大会終了後、10分ラーメンにおける『個性』とはなにか、『簡単さ』の基準はどこかなど、審査方法に関して熱い議論が交わされた。次回は10分に加えて『夏に食べたい麺』とか、『原価300円以内』とか、さらなるテーマを設けてやってみたいと思う。
エントリーナンバー7:山田技研の『2分でできる、塩昆布まぜそば』7番手は家庭用製麺機の整備などでお世話になっている山田さん。麺から作る焼きそばなどの凝った料理は作っても、日々のおかずは作らないタイプの料理好きだ。
「自分のような料理の経験値が乏しい人でも、乾物を使って簡単に、おいしく作れるように考えました。単純ですが麺の味を引き立てるような味つけです」 指圧師の浪越徳治郎を髣髴とさせる堂々としたポーズの山田さん。
材料は、醤油大さじ1、みりん大さじ1、塩少々、味の素、乾燥にんにく、塩こんぶ、ごま油、新玉ねぎ(みじん切り)、胡椒。
ラーメンのスープは作らずに、茹でた麺に調味料を合わせるスタイル。すでに大会は終盤戦、かなり酔っぱらっているが大丈夫だろうか。2分で作れると言い張っているあたりが、実に酔っ払いらしい振る舞いである。 ナマモノは玉葱だけというシンプルさ。
珍しく料理をすると言い出したお父さんと、それを心配そうに見守るお母さんみたいな写真。
背中からにじみ出る哀愁オーラに、ついつい半笑いになる参加者達。
1:醤油、みりん、塩、味の素を小鍋で熱して、たれを作る。
2:器に砕いた乾燥にんにくを入れ、1のたれを半分注ぎ、馴染ませておく。 3:2に茹でた麺を入れ、ごま油と残りのたれをかけて混ぜる。 4:塩こんぶを混ぜて、みじん切りにした玉ねぎを乗せて、胡椒をかけたらできあがり。 圧倒的なまでの簡単さ。若干ふらつきながらもタイムは6分19秒。これまでの最短記録を更新だが、時間が短ければ加点というルールはない。 彩りや栄養価を放棄した一皿。これをオカズにご飯が食べられる塩分濃度だが、これはこれでうまいと好評だった。
審査員からの寸評はこちら。
・ザ・男の料理。 ・ 味濃い目で酒の肴系。酔っぱらっていても作れる簡単さは〇。 ・めちゃシンプル。でも意外と美味しい! 「たれに塩を入れすぎて塩辛くなりすぎたため『麺がほしくなる(麺料理なのに)』『おにぎりの具にしたい』などのコメントをいただきました。今度おにぎりの具選手権があれば出場を考えます。あ、あと、全然2分でできませんでした」 エントリーナンバー8:マダラさんの『ミニマル無化調煮干し醤油ラーメン』前回優勝者が最後に登場。審査員はもうお腹いっぱいというハンデをどう乗り切るか。
材料はチャーシューに豚バラ肉ブロック60g。薬味にネギ、玉ねぎ、カイワレ大根。スープはお湯500cc、煮干したくさん。香味油はラードをチューブで20cm、煮干し粉末大さじ1。タレは淡口醤油50cc、みりん20cc、水30cc。
会場がざわついた大量の煮干しをどう生かすのか。買い出ししたスーパーにラードが見当たらず、焦った顔で店員に尋ねている姿が印象的だった。 ミニマルというだけあって、実にシンプルな材料。
ラード、多くない?
煮干し、多くない?。
電子レンジで何をしているのだろうか。
レンジでチャーシューを作るという大胆な時短テク!
1:豚バラ肉は1.5cm厚程度に切り、小さいタッパーに敷き詰める。
2:淡口醤油、みりん、水を混ぜたタレを1に入れて、電子レンジの500Wで6分加熱(途中で表裏をひっくり返す)。そのまま余熱で豚バラ肉に火を通していく。 3:お湯が沸いている鍋に煮干しをヒタヒタに入れ、再度沸騰したら弱火をキープする。 4:小さいフライパンにラード、煮干し粉末を入れ火にかけ、ラードが溶けて煮干し粉末がジュクジュクしたら火を止める。 5:ネギは小口、玉ねぎは粗めのみじん切りにする。 6:丼に3のスープを注ぎ、お好みの濃さになるまでチャーシューのタレを入れる(煮干しの塩分でタレの量は要調整)。 7:茹でた麺をスープに泳がせたら、4の香味油を注ぐ。 8:チャーシュー、薬味を盛り付けて完成。 焦った様子を一切見せず、9分59秒と制限時間をしっかり使い切って完成。各工程を平行して進めることで、見事にラーメンらしいラーメンを作り上げた。 参加者の中で唯一、王道のラーメンで攻めてきた。
審査員からの寸評はこちら。
・無化調とは思えない味わい。10分でチャーシューまで作るアイデアに脱帽。 ・ もう店のレベル。 ・煮干しとラードで圧倒的な旨味でした。さすが前回王者! 「レシピは特別難しいこともなく、シンプルな材料でありながら、しっかりラーメンになってると思います。皆さんにもぜひ作っていただいて、ラーメンというのは何時間もガラを炊かなくても家庭で簡単に作れるんだということを知ってもらえたら何よりです」 結果発表!全員の試技を終えて、得点表を回収して集計をおこなったら、さあ注目の結果発表だ。まずは部門賞の発表から。
ベストコンセプト賞は、『個性』の点数が高かったツジムラさん。そしてベストイージー賞は、『簡単さ』の点数からのそ子さん! 賞品は買ったけど使わなかった食材です。 店では味わえないようなつけめんを作ったツジムラさんがベストコンセプト賞を受賞。
麻婆豆腐麺を作ったのそ子さんが、山田さんを1点差で押さえてのベストイージー賞。
ここからは総合得点による発表です。第3位は、意外にも時間内で作った小松ヌンチャクさん!得点は79.5点!
予想外の入賞に本気で喜ぶ小松さん。ちなみにプレゼンターは見た目がそれっぽいという理由だけで選んだ、ラーメン評論家っぽい友人。
続いて第2位は、味での評価も高かったツジムラさん!得点は85.2点!
ツジムラさんは2位。ということは優勝は……私かな。
そして栄光の優勝者は、『味』の評価で60点満点中57.25点というトップの点数を叩きだした、マダラさん!総合得点は86点!おめでとうございます!
見事に連覇を達成したマダラさんには、創味のめんつゆをプレゼント。
では優勝者インタビューをお届けします。
「ありがとうございます!!前回チャンプとして恥ずかしくないラーメンが作れたとは思いますが、まさか連覇とは……というのが正直な感想です。でも第3回があったらまた優勝してしまうかもしれません。敗北を知りたい……」 0.8点差で惜しくも敗れたツジムラさんも一言どうぞ。 「僕のは『家庭料理としての麺料理』で(もちろんそこを狙ったのですが)、マダラさんのは『ラーメン』でした。突き抜けた力強さに、これは負けた!と納得です」 みんなが家庭料理の延長線上から10分で可能なラーメンっぽいものを作る中、マダラさんだけが店で食べるラーメンをどうにか10分で実現させるという方法論の違い。この力強さに全員納得の優勝となった。 試食や選手交代の時間を含めて1人が約15分、8人なので約2時間。方向性の全く違うラーメンが毎回ちょっとずつ食べられるので、飲み会としてもとても楽しかった。
第2回10分ラーメン選手権、意外にも時間オーバーをする人が一人もおらず、すべてがおいしいというハイレベルな戦いとなった。審査する側もまた難しかったのではないだろうか。オリンピックの影響もあり、レギュレーションと採点基準を事前にしっかりと決めたことで、競技っぽさが増したのが成功の秘訣かな。
大会終了後、10分ラーメンにおける『個性』とはなにか、『簡単さ』の基準はどこかなど、審査方法に関して熱い議論が交わされた。次回は10分に加えて『夏に食べたい麺』とか、『原価300円以内』とか、さらなるテーマを設けてやってみたいと思う。 優勝したマダラさんが余興として作ったニュータンタン風ラーメン。これも10分以内に作っていたぞ。
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