないかもしれないです。で、もう、作っていっちゃってから「あ、いっちゃった」っていって、もうけっこう諦められますね。いっちゃったっていうのは、例えば人に書いた曲とか、そういうので。

桑田:
あるポイントはね。

小室:
でも、あんまり。

桑田:
多分その、すごくこう、明確にちゃんとあの、なんていうかな? 音楽のその、作る音楽の方向性とか、明確にできる人だからだと思うんだけど。俺なんかはさ、音楽でもね、クヨクヨクヨクヨしてるほうでね。

小室:
そうですか? 

桑田:
作りながら、意外と。まあ、結果はどうあれね。

小室:
まあ、これもイメージだけど、やっぱり多産型に見えます。

桑田:
多産型?あ、ちょっと違うな、それは。ぜんぜん難産だね。

小室:
難産ですか。こう、すごくやっぱりアコースティック・ギターをこう、持ってる絵っていうのがね、想像できるでしょ?

桑田:
ああ、そうか。

小室:
あの、炬燵だろうが、ソファだろうが、庭だろうが、ジャーンて。桑田さん歌えばもうそれ曲になるから、一つのなんか、そういうイメージがなんかできちゃうんですよ、やっぱり。だから平気でこう、やっぱり一日一曲ぐらいボンボン作れんじゃないかなとか。

桑田:
そういうのがいいよね。そうだったら、本当に。そうありたいんだけどね。

小室:
それでね、なんかストックがあって、で、それでどんどんどんどん、こっちのがいいやいいやっていうふうに、ボンボン決めてくのかなぁとか思ってたんだけど。   

桑田:
ああ、僕はねあの、逆でね、その、年に例えばLPを作るとするでしょ。12曲入るとしたら、12曲しか作んない男なんですよ。

小室:
本当? そうなんですか? じゃあ、詞なんかももうやっぱり、そんなに僕たちが苦しむのと同じように、一曲のためにひたすら考えて?

桑田:
もう、ひたすら考えてですね、もうぜんぜんその、アイデアが浮かんでこないで、ひたすら考えたあげくまた、海、空、太陽になってしまったりとか、そういうとこもあるんですけどね。悩むよね、やっぱりね。

小室:
あ、でもそれは、一つのマジックですね。悩んでる詞には見えない。こう、「始まりました」っていってバァーッて書くなり、歌うなりして、「はい、おしまい」っていうように見えますよね、詞がね。

桑田:
 ああ。

小室:
もちろんそこの中に、よく見てけば「これは後から作ったんじゃないか?」とかってのは、あるのかもしれないけど、とりあえず聞き手には、そこまで難しいことは考えさせないですね。

桑田:
あ、そうだよな。難しいことは言ってないから。それであの、僕なんかやっぱりこう、小室さんもそうだろうけど、あの、歌謡曲のね、昭和40年代と50年代のあの、歌謡曲のそのフレーズみたいなものがその、日本語としては、なんかこう、頭の中から抜けないから。なんていうか、そういう歌謡曲が、あの、人が使ってた、なんていうんだろ? その歌謡曲の歌手が歌った流行歌みたいなね、古い言葉だけど、それのなんかね、フレーズみたいなのが、その、それをなんか思い出したりね。呼び起こしたりするのに、時間がかかるのかもしれない。

小室:
あ、それは僕は最近、なんか少しわかるようになってきたとこですね。俺なんかそういうのは今まで、敢えて拒絶してたとこがあるから。自分では原体験はあるんだけど、「それとは違うんだ」っていうところがあって、詞なんかはワザとなんか、コネくりまわして書くとことかあったから。最近、前、いいと思ったのは、そのままいいんじゃないかと、思えるようにはなってきてるんですけどね。

桑田:
本当、でも歌詞って、当たり前だけどその、人となりが出ますよね、歌詞とかっていうその。

小室:
出ますよね。

桑田:
自分が本当にその、けっこうその、時間かけて緻密にやるところもあるんだけど、アバウトなとこ思いっきりアバウトだからね。

小室:
じゃああのやっぱり、自分で「そにな重いこと言ってないよ」って思っても、捉え方が違うふうに取られることってあります?

桑田:
ありますね。だからそれはまた、嬉しいことでもあるんだけど、まあ、人のその反応とかね、まあ、ファンの子だとか、マスコミの人だとかってのは、「これは深い」と言われたりするっていうのは、確かに深そうに見せたりするマジックも、あるのかもしれないけど。そんなに人間、深くないですからね。

小室:
僕たちは、基本的にはね、ミュージシャンですからね。

桑田:
そうそうそう。

小室:
そこまで政治のことまで、そんな毎日考えてないですよね。

桑田:
やっぱりその、音楽とか、声とか、楽器とか、リズムとかね、それがあった上でのなんかなんていうの? 言葉づかいだったりするでしょ?

小室:
そうですよね。あの、なんとなく、一年にこれ、っていうような動きをしてるんですか?今年もいよいよっていう感じ?

桑田:
結果的にはね、今年一年っていうような、括って考えちゃうみたいになっちゃいましたね、結果的にはね。本当はそれじゃいけないんだろうけどね。

小室:
なんかキレイにお休みっていう感じになりますよね? それはソロとあっちっていうのが、あるからかもしれないけど。サザン・オール・スターズっていうと、こうバンッとあって、お休みしてて、バンッとあってっていうふうなね。

桑田:
そうそうそう。ま、その間ね、メンバーそれぞれソロやったりとかいう感じだから、休んでは、ぜんぜん休めないんだけど。

小室:
桑田さんは結局ずっと動いてんじゃないですか、そうしたら。

桑田:
そうね、だからその、自分のソロのプロジェクトとか、サザンを、行ったり来たりするとね、すごくなんていうか、刺激があるしね。楽みたいな。それを一回味わっちゃったからね。まあ、本当はね、もっとこれからはサザンの活動をね、やるように望まれてるんだけどね、外部からは。

小室:
とりあえずでも、いよいよ動き出すんですよね? 今年もまた。

桑田:
そうなんですよ。まあ、夏のイベントがちょっとね。あの、横浜でちよっと、でかいコンサートやろうっていう。サザンで野外っていうのは、ずっとやってなかったからね。それとかまあ、あとはシングルとかね、ちょっと今、最近、一瞬売りにかかってるという状況なんだけどね。

小室:
サザン・オール・スターズの「売りに」っていうのは、この番組もそうなんですけどね、いわゆるテレビっていうものに対して、すごくやっぱり苦手な人っていうのがいて、使い方っていうのがね、みんな敢えて使わないっていうか、とかある人も多いと思うんですよ。桑田さんとかサザンの使い方って、テレビから始まったようなところあって、まあ多分、日本のロックということにしたら、うまいほうだと思うんですよ。テレビの使い方とか。利用できてきたって思いますけどね。だから売りにかかるっていうことは、イコールやっぱり露出っていうのもあるんですか? やっぱりその、露出をするってことイコールってとこもありますかね。

桑田:
うん。

小室:
それとも、もしもその、いわゆるセールス的だったり、なんか状況さえよければ、一切そういういわゆるメディアに対して、なにもやらなくてもいいのかっていうのと、あと、現象的にね、やっぱりこう、顔が出たりサザン・オール・スターズっていうのが、氾濫してることがやっぱりそういう、一つ売りになってる?

桑田:
そうね、だから、ぼくらの場合はその、現象面っていうかね、いうのもその、大事なんじゃないかなっていうか、サザンっていうのはそうやって多分、期待されてるだろうし、やっぱりその、テレビから出てきたっていうのも、すごくね、あるし。その、とにかくその、活動してるところ、なんか元気なところをね、なんかやっぱりこう、ま、テレビってすごくイージーな形だと思うんだけど、そういうところでやっぱり、出していくみたいなのが、まあ、似合わなかないんじゃないかなっていうかね、サザンなんかはね。

小室:
すごい似合ってますよね。やっぱり、ステージなり何なりの絵がね、バァーッと出たりするとね。今のまさにそれでね、元気な感じはすごいしますしね。

桑田:
いや、本当はこういう言い方嫌なんだけどね。テレビとかっていうのは。うまくいきゃいいんだけど、なかなかこう、特に最近こう、テレビってやっぱりなんていうかな? 僕なんかがデビューした頃のその、歌番組っていうのとまたちょっとこう、ちょっと重心が違うでしょ? で、またみんなも、音楽ファンっていうのもすごくもう、価値観いっぱいあるから、その、僕らが出てきた時の、出てきて数年のなんかこう、その、価値観の数が少なかった時とは、もうぜんぜん違うなぁと思うんで。だから最近、余計また怖くなってきたっていうかね。

小室:
ああ、それはわかりますね。なんかね。

桑田:
わかります?

小室:
わかります。僕もこんな番組やってますけどね、やっぱ不安ですもんね。いろんな価値観持ってるから、「はい、これが音楽番組で、これから提供したものは、いいものですよ」と、「だからみんなどうぞ」って言っても、それが果たして10人中何人に、なんか、認知できるかっていったら、ぜんぜん今、多種多様で、10人が10人違いますからね。どこに届くんだろう?っていう心配あるし、毎回不安でやってるんですけどね。そこらへんは。

桑田:
そうなんですよ。だからその、「絶対これでよかった」ってことが、なんか、さっき売りにはいってるっていったけど、その、売りにはいる時緊張するんだけど、すごく。取材やったりね、いろんなことすんだけど。「これで絶対いいのだ」っていうね、あの、なんていうかな? 目安がだんだんなくなってきちゃったっていうかね。「これさえやってりゃ絶対大丈夫」っていうのがね。それでその、例えば一つのステージを見ても、まあ、映画でもなんでもいいんだけど、見てもやっぱり、みんな最近の人って言うじゃない? いろんなことを。それぞれが自分のその、価値観の中でも、いろんな意見持ってんじゃないですか。だからなかなかこう、それがいい時代の証しなんだろうけど、なかなか一本化はできないよね。

小室:
できないですよね。

桑田:
そのへんをちょっと、「これでいいのだ」って思っちゃうと、まあ、どんどん辛い時代になってきたなぁ、という感じがするんですけどね。

小室:
これ、でもあの一般的な立場からの、素材の豊富さとしては、やっぱサザン・オール・スターズっていうのは、なくてはならない素材としてはね、必要だと思うんですよ。だから、その役目はきっと桑田さんやんなきゃいけないと思うし、いろいろこう、なんていうんですか? 品物があると。そうした時のサザン・オール・スターズっていう物のイメージっていうかブランドみたいなものは、ないと寂しいと思いますしね。そこは作んなきゃいけないし、それはそれでやんなきゃいけないし、全体に対して、桑田さん考えていかなきゃいけないと思うから、やっぱ長くパブリック・イメージって言ってますけど、を持って。一つしっかり持ってるアーティストの人の場合ね、やっぱ両方のこと考えるのって、すごい大変だなって思うんですけどね。

桑田:
ま、そのパブリック・イメージみたいなのも、なんか計算通りもいかないしね。で、大体過去のパブリック・イメージって、昨日のパブリック・イメージっていうのは、本当に反省に値することばっかりでね。なんかね。 

小室:
ああ、そうですか。

桑田:
ま、音楽ってほら、やり直しがきくから。なんかその、いいんですけどね。新曲出すとまあ「まあ今までのことは、なかったことにしよう」みたいな。水に流せるんですけどね。なんかこう、テレビなんか出てる、その自分たちとかって見てても、やっぱり普段の自分たちじゃないしね、なんか。なんていうのおかしいけど。

小室:
まあ、そうですよね、それはね。

桑田:
リハーサルやってる時が、一番絶好調なんですけどね。そこでカメラ回してくれるとね。

小室:
あ、テレビとかでも?

桑田:
そうなんだ。だいぶ角が取れて、こなれてきちゃって。で、テレビ局入って、リハーサル入るでしょ。音合わせとかさ。一番絶好調なのは、ラン・スルーとかそういう時なんだよね。それですっかりいい気持ちになって、本番に入るとね、なんかだいぶテンション下がっちゃうけど、難しいですよね。

小室:
難しいですよね。人の都合に合わせなきゃいけなかからね。テレビ局のね。それはすごく思います、僕も。まあ、こういう番組とかは、本番だけだからいいんですけどね。

桑田:
そうそうそう。

小室:
あの、さっきのその、「あ、こうやってしまった」とかいうのでね。で、例えば「エロチカ7」っていうタイトルがあって、ああいうのとかは、桑田さんの中ではどうなんですか? OKなんですか? あれはあれで、あの時代のあそこには、あれが必要だったっていう、そんなに深くもない? 

桑田:
深くはないんですけどね、たまたまあの時はあの、曲ができてね。で、あの、歌詞、メロディが2小節できなかった、サビのケツのとこが。2小節ずっと開けといて、「どうしようかな?」って。

小室:
ああ、あそこですね?♪チヤッチャチャッチャーチャチャ~ってとこですね、最後の。

桑田:
そうそう。それでまあ、要するにこう、一緒にレコーディングしてるマニュピレーターとかミキサーとかみんな、その2小節ないから、なんていうの? そのなかなか、しっくりいってないんですよ、なんか。

小室:
仮かなんかで?

桑田:
仮で歌ってて。で、メロディができてない。そんで、火事場の馬鹿力的にね、なんかこう、その、たまたまその、ちょっと古いエロティックとかっていう言葉よりも、エロチカとかあの、少しちょっと古のものがする言葉みたいなのを、ちょっと気にしてた時期だったんで、たまたまこう、出てきたっていう。ほとんどウケ狙いなんですよ、その、身内のまずは。で、身内がこうまあ、振り返るとブースのとこで、転げて笑ってるんで、「しめた」と思うみたいな。

小室:
なるほどね。あ、そうか。桑田さんの場合はブースじゃなくて、歌ってみてっていう感じですもんね。こう書いてこうじゃないですね?

桑田:
そうじゃないですね。 

小室:
なんか想像つきますね。その絵はね。                   

桑田:
そうなんだ。

小室:
今回のシングルもじゃあ、多少そういうのに近いとこもあるんですか?

桑田:
今回のはね、こういうタイトルにはしたくなかったんですけどね。

小室:
したくなかったんですか?

桑田:
失敗したなと思ってるんですけどね。

小室:
もう失敗しちゃったんですか? まだ始まったばっかですよね?

桑田:
まだ始まって間もないんですけどね、もう反省に入ってるという。

小室:
反省にもう入っちゃって?

桑田:
そうなんですけどね。まあ、あの、しょうがないみたいなこう、その、譜面に書いてこうじゃないから。自分でそのテープ・レコーダー相手にして、ギターで曲作ってるでしょ? それでなんかこう、「なんとかのGスポット」とかなんか出てきちゃったんですよ。それで一回その、仮歌でこう発したものってね、なかなか次にね、変えてみたところでね、成功例があんまりないみたいでね。それで一応『マンピーのG★スポット』っていうタイトルに《仮》っていうふうにしてたんだけど、よくないっていうんですよ、やっぱり。これは女の子買えないし、「確かにそうだなぁ」と思って、ずーっとタイトルを考えて、考えて、2週間ぐらい。結局なにも出てこなかった。で、これになっちゃったっていうね。

小室:
なるほど。

桑田:
そうなんですよ。

小室:
その、結局それにしたっていうのは、すごいわかりますけどね。僕もたくさんありますから。

桑田:
ある?

小室:
あの、なんか、これにしたっていう説明を言えないような説明も、たくさんあるんで。まあ、秘密にしといて。僕の場合プロデュースってことの言葉で「これです」って言い切れちゃうとこあるんで、内情は説明しないまま出しちゃうことも多いですけどね。

桑田:
それはいいですね。

小室:
今の話みたいに、その《仮》でたまたましといたものだとしても、「もうこれ、もともと決めてた」とか言えるんで。そこらへんは格好つけはできるんですけど。   

桑田:
格好つくよね。

小室:
そういうのはあるんで、よくわかりますけどね。

桑田:
じゃあ、あれだ? レコーディングやってて、いろんな人と、いろんな人プロデュースしてて、その、なんかこう、レコーディング進行させてく中でこう、全部あの、なんていうの? 周りのスタッフにわかりやすいように、ま、本人とかにもわかりやすくその、一時一句こう、剥いでいっちゃうほう? わりとタメるほう? 

小室:
いや、タメるほうですね。だからみんな、不安なタイプです。周りの人が。

桑田:
「じつは」と言っちゃうとなんかね、壊れてしまうようななんか、あるっていうのわかるな。

小室:
であんまりなんか、プロデューサー然としてたとして、ミュージシャンだから、昨日こう思っても、今日こう思うかもしんないし、またこうって変わるんですよね。それでいちいち「やっぱこうする、ああする。やっぱやめようと思う」とか言うと「大丈夫なのかな? これ、この曲いけます?」っていう感じになっちうようなところもあるんで、我慢してタメとくこともありますね。

桑田:
でも言っちゃう人もいるんだよね。やっぱり全部こう、「これ売れるよ」とかなんか本人が言っちゃう場合も。

小室:
そうですね。そういう場合、多少はなんかこう、ある程度説得するって意味ではね、言うこともありますけど。

桑田:
そうそう。バランスがね、難しいんですよね。

小室:
なんかそういう大事な曲のタイトルだとか、詞の部分とか、決定のメロディだとか、そういうのは言わないようにっていうか、してるんですけど。で、僕の場合はメロディ最後なんですよ、作るのが。オケからなんですよ。

桑田:
え、メロディはできてないの?

小室:
できてないんです。ぼんやりは作っとくんですけど、決定は絶対しとかなくて、ぼんやりっていっても、一般の作曲家の方の一割程度だと思うんですけど、ぐらいしか、なんとなくしかないんです。で、先にオケ作るから、イントロとかコードで、もうこのままカラオケ屋持ってったら歌えるぐらいのカラオケを作ってから、最後にそれを自分で歌うんですよ。それに乗っけて。その時メロディを。

桑田:
芒洋としたものはなんとなくある?

小室:
なんとなく、ここにいきたいってのはあるんだけど。なんで、もっとわかんないですよみんな。オケ作ってますよね、みんな途中経過は聞けるんですけど、最後の最後でメロディができるんで。

桑田:
でも、そういうのって楽しみだよね、なんかね。

小室:
僕はもうそれがパターン化しちゃってるんで。

桑田:
ワクワクするよね。

小室:
自分で自分を、最後楽しみにしてるんですよ。で、そこでどんでん返しができたら、嬉しいって感じで。

桑田:
そうだね。

小室:
そういうところあるんで、まあ一応僕はもう、それしかできなくなっちゃってるんですけど。

桑田:
いや、そういう作り方もあると思うな。

小室:
前にね、インタビューとかで、外タレのロックの人で、インタビューが書いてあったんですよ。で、「バンドのメンバーがレコーディングしちゃって、最後、俺が一人残った」とか書いてあって、ヴォーカルの人が。「それから何時間も、そのオケを聴きながら歌ったら、うまいメロディができてきた」とかいう話が書いてあったのを、昔、何人も見たことあって。

桑田:
あ、俺もある。

小室:
ある?「あ、外人の人って、バンドの人先にレコーディングしちゃうんだ」っていうか、その、「曲作っちゃうんだ」とか思って。

桑田:
だからバンドのアレンジのためにみたいな。だから、ツェッペリンだったらジミー・ペイジのために、なんかロバート・プラントは歌詞考えろ、みたいなとこあるでしょ? なんか。

小室:
そういうことですよね。

桑田:
「絶対、このリフ邪魔すんな」なたいなあれ、あるみたいだね。

小室:
もう、そこのギタリストだったりなんなり、とにかく音楽を作るメインの人の主張がまずあって、で、乗っけたりすんだなって思って。ああとか。それぐらいからそうなっちゃったんですけどね。

桑田:
ああ。いや、僕もねなんか、向こうで、アメリカでレコーディングした時なんかね、そういうの経験しましたね。「あ、なんだ。じつに普通のことやってんじゃん」みたいな。もうちょっとしっかりした、なんていうの? メロディとかをね、メロディ作る担当のヤツが持ってくるのかと思ったらそうでもなくて、なんかスタジオに来てね。

小室:
そうですよね。「まあ、やってみようよ」って感じですよね。

桑田:
そうそうそう。「同じじゃん」みたいなね。

小室:
だから、自分でピアノ弾いて歌っても、自分の耳に聞こえてくる楽曲っていうのは、僕の歌だから、あの、良く聞こえないんですよ。自分で歌ってんのぜんぜん好きじゃないんで、ぜんぜん良く聞こえないから。

桑田:
あ、仮歌もやるんだ。

小室:
仮歌も自分でやるんですけど。それが歌とピアノだけっていう、完成品にやっぱぜんぜん聞こえないんですよ。いつまでたっても仮歌なんですよね、どうしても。   

桑田:
え、そういうの歌詞なんかは出来てるわけ?

小室:
歌詞は、いや、できてないです。適当に。

桑田:
フニャフニャ言ってるわけ?

小室:
フニャフニャ言ってるんですけど。だからやっぱり、そういう作り方になっちやったりして。

桑田:
エンジニアとかそういうところからこう、なんていうの? なんとか手掛かりを自分なりに見つけてさ、あの、こう、その曲をさ、その、バランス毎日とってこうとするっていうの?緊張感あっていいよね、なんかその。でも最後になにが、どんでん返しが出てくるかわかんないじゃん。

小室:
まさに、僕のやり方は、毎日そうなんで。もうそのフェーダー一つの出方とかでも、曲変わってくるんで。そういう遊びしないと、さすがにもう作れなくなってきちゃってるんですよ。量的にも。

桑田:
今、でも本当、歌詞が先か、歌が先か、曲が先かとかっていうの、よく聞かれるれど、これだれこう、楽器とかその、手元でいろいろ操作できるでしょ? わりとサンプリングとか。だから、そうとも言い切れないものってあるよね。昔みたいにその、ハーモニカとギターだけじゃないし。

小室:
 そうですよね。多分、桑田さんとかも、なんかの音がでてきた瞬間に、メロディ、フッと歌ってみたりしてっていうこともあります?

桑田:
しょっちゅうありますね、そりゃまあ。

小室:
で、言葉もなんとなく思い付いたりとか?

桑田:
そうそう。でまた、悩んで悩んで思い付いた言葉よりも、そういうなんか、音に反応して即座に出てきた言葉みたいなのがね、一番強いっていうかね、なんか、覆せなくなっちゃうっていうね。

小室:
口からフッて出たもの程やっぱり、すごくスムーズに流れるものないですからね。

桑田:
あれなんなんでしょうね?なんかイタコのような。一瞬、一人恐山になってるところがあるんだね。誰かが乗り移ってるみたいな感じがあるんだよね。

小室:
わかりますね、それは。あの時考えてないですよね、べつに。その言葉を。フッと出ちゃうんですね。

桑田:
そうなの。これがまた、気の利いた言葉いうんだよね。その、イタコだからさ。   

小室:
助けてくれるわけですね。その瞬間。それはでも、やっぱり才能なんじゃないですか? そこでなにも出てこなかったら辞めますよね。

桑田:
うん。辞めますね。潔く辞めますけど。

小室:
なんとか出てきてるんですね。

桑田:
多分でも、口を衝いて出てくるその、潮来になる要素っていうのはさ、あの、普段のやっぱり蓄積なんだろうかなと思うんだけど、その、あんまり深い新聞とか、日本経済新聞とかそう読まないんだけど、あの、週刊誌とかね、さっきも言ったけど、週刊誌、テレビ、あと雑誌とか、本とかっていうものを、なんかこうガーッて自分の中で無意識にこう、ふるいにかけてるんだろうなっていう。それなりにその、アンテナを張ってるんでしょうね。

小室:
そうでしょうね。

桑田:
で、ホロッて出てくるという。それが『マンピーのG★スポット』だったりするんでね、困ってしまうんですけどね。

小室:
でもなんか、初めて会う人でこう会食とかいう時で、音楽業界じゃない人でね、聞かれる質問て今日、今、話してるようなことが、一番謎だと思うんですよ。だから、これぜひね、ビデオに録って僕、配りたいですね、これはね、なんかね。

桑田:
やってる本人がね、その謎っていうか、まずちょっと楽器さわってみないと、なんか芒洋とあるんだけど、自分だけがその方向性わかってる感じがするんだけど、説明つかくなったりね。

小室:
それって桑田さんの場合なんですか? ゴールみたいな絵? 映像にしたらなにみたいな感じですかね?僕もいろんなのあって、決まってないんですけど。たまになんかね、旗みたいのが見えたりする時もあるし。

桑田:
旗ねぇ。へぇー。

小室:
こう、遠くにひらめいてる時もあるんですよ。だから、「そこにいこうかな」という時もあるし、なんかそのゴール地点がいろんな時あるんですよね。

桑田:
わかりやすくていいなぁ。へぇー。

小室:
いつもじゃないですよ。いつもだとなんか、怖いんですよね、ちょっと。

桑田:
「また出てるんだけど、旗でて」なんて。僕の場合はなんだろうな? やっぱり人ですかね。なんかね。

小室:
人ですか。その曲の完成が人に近づいてくの? 

桑田:
なんかね、芒洋たるなんかこう。

小室:
誰かいる?

桑田:
イギリスのバンドみたいなの。モッズみたいな、モッズ的なバンド。

小室:
それが見てるんですか?

桑田:
いや、なんかこう、その、バンド形態なんです、必ず。

小室:
あ、そこにハマるような。

桑田:
なにかそのイメージがこう、なんかね。ある、その、バンド形態を必ずなんか自分としてはね。あの、小室さんでいう旗はね、多分なんか、複数のそのミュージシャンがなんか、ボーッと見える。

小室:
それが、その人たちが歌ってると完成とかいうわけじゃないですよね? そんなにわかりやすいもんじゃないですね?

桑田:
ああ、でもそれに近いものかもしれない。

小室:
もしかしたらその人たちが、フッと手にした時完成とかね。

桑田:
なにかその、自分が作った曲っていうのは、その、誰かがこう、歌ってる絵柄みたいなものをね、あの、その、なんかいつも自然に思い起こしてみたいなとこがあるみたい。まあ、大したもんじゃないんですけどね。

小室:
そうなんですよね。これ口にするとなんかね、偉そうなこと言ってるように見えますけどね、ぜんぜん大したことじゃないですよね。

桑田:
本当大したことじゃない。

小室:
ビジュアル的にはなんかこんなこんなこと(ピアノとギターを弾く真似をしてる)してたりとかですもんね。

桑田:
自分で曲作ってるとか、アレンジしてる時って、あれでしょ、やっぱり人に見せられないでしょ? モニターかなんかカメラがここにずっとあったら、嫌でしょ?

小室:
もう最近は慣れてきましたけどね、だんだん平気になってきましたけど。まあでもなんか、やっぱ隠す傾向ありますね。だから、それがさっき言った、説明しないっていうところもあるかもしれないけど。

桑田:
なるほど。俺らがやっぱり曲作ってるとなんかね、僕なんかみっともないですからね、本当にもう。テレコこんな持って、なんか足でこうやってリズムとって。

小室:
あ、でもそれは、みなさん一般的な方の「カッコいい絵」ってことになると思いますけどね、それはね。

桑田:
いや、鼻クソほじったりいろいろね、してるんですけどね。

小室:
それはクリエイターの世界じゃないですか?

桑田:
角質化したこの、踵の皮を一生懸命、机の上に並べてみたりしてるというね。そんなとこ見せられないよね。

小室:
ああ、まあ、じゃあ、とりあえず『マンピーのG★スポット』ですね今年は。

桑田:
はい。

小室:
それだけで今年は終わっちゃうんですか?

桑田:
えっとね、今年はね、えーと、7月にもちょっとその。 

小室:
まだ出る可能性?

桑田:
なんかフジテレビさんの関係の。

小室:
出てくるかもしれないと。

桑田:
で、売りにかかりたいと思ってますけどね。

小室:
わかりました。じゃあ、これはトーク番組なんで、もしかしたらまたテレビで歌う可能性もありますね。

桑田:
あ、やります。

小室:
わかりました。

桑田:
これからけっこう、フジテレビさんにお世話になります。けっこう出ますからね。その度に必ず、家帰ってビデオ見て反省するんだろうけどね。

小室:
今日の話のようなことが、全部繰り広げられるんですね。いろんなことがね。

桑田:
そうなんだよ。

小室:
あ、これ、重みがあっていいと思いますね。

桑田:
逆にわかんないんですよね。意外とフンフーンってやってるように見えちゃうっていうのは、ちょっと癪に障る時があるね。親戚なんかに「おまえはいいなぁ」とかって言われて、なんかね。

小室:
僕もそんなのばっかりですよ。

桑田:
そうでしょ。

小室:
もう「本当、幸せな人ですよね」って言われます。じゃあまあ、頑張って、お願いします。今年も、よろしくお願いします。

桑田:
どうも。頑張ってください。ありがとうございました、どうも。

小室:
ありがとうございました。


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