介護施設の約7割が、16時間以上勤務する2交代制の夜勤シフトを取り入れていることが16日、日本医療労働組合連合会(医労連)の調査で分かった。人手不足が深刻化するのに伴って、2交代制は増加する傾向にある。現場からは是正を求める声が高まっている。
調査は2017年6~10月に医労連に加盟する組合などを通じ、全国の特別養護老人ホームや短期入所施設などの介護施設約700カ所を対象に調査票を送り、147施設が回答した。そのうち107施設(73%)が、1回の夜勤で16時間以上働く2交代制のシフトを取っていた。
介護施設の勤務は一般的に早番、日勤、夜勤の3交代制シフトと、夜勤が16時間前後の2交代制に分けられる。2交代制の夜勤は夕方ごろから翌朝まで交代なしで勤務する。本来は職員の負担を軽減するには3交代制が望ましいとされる。しかし実際に常時3交代制シフトを取っている施設はわずか9カ所(6%)にとどまった。
2交代制を取っている介護施設の職員1992人を対象に月平均の夜勤回数を調べたところ、4.5回以上の人が43%に上った。調査を開始した13年は29.8%で、年々増加傾向にある。
茨城県内の介護施設に2交代制で勤務する30代の女性職員の夜勤は毎月5、6回。勤務時間は夕方4時から翌朝8時までで、1人で夜勤を担当する日もあるという。「1人だと緊急時に備えて休憩や仮眠はほとんど取れない。改善してもらいたいが、職員が足りないのでどうしようもない」とため息をつく。
介護施設の夜勤は入所者のケアや巡回など求められる役割は多い。医労連の担当者は「介護施設で夜勤をなくすことはできない。勤務を8時間以内に収めるなど過重な労働にならないよう、適正な職員数を配置する必要がある」と指摘。「待遇面の改善などで人員増加につながる取り組みを強化してほしい」と強調している。
夜勤が伴う介護施設などは長時間勤務が必要な場合もある。このため1日8時間の法定労働時間の適用を受けず、1カ月や1年を区切りとして平均週40時間とする「変形労働時間制」を活用している介護事業者も多い。