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賃貸アパートの建築や管理事業を手掛けるレオパレス21は2018年4月17日、広域通信ネットワークの実証実験プロジェクトの成果を発表した。同社の所有物件である2階建てアパートを基地局にしたIoT(インターネット・オブ・シングズ)向けのネットワークである。
レオパレス21は同プロジェクトを、スマートロックなど物件に設置したIoT機器の通信インフラとして活用することを見据えて進めている。情報通信研究機構が開発した地域分散ネットワーク構築技術「NerveNet」と、LPWA(ローパワー・ワイドエリア)無線技術を組み合わせてネットワークを構築した。LPWA無線技術はLoRa方式を採用している。
同社は2018年3月にプロジェクトを開始。埼玉県草加市と東京都大田区の2エリアに実証実験用ネットワークを構築した。それぞれのエリアにレオパレス21が所有する2階建てアパート物件数カ所に無線基地局を設置し、どれくらい離れた距離まで通信できるかを確かめた。無線基地局にはLoRaの通信モジュールと超小型パソコンであるRaspberry Piなどを組み合わせた。
結果についてレオパレス21の大木宏樹建設企画部資材開発課設計課長は「土地が平坦で郊外の草加市では、条件次第で4.1キロメートル先まで通信できることを確認できた」と話す。地形が複雑で住宅密集地である大田区エリアでも1.8キロメートル先と通信できたという。
大木設計課長によれば「2階建てのアパートといった高所とは言えない場所に基地局を設置しても、広域無線ネットワークを構築できると分かった」。レオパレス21が管理する全国3万6000棟の物件のうち、「当社が所有する都市部の物件に無線基地局を設置すればかなりのエリアをカバーできるとみている。ネットワークインフラを活用した新ビジネスも展開できそうだ」(同)。