図書館の所管に係る要望書

2018年4月15

文部科学大臣 林芳正様
中央教育審議会会長 北山禎介様

図書館問題研究会委員長 中沢孝之

図書館の所管に係る要望書

 図書館問題研究会は、図書館の発展を願う図書館員や研究者、住民で組織する個人加盟の団体です。
 図書館は教育機関です。私たちは図書館を教育委員会から首長部局に移管することに反対します。
 教育行政は政治からの独立性を確保することによって、個人の学びや、思想と表現の自由を、いざという時に政治の介入から守ることができます。図書館を首長部局に移管すれば、例えば地方自治体の施策について住民が学ぼうとする際に、図書館が施策に反対する内容の資料の提供を制限されるといったことが危惧されます。
 予算獲得や他部局との連携の容易さが首長部局への移管メリットとして取り上げられていますが、教育施策において首長部局と連携し、迅速に実行することは、教育委員会においても十分に可能なことです。総合教育会議はそのために設置されたのではないでしょうか。教育委員会の所管でその活動が高く評価されている図書館は全国に数多くあります。
 同じ教育法制に属する教育機関でありながら、学校教育にのみ教育の独立性を認め、社会教育にはそれを限定的にしか認めないという姿勢は一貫性を欠いています。成人の学びは、政治的な内容も含むが故に、独立性が確保される必要があります。また、図書館の働きは、地域の資料の継承や、人を育てる営為を含み、永続的に地域社会に資する活動です。こうした教育活動は、学校教育と同様に教育委員会の元で行なわれるべきだと考えます。
 法の理念を尊重し、図書館がその機能を十分に発揮できるよう慎重な審議をしてください。
 以上要望します。