トランプ米大統領、「任務完了」批判に反論 シリア空爆
ドナルド・トランプ米大統領は、シリアで化学兵器が使われた疑惑を受けた英仏と共同で行った空爆について、ツイッターで「任務完了(Mission Accomplished)」という言葉を使ったことへの批判に反論した。
イラク戦争時の2003年5月に、ジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)は「任務完了」と書かれた横断幕の前で演説したが、その後も戦争が続いたため、揶揄(やゆ)の対象となった。トランプ大統領は、シリア空爆をあざけろうと「偽ニュースのメディア」が揚げ足を取っていると非難した。
なぜ「任務完了」が問題となるのか
トランプ大統領は14日朝、前日夜に行われた空爆について、「昨晩、空爆が完璧に遂行された。フランスと英国の素晴らしい軍隊の知恵と力に感謝している。これ以上の良い結果はないだろう。任務完了!」とツイートした。
2003年5月、6週間にわたる米国主導のイラクへ侵攻の後、当時のブッシュ大統領が「大規模な戦闘作戦」が終わったと発表した際に、「任務完了」と書かれた横断幕が背景に掲げられていた。
しかしその後、イラク国内で抵抗が続き、何年にわたる戦闘が続いたため、この言葉は揶揄の対象になってきた。
今回、トランプ大統領が「任務完了」とツイートしたことに対する批判には、ブッシュ政権の大統領報道官を務めたアリ・フライシャー氏も加わった。
フライシャー氏は自身のツイッターでトランプ大統領のツイートを引用し、「うーん、私なら最後の2語(Mission Accomplished)なしでツイートするべきだと言っただろう」と発言。
こうした批判についてトランプ大統領は15日、「シリアへの空爆は完璧かつ極めて正確に行われたから、偽ニュースメディアがこの攻撃をあざけるには、僕が『任務完了』という言葉を使ったことを取り上げるしかなかった。彼らが揚げ足を取るって分かっていたけど、これは素晴らしい軍事用語だと思う。また使われるべきだ。頻繁に使おう!」と反発した。
フィリップ・クローリー元国務次官補はBBCに対し、この時期にこの言葉を使うのは「困難に対する深刻な誤解を招く」とコメント。「しかしシリアはイラクではない。実際、シリア情勢はもっと複雑なものだ」と話した。
ドゥーマで何が起こったのか
シリアでは7日、首都ダマスカス近郊にある東グータ地区のドゥーマでシリア政府軍が化学兵器を使用した疑いが持たれている。米国はシリアのアサド政権と、これ支持するロシアを激しく批判。これに対し両国は一貫して化学兵器使用を否定。ロシア派、ドゥーマでの攻撃は英国が主導した計画だとしている。
シリア軍は14日、ドゥーマの反政府勢力は一掃され、シリア政府が完全に制圧したと発表した。
化学兵器禁止機関(OPCW)の調査員は15日、ダマスカスでシリアのファイサル・メクダッド外務次官およびロシアの政府高官と3時間にわたって会談。今後、ドゥーマで化学兵器が使用されたとされる場所で調査を開始するとみられている。
西側諸国は、ドゥーマでサリンが使用された可能性を含め塩素などの使用によって数十人が死亡したとの見方を示している。一方ロシアは、化学物質の痕跡はないと主張。西側諸国が、調査員の報告を待たずに空爆を行ったことに疑問を投げかけている。
OPCWは、誰が化学兵器攻撃を実行したかについて判断を下したり、公表したりすることは目的としていない。