もう14年前、私は大学で数学と経済学を学びたいと思って経済学部に入ったのでした。
しかし、私は生来目的を忘れてしまうタイプでして、大学時代は体育会の部活にうつつを抜かし、日々を過ごしていたのでした。 "うつつを抜かし"とか書くとめっちゃ楽しんでいるように見えますが、実際のところは毎日大学と練習場へ山二つ超えた往復(初めて行った時は自転車で1時間、体力がついてきた頃で自転車で30分強の道のりである)、朝の4時とかに起きて練習し朝ごはんを食べ大学に行き、講義を終え大学から練習場へ行き練習し、そこに泊まる(あそこは数十人の雑魚寝である)という感じでしてそういう一連のなんたらは当時の私からすると大変な地獄であり精神は完全に闇の中に沈んでいたのでした。今から思うと普通に睡眠不足とかそういう感じだったのだろうなと思う。ずっと静かな田舎で暮らしていた若者がいきなり大人数の雑魚寝の環境でよく眠れることはないだろうなぁと思う。今でも耳栓とアイマスクしないとよく寝られないし…
生来目的を忘れてしまうタイプである及び更に上記のような精神状態になっていたせいで私の"数学と経済学を学びたかった"大学4年間は、経済学はちょっと学んで ラグランジュの未定乗数法
だとか言って得意げにはなっておりましたが、肝心の数学の土台がからっぽ、みたいな感じでした。線形代数や微積分の講義は受けていたのですが、練習の疲れや上記睡眠難によってあまりに眠くて常に寝ていたし、予習復習などを行う精神的な余裕も全くなかった。寂しい限り。
で、社会人になってからもずっと心の中では 私は大学数学をちゃんと学んでいない
という辛さに苛まれ続け幾星霜(ってか10年)、先日 "喜嶋先生の静かな世界" という本を読み異常に大学へのあこがれや学びたい欲が噴出したのもあって、やはりやりたいことはやっていかねばならぬということでタイトルにもあるように線形代数の本を購入したのでした。
上記、分かりやすかったです。高校の数学を普通にやっていた人であれば、すんなり読みこなせるのではないか。 タイトルを見るだけだと、なんか証明とかあまり載ってないような本なのかな、と思ったけど、ちゃんと証明するところは証明する、厳密じゃないところは"厳密じゃありませんよ"と断った上で分かりやすい説明をしてくれる、という感じで、なんかちょうど私が求めていたレベルの本だったな、と思いました。
演習問題とかもほどほどでなんか進めていきやすかった。
まえがきにも書いてあるけど、流れとしては
連立方程式 -> ベクトル -> 線形空間と基底 -> 線形変換 -> 基底の取替 -> 固有値・固有ベクトル -> 行列の対角化
という感じの流れである。この流れがどれくらい標準的なのかはよくわからないが、学びやすかった。
いいペン(アクロドライブというボールペンである)を買ったらいい感じにモチベートしてくれて、"このペンを早く使いたい"という気持ちもまた私を数学書に向かわせてくれた。
というわけで、めでたくちょうど1週間で全部終わらせることができたのであった。 次は何をしようかしら。以下書籍がまた全然毛色が違って面白そう、とは思っている。
感謝
喜嶋先生の静かな世界を読むきっかけを作ってくれた id:y_uuki 氏と私の妻には大変感謝しております。
その他
部活はもちろんいいこともたくさんあったのですが、上記は負の側面を書いております。 いいことについてはまた書く予定。(先日、OB談を求められたのでそれに寄稿しようとしているところで、そこに書く内容をこのブログにも転記しようかと)