関西の議論:倒木直撃「トヨタ2000GT」、今も保管するオーナーの無念…訴訟和解も2億円の修理は断念 (1/5)

» 2018年04月17日 06時00分 公開
[産経新聞]
産経新聞

 平成26年6月、富山県南砺(なんと)市の国道156号を走行中のスポーツカー「トヨタ2000GT」に予期せぬ災難が降りかかった。不運にも倒れてきたブナの大木に直撃され、一瞬にして大破したのだ。所有者は約2億円の費用がかかる修理をやむなく断念し、道路管理者である富山県を提訴。富山地裁で先月、県が車両購入費の半額に相当する1750万円余りを支払うことで和解が成立した。奈良県在住のオーナー男性にとっては、30年越しの夢をかなえて入手した憧れの名車。それが購入してわずか3カ月で無残な姿に。今も大破した車を自宅ガレージで保管するオーナーは「希少価値がある車。大破したのはショック」と無念さを募らせている。(森西勇太)

photo 平成26年6月、富山県南砺市の国道で、倒木が直撃して大破したトヨタ2000GT(代理人弁護士提供)

高さ30メートル、直径1.9メートルの大木が突如……

 訴状や原告側の代理人によると、事故は26年6月8日午前9時40分ごろ、富山県南砺市菅沼の国道156号で発生した。車のオーナーである男性会社役員の誕生日を祝おうと、長男らが同市の世界遺産・五箇山にある合掌造り集落で車の撮影会を企画。オーナー自身は参加しなかったが、長男らは奈良から車2台で現地に向かい、トヨタ2000GTはオーナーの部下が運転していた。

 国道を東に向かって走行中、道路脇から高さ約30メートル、直径約1.9メートルのブナの大木が行く手をふさぐように突如倒れ込み、2台のうち後ろを走っていたトヨタ2000GTに直撃。車は大破し走行不能となったが、幸いにも運転していた男性は打撲などのけがを負ったものの、命に別条はなかった。

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