「去年のモリ・カケだって乗り切ったじゃないか」安倍は周囲にこう語ったが、口調は気弱そのものだったという。政局をもっとも身近で観察する精鋭記者たちが、「真実」をこっそりと教えてくれた。
前代未聞の公文書改ざん騒動などで、安倍官邸は混乱に次ぐ混乱状態にある。5年半にわたる長期政権を支え、巧みな情報操作では人後に落ちない菅義偉官房長官や、総理秘書官の今井尚哉にしても、もはや制御不能なのだ。
官邸クラブ・平河クラブに所属する記者を中心に、第一線で安倍政権を取材する新聞・通信・テレビの記者たちは、すでにそのダッチロール現象を冷静に見極めている。本誌は政治記者50人に緊急アンケートを実施した。
安倍晋三は、今も総裁三選を夢見る。だが50人の記者のうち実に34人(68%)が、「安倍は三選されない(総理を辞める)」と考えているとわかった。
安倍政権の機関紙とまで言われてきた新聞のベテラン記者が記したコメントを読んで欲しい。
〈三選はもはや、ありえない。5月には退陣するのではないか。これまで「安倍べったり」だった読売新聞の幹部からも、読者離れを気にして、総理を支える雰囲気がなくなった〉(読売・40代・男)
〈昭恵夫人の国会招致が避けられない状況になれば即退陣。解散カードをちらつかせる力すら失い、今国会中の退陣は既定路線〉(産経・40代・男)
読売・産経両紙の紙面には決して載らない「記者の目」である。
安倍が総理の座を捨てる方法について、彼ら「政局のプロ」たちの意見は、大きく2つに分かれる。
①9月の総裁選までに辞任する
②辞任はしないが、総裁選出馬を断念する
①の辞任シナリオで、もっとも早いのが〈3月末の予算成立と引き替えに、4月に退陣〉(朝日・40代・男)というもの。
〈3月27日の佐川(宣寿)前国税庁長官の証人喚問で、かえって疑惑が深まり、昭恵夫人への喚問の声が強まる。持病の潰瘍性大腸炎が悪化すれば、すぐにでも幕引きするだろう〉(毎日・30代・男)
ただ、安倍よりも先に、麻生太郎の去就がポイントと考える記者が多い。50人中39人(78%)が、いずれ麻生は財務大臣を辞任するとみている。
〈財務省のトップが責任を取らなければ、内閣支持率の低下は止められない〉(時事・30代・男)
〈退任しかないだろう。あとは、タイミングだけだ〉(読売・40代・男)
だが、麻生の去就を巡って、官邸では混乱が続いている。根底に横たわるのは、官邸の守護神・菅と麻生との確執だ。