--大澤さんは30余年にわたって培われた技術力もさることながら、若者ウケするべっ甲メガネのデザインにも挑戦されています。若者向けのファッション誌にもよく取り上げられていますよね。
基本的にメガネって流行りがありますよね。トレンドをちゃんと自分の中に取り入れて、べっ甲に落とし込んでいくことが大切だと思っているんです。僕が修業していた頃、べっ甲のメガネは主に高齢な方々の愛用品で、デザイン的にも自分が欲しいものがありませんでした。「なんでこれが売れるのか分からない」って思ってしまうメガネがたくさんありました。ですから、今は若手メガネデザイナーと協業し、自分の中にあるイメージを伝えてデザイン画を描いてもらい、製品化を進めています。また、べっ甲メガネをより多くの人に知ってもらいたいので、ブランドとのコラボにも取り組んでいます。
--ただ、べっ甲のメガネは高価ですよね。なかなか手が届かない人も多そうです。
そうですね。やはり材料の値段も高いので、おしゃれさだけでは勝負できません。ただ、着け心地はピカイチですし、風合いに価値を感じてもらえた方には「次もべっ甲がいい」と思っていただけるはずです。ですから、まずは実際に手にとって使っていただくため、べっ甲ならではの良さを広めていきたい。掛け心地の良さ、日本人の肌に合う独特の色合い、プラスチックには出せない透明感など、分かる人には分かるクオリティを発信していくことが大事なのではないかと思っています。