両備グループ(岡山市)の小嶋光信代表は17日午前に記者会見し、傘下の主力黒字バス路線に競合他社の新路線が参入することを巡り、国土交通省による認可の取り消しと認可効力の執行停止を求め、東京地裁へ同日夕に訴状と申立書を提出する方針を示した。両備側は中国運輸局による参入申請の認可に不備があり違法であると主張している。
岡山市中心部と市東部の西大寺地区を結ぶ同グループの路線には、八晃運輸(同)が低運賃循環バス「めぐりん」の新路線として参入を申請。両備側は赤字路線網を維持できなくなると反発し、2月8日に問題提起として31路線の廃止届を提出したが、中国運輸局は同日に八晃運輸の申請を認可した。その後、両備側は岡山県や岡山市による法定協議会の開催決定を理由に、31路線の廃止届を取り下げていた。
「めぐりん」の新路線の運行開始が27日に迫る中、両備側は9日、国土交通省に新路線の認可執行停止と認可取り消しを申し入れ。13日までの回答を求めたが、明確な回答を得られなかったと説明している。小嶋代表は「時間を引き延ばされ、違法なままの運行が既成事実になると懸念していたが、想定通りの展開になってきている」と懸念を示した。
さらに小嶋代表は、石井啓一国土交通相と大森雅夫岡山市長に対し、バス停設置の道路占用許可を巡り、不備を放置した理由について公開質問状を出す考えを示した。
傘下の労働組合、両備バス労働組合は16日に新路線の参入認可の取り消し実現を求め、23日以降にストライキを実施すると予告。小嶋代表は、両備グループの岡山電気軌道の労組からも17日午前にスト予告を受けたことを明らかにしたうえで「回避に向けて、(新路線の)認可執行停止を引き出す努力をしていく」と語った。