トランプ氏支持の米フォックス司会者、トランプ氏弁護士の依頼人だと判明
ドナルド・トランプ米大統領の私的な顧問弁護士で、司法当局から事務所などを家宅捜索されたマイケル・コーエン氏について、トランプ氏をかねてから強力に擁護してきた米フォックス・ニュースの司会者、ショーン・ハニティー氏が依頼人の1人だと明らかになった。ニューヨークの連邦地裁で16日、公表された。
米連邦捜査局(FBI)とニューヨーク州南部地区の連邦検察官事務所は9日、2016年米大統領選へのロシア介入を捜査しているロバート・ムラー特別検察官からの「照会」をもとに、コーエン弁護士の事務所や自宅を捜索し、資料を押収した。コーエン弁護士は、トランプ大統領と不倫関係にあったポルノ女優、ストーミー・ダニエルズ(本名ステファニー・クリフォード)氏に、2016年大統領選の直前に13万ドル(約1400万円)を支払ったことを認めている。
これに対してコーエン弁護士は、弁護士と依頼者の間の秘匿特権で守られているはずの資料が捜査資料として使われることに異議を唱え、ニューヨーク州南部地区連邦地裁に差し止め請求を提出していた。
同連邦地裁で開かれた16日の審理開始前、コーエン氏は過去1年の間に担当した依頼人は3人だけだと述べた。1人はトランプ氏、1人は男性誌プレイボーイのモデルと不倫関係にあった共和党関係者(女性の妊娠が発覚し、金銭を支払ったという)。3人目については、本人から氏名公表の許可を得ていないと説明していた。
しかし、キンバ・ウッド裁判官が審理中、3人目の依頼人の氏名公表を命じたため、コーエン弁護士の担当弁護士が、伏せられていた3人目の依頼人はハニティー氏だと明らかにした。
これまでフォックス・ニュースの番組で情熱的にトランプ氏を擁護し、ムラー検察官の捜査を攻撃してきたハニティー氏は、コーエン弁護士との関係について一切触れてこなかった。自分の名前が裁判所で明らかになると、あらためて自分はコーエン弁護士に依頼をしたことはないと強調した。
キンバ判事はさらに、捜査担当者による押収資料の閲覧差し止めを求めたコーエン弁護士の請求を却下した。
コーエン弁護士は、FBIが押収したコンピューターや電話や書類は、弁護士と依頼人の間の秘匿特権で保護されるべき内容だと主張している。しかし、キンバ判事は、弁護士による差し止め請求は時期尚早だと却下理由を説明した。
ハニティー氏がコーエン弁護士に何を依頼したのかは、明らかになっていない。
ハニティー氏はツイッターで、「荒唐無稽な一部の憶測に答える。マイケル・コーエンは、私のために差し止め請求をしたのではないと、はっきりさせておきたい。私はこの審判になんの個人的な利害関係も持っていない」と書いた。
ハニティー氏はさらに声明で、「マイケル・コーエンが私の代理人だったことは、一切ない。法律問題について彼の意見や見解が知りたくて、短く意見交換をしたことは何度かある。その会話内容は2人の間のものだと思っていたが、私と第三者に関わる内容ではなかったことは、はっきりさせておきたい」と言明した。
司法当局が9日にコーエン弁護士の事務所や自宅を家宅捜索した際、ハニティー氏は番組で、「合衆国大統領への宣戦布告だ」と強い調子で非難していた。
16日の審判には、コーエン弁護士が大統領選直前に13万ドルを支払ったという、ストーミー・ダニエルズ氏も姿を現した。
ダニエルズ氏はこれまで、13万ドルはかつてトランプ氏と性的関係を持った自分への口止め料だったと主張している。コーエン弁護士は支払いについては認めているが、トランプ大統領のあずかり知らないことだったと説明している。
ホワイトハウスは、トランプ氏がダニエルズ氏と不倫関係にあったことはないと主張している。
法曹関係者の間には、ダニエルズ氏への支払いは選挙資金規制の違反にあたるかもしれないという意見もある。
(英語記事 Sean Hannity unmasked as Trump lawyer's mystery client)