~前回までのあらすじ~
お洒落キャンパーになりたい貧乏青年・ヒダマルは、第二の関門「ネイティブ柄の布」の自作を決行。
久々の絵具作業、分離しとる黄色、数多の試練を乗り越えた先に、素敵な発色のテーブルクロスが完成したのである!
そして、ヒダマルが次に目指すのは……?
絶対うまいヤツ。
そう、スモアです。
『ゆるキャン△』第十一話にて、リンちゃんが金欠はらぺこなでしこの為に作ったおやつですね。
マシュマロを焼いて、クッキーに挟んで食べるのです。
もうね、
絶対うまいヤツじゃないですか。
しかもお手軽とくれば、貧乏キャンパーとして実行しない訳には参りませんよ。
作ってみる。
基本的に全粒粉クッキーで作るそうなので、ヒダマルも用意しました。そして、マシュマロです。材料はこのふたつだけ。
木皿に入れると、何でも美味しそうに見える不思議。
さて、『ゆるキャン△』の五人は焚火でマシュマロを焼いていましたが、ヒダマルはそんなん無理です。ガスコンロの火を使うしかありません。マッチじゃ厳しいだろうし。
串にさして、火に近づけると……
一瞬で焦げた。
コンロの青い炎がマシュマロに移って「ぼぼぼぼぼ」って音を立てて燃え上がりました。ちょっと怖ぇ。
慌てて振ったり吹いたりして消火しましたが、これは作り方あってんのか……? あってないよな……?
確かあおいちゃんも「斉藤さん、あんま火に近づけると、マシュマロ燃えてまうで?」って言ってたよな……?
でもね、コンロの火と熱ってこう、ぶわーっと周囲に広がる感じがないんですよね(あったら困る)。
とりあえず、今できる方法で作ってみるっきゃないか……!
食べてみる。
完成。
見た目、なかなかじゃないですか?
では、早速いただきます。
ぱく。
もぐもぐ……、
…………………、うむ。
おいしい☆
おいしい、けど……、
でもね、な~んかこう、足りないんですよ。
ヒダマルのイメージでは
(マシュマロとチョコが熱で溶けあって、全粒粉のザクザクと絡み合ううまさ……っ!)
みたいな食レポを期待してたんですけどね。もちろんリンちゃんボイスで。
けどこれは、中のマシュマロがちょっと固いです。中心まで熱が通ってません。やっぱ、焚火の炎には勝てないか……?
アレンジしてみる。
しかぁしッ!
ここで諦めないのがヒダマルの良い所。
集団行動や組織内での根回し的活躍は破滅的に壊滅的に絶望的に徹底的に苦手なヒダマルですが、一人で自由に好き勝手にやらせとけば意外と色々工夫する人種なのです。
アスペの発想力をなめるなよ……っ!?
この状況を打開する策は、これじゃぁッ!!
パイ生地重ねて64層ッ!!
ロッテ「パイの実」だぁぁーーッ!!
これを、二つに割って、
火が通りやすいように、マシュマロも半分に割って、先ほどのように焼いて挟めば……、
どうだ。
失敗の向こうから、新たなおやつがこの世に誕生しましたよ。「スモア パイの実Ver」ですよ。
更にっ、さっきのスモアと並べて、残りのマシュマロも用意して、紅茶を淹れれば……、
ティーパーティーの始まりです。
生のマシュマロは、安定のおいしさ。
お口の中でしゅわしゅわ溶けて、なめらかな甘みを楽しめます。
全粒粉チョコクッキーの王道スモア。
少々期待外れなものの、ザクザククッキーとマシュマロの柔らかさが侮れない一品。
そして、「スモア パイの実Ver」。
至高の一粒を、お口に入れれば……、
(サクサクのパイ生地の奥から溢れ出る、クリーミーな熱々マシュマロ……っ!)
(紅茶の渋味でリセットすれば、サクサクまろやかな永遠のループが生まれて……っ!)
(たまらん……っ!!)
まとめ。
スモアの語源は「some more」、つまり「もうちょっと食べたい」みたいな意味から来てるそうです。
確かに、これはクセになりますね。
手前味噌ですが、特に「パイの実ver」は秀逸ですよ。クッキーみたいに重くないので、何個でも食べられます。
ポイントは、火が通りやすいようにマシュマロを半分にするなど、大きさを調整して焼くことです。
あ、それと。
前回作った「ネイティブ柄の布」が出て来ないのは、時系列的にはこっちが先だったためです。お手軽だったし。
お洒落な『へやキャン△』のためのパーツが、徐々に揃いつつありますね……。
(つづく)