プロポーズ大作戦 #03[再][字][多] 2018.04.11
(妖精)
男の名前は岩瀬健。
結婚式場に現れた哀れな男である。
これまで何百という結婚式を見てきたが新婦に対してここまで後悔している男はまれである。
幼なじみであるがゆえ彼女への思いをずっと伝えられなかったツケが皮肉にもこんな形で巡ってくるとは。
男はスライド写真を見ながら過去をやり直したいと強く願った。
見るに見かねたわたしは写真の時代に戻ることを許可した。
「わたし」とは無論この教会に住む妖精である。
彼女の秘めた思いに気づくことはできたもののこん身の告白は消されてしまって読まれずじまい。
消した相手が新郎とは何とも皮肉なものである。
この男一体どうなってしまうことやら
(健)
新郎の多田さんが教育実習を終えて学校を去るとき別れがつらくて号泣した
(健)《何泣いてんだよ?よりによって何で多田さんに泣いてんだよ?こんなことになるとも知らずに》《ホントに俺ってバカだなぁ。
ああーもう腹立つ。
何感動してんだよ!?何泣いてんだよ!?もう何やってんだよ!?》・『ハレルヤ・コーラス』
(健)はっ!?
(妖精)人生のいたずらっていうのは時に残酷だな。
いやもう残酷すぎますよ。
こんなことってあるんですか?実に皮肉だよなぁ。
お前のほうが彼女より先に新郎の魅力に気づいてたなんてな。
まさかこんなことになるなんて思ってなかったんですもん。
人間は自分の不都合なことがあると「まさか」や「偶然」という言葉に頼ろうとする悪い癖がある。
お前今日だけで何回物事を「まさか」で片づけようとした?まさか寝坊するなんて。
まさかスピーチで泣きそうになるなんて。
まさか彼女が彼と結婚するなんて。
物事にはすべて理由がある。
俺とこうして出会ったこともお前が激しく後悔したっていう理由がある。
本質から目をそらしてはいくら過去に戻ったところで何も変わらないということだ。
いつもと違って格好いい。
いつもと変わらず格好いい。
これが本質だ。
自分で言った。
ふん。
クレソンもらうぞ。
今回はクレソンでいいんですか?たまには野菜もとらないとな。
格好いい。
実にほろ苦い。
まるでお前の人生のようだ。
ハッハハハハハ!求めよ。
さらば与えられん。
ハレルヤ〜チャンス!ぬおおおーっ!・『ハレルヤ・コーラス』
(健)うっ!?ぬおっ!?《何だ?この重力は》たっ多田さん何してんすか!?
(多田)改めて質問されるとてれるもんですね。
ああ…。
(多田)ああごめんなさい。
あの話すのつらいですよね。
まあいろんな意味でつらいです。
(多田)でもどうしてこれを「サボテン」っていうんだと思います?「サボテン」!?
(多田)だって「サボテン」ですよ。
「サボテン」ってねえ…。
フフフ。
(多田)実はこう見えて体育祭って好きだったんですよね。
騎馬戦とか二人三脚とか冷静に考えると何やってんだろうって思うんですけど。
かなり燃えてたほうなんです。
どんだけ!?わっ!
(多田)ああっ!あっ!ううっ!
(尚)ワンツースリー!カンカンカンカーン!カンカンカンカンカンカーン!ウイナー!何かリアルで嫌だー!・
(オープニングテーマ)《うわっ。
かわいいー》
(礼)うん?えっ…。
《もう3回目だぞ!今度こそ絶対告白だ。
告白するぞ!告白するぞ!》あのさ礼。
うん?
(幹雄)健!お前告白しなくていいのかよ!?声がでかーい!
(尚)お前ダメ元で勝負するって豪語してたろうが!この嘘男!そうじゃねえけどタイミングってもんがあんだろうが。
(幹雄)っていうか今日で教育実習最後だぞ。
お前そんなこと言ってらんねえだろ!?教育実習!?
(尚)あーっ!キャメロン来た!キャメロン?
(エリ)へぇー。
健ってああいうのがタイプだったんだ?ちが…誤解だよ!YO!YO!別に隠すことないんじゃない?えっ違うって!
(エリ)どこがいいの!?大体何でキャメロンなわけ!?
(幹雄)あのジャージーがキャメロン・ディアスと色違いだって噂だから。
(尚)あっそいでな何か健は毎晩キャメロンが夢に出てきて大変なんだって。
俺じゃねえよ!
(幹雄)しらばっくれんなよ。
夢ん中でおそろいのジャージー着てたって浮かれてただろ。
キモ。
ヘボい。
でね昨日なんかチューする直前で朝目が覚めたとか言って超不機嫌なの。
ヘボくねえよ。
《何やってんだよ!?6年前の俺…》
(幹雄)戻ろっか。
(尚)うん。
(ため息)うーん。
2週間で分かったのってこんぐらい?
(幹雄)それって全部最初のあいさつんとき言ってたじゃん。
(エリ)だってそれしか情報ないんだもん。
あの人黙々と授業やってるだけだからね。
まあ確かにキャメロンに比べたらとてつもなく地味だもんな。
くじで言ったらはずれ?何やってんだ!?おい!確かにそうかも。
だよな!?礼もそう思うよな?えっ?あの人がはずれだって気持ち絶対忘れんなよ。
何でよ?なっ。
わたしとの相性79パーセントだって!かなりよくない?
(幹雄)それすっげえ懐かしいな。
俺が中学んときすっげえはやってた。
《高3っていってもまだまだガキだなぁ》
(尚)あの!占ってる相手ってのはあれっすか!?
(エリ)うん。
実は多田先生のことちょっと気になってんだよね。
(尚)お前あんなのどこがいいんだよ!?
(幹雄)エリお前彼氏いんだろ?プロレスラーみたいな髪形した。
もう別れたんだってさ。
マジ!?マジ。
でもさぁ多田先生って何考えてるか全然分かんなくない?
(エリ)そこがいいんじゃん!何かもう逆に燃えてこない?礼が燃えるわけない!分かんないじゃん。
まだまともに話したことないんだから。
話す必要なんかない!
(幹雄)お前は礼の保護者か!?
(尚)なあ。
なあ。
変座れ。
変。
おおっ!健だよ!
(尚)おお…。
いいよ座れ座れ。
(尚)ねえねえねえねえ!俺とエリのね相性調べたのね。
そしたらね47パーセントもあった!よし!
(幹雄)相性低っ。
《今回は正念場だぞ。
ちょっとずつ階段を上ってる余裕はねえ。
一気にいくぞ一気に》礼!うん?何?あのさ。
うん。
俺さ…。
うん…。
だからその…。
俺…。
絶対やだ!日直の仕事全部わたしにやらせる気でしょ?日直!?絶対嫌だから。
(多田)えーそれでは例題として「三角関数の合成を利用して関数の最大値最小値を求めよ」という問題をやってみましょう。
「y=3x+√3cosxの最大値最小値を求めよ」という例題です。
《すっげー!ほぼ100じゃん!やっぱ俺と礼は結ばれる運命なんだなぁー》
(多田の講義する声)《教育実習生としてうちのクラスにやってきた多田さんはずばぬけて地味な印象で生徒と会話をすることもほとんどなかった。
記憶の中の多田さんは最後はみんなに惜しまれて去っていった。
そうじゃなければ俺も泣いたりするはずがない》《ふっざけんなよ!》ここまでで質問のある人…。
はい!はーい!じゃあ。
もし先生とわたしが出会って恋をしたらどんな答えになりますか?
(尚)おいおいお前…。
ちょっと。
何聞いてんの?だってみんな暇そうなんだもん。
(多田)y=eのx乗とy=6xと同じですね。
(伊藤)ヘッヘヘヘヘヘ!その二つは決して交わらない曲線なんだよ。
はあ!?ごめんなさい。
分かりづらくて。
今は無理でもいつか将来交わるかもしれないですよね?いえこれら二つの曲線が交わらないことは簡単に証明できます。
つまりy=eのx乗からy=6xを引いたものが正であることを示せばいいわけです。
そこでxの関数fxをeのx乗−logxと置き任意のxについて正であるかを調べればいいわけです。
《イエス!イエス!イエス!占いでは多田さんを圧倒している。
悪いけどこの勝負本気でいただきます》
(キャメロン)多田君って分かりづらいんだよね。
分かりづらい…ですか?曲線っていってもさそんな小難しい話じゃなくってわたしみたく分かりやすい曲線じゃなきゃダメなわけよ。
キャメロン先生!そんな呼び方しちゃダメでしょ。
ちゃんと「キャメロン」って呼び捨てにして。
(一同)ああー!
(幹雄)もう誰にも止められないな。
(ため息)あっ。
あのうさっきの交わらない曲線の話なんですけど。
説明がちょっと分かりづらかったかなと思いまして。
対称性を使えばもっとシンプルに説明できるってことに気づいたんです。
二つの曲線は互いに逆関数であり…。
黒板ケンゾーの番だからね。
ああ。
(多田の講義する声)《完全に自分の世界だなぁ…》さらに線分PQの距離はこのように√2
(eのP乗−P)と表すことができます。
(多田)あっ!ちょっと。
何するんですか!?日直の仕事ですから。
いやでも僕今説明してたんですけど。
みんなが知りたかったのはこんな曲線のことなんかじゃないんじゃないでしょうか?こんなんじゃいつまでたっても生徒との距離縮まらないと思います。
たった2週間かもしれないけどもう少しわたしたちのこと考えてくれてもよかったんじゃないんですか?今日までずっと平行線のままだったよ。
ケンゾー。
手伝ってよ。
ああ。
《何か願ってもない展開になってきたんですけど》《これって多田さんの…》
もつれていた記憶の糸が一気にほどけていた
うん?どうしたの?
(多田)あっ。
ちょっと…ああちょっとちょっとみんな見て!いいから
そう。
多田さんとみんなが打ち解けたきっかけをつくったのはほかでもない自分だった
どうしたの?多田。
早くしろ。
次の授業始まるぞ。
あっはい。
マイボディーイズグレート!
(生徒たち)ユアボディーイズグレート!マイボディーイズグラマス!
(生徒たち)ユアボディーイズグラマス!
(キャメロン)マイボイスイズセクシー!
(生徒たち)ユアボイスイズセクシー!
(キャメロン)マイアイズアービッグアンドキュート!
(生徒たち)ユアアイズアービッグアンドキュート!
(キャメロン)マイファッションイズエレガント!
(生徒たち)ユアファッションイズエレガント!
(キャメロン)アイアムセレブリティー!
(生徒たち)ユーアーセレブリティー!
(キャメロン)アイアムライクキャメロン・ディアス!
(生徒たち)ユーアーライクキャメロン・ディアス!
(キャメロン)アイアムビューティフル!
(生徒たち)ユーアービューティフル!
(キャメロン)キャメロンイズ…。
(生徒たち)ナンバーワン!
(生徒たちの歓声)・
(尚)健。
お連れしたぞ。
(幹雄)前へどうぞ。
俺はそういうんじゃないでしょ。
(キャメロン)話って何?だから違うって…。
(幹雄)早く言っちまいな。
(キャメロン)言っとくけどわたしを個人的に呼び出すなんて10年早いし告白なんて100年早いから。
(幹雄)告白は孫に託すしかないな。
っていうか何でふられてんだよ!?先生!僕とつきあってください!好きです!君は百万年早い!
(尚)つれない感じがまたグッ。
(幹雄)お前エリが本命じゃないのかよ?俺らみたいなのが本命だけに絞って彼女なんかできると思うか!?ってか俺彼女いるし。
ええーっ!?この裏切り者!
(エリ)へぇー。
鶴ってそんな簡単に人のこと「好き」って言っちゃうんだ?
(尚)違う違う。
嘘嘘。
ねえエリちゃん…。
(エリ)近寄らないでよけだもの!小さいけだもの。
お前小さいって…。
大きくなったらどうする?エリ!
(幹雄)健。
そんな落ち込むなよ。
落ち込んでねえよ。
フッフフフ。
そうだよねぇー。
ふられるの慣れてるもんね。
昔から絶対無理ってとこ無謀にチャレンジしては玉砕してるよねぇー。
うるせえよ。
あっ何本気になってんの?本気になんかなってねえよ。
なってるじゃん!いいから黙ってろよ!何?それ。
はいはいはい。
分かりました。
もう絶対話しかけませんからご心配なく!バッカじゃないの!?
(舌打ち)やっちったよ…。
ええー今日のホームルームはもうすぐ受験が迫ってる人もいるので何もなければ自習にしたいと思います。
はい!先生!そろそろ席替えをしたいんですけど。
(幹雄)先生。
多数決。
じゃあ席替えをしたい人手を挙げてもらえますか?
(生徒たち)はい!はい!
(尚)お前挙げろ。
いや席替えしないと死んじゃうんだよ。
なっ?
(生徒)やだー。
(尚)嫌じゃない。
嫌じゃない。
あっ先生。
あとくじ引きはちょっともう飽きたんで今回は自分たちで決めさせてください。
あっいやそれはちょっと…。
なっ?先生。
(伊藤)うん?
(尚)いいでしょ?ねえ先生。
うん…。
好きな席がいい人?
(生徒たち)はい!はい!
(尚)健!カムバック!何ですかぁ?すいません。
いやねえ。
ちょっとさ肩車して。
肩車。
嫌じゃ。
じゃあサボテン。
サボテン言うな。
ああもう。
一生のお願い!もっと大事な場面で使いんしゃい。
(尚)これ以上大事な場面があるか!?お前!うるさい。
じゃあやって。
分かった。
(尚)よし。
のぞいちゃやーよ。
(健・尚)うわぁ!痛っ!うわー2回目!おめえは使えねえなぁ。
このバカが!サボテンなんかしやがって!
(幹雄)鶴!
(尚)ああ?エリの席見えたぞ。
マジで!?マジで?どこ?どこ?ねえ。
どこ?お前はいいヤツ!ちょっと!今見てたでしょ?う〜うん見てないよ。
痛ぇ。
(伊藤)よーし。
次野郎どもの番だ。
入れ。
(尚)はい!
(伊藤)何くつろいでんだよ?
(幹雄)健!VIP席取っといてやったぞ。
えっ?いや早く。
(生徒)ここいい?
(幹雄)うん?ダメ。
(幹雄)健。
うん?おい。
サンキュー。
(エリ)さっきさぁ正直ホッとした?うん?健があの女にふられて。
フフッ。
別に。
最初からふられると思ってたし。
とか言って内心ドキドキしてたんじゃないの?してないって。
そうかなぁ。
あんな男が誰かとつきあえるわけないじゃん。
(エリ)そう?わりと中学んときとかもててたんじゃないかな?ケンゾーのピークは小学校で終わってるから。
(エリ)へえー。
そんな男前な時期あったんだ。
一瞬ね。
ご対面!
(伊藤)だらだらせずにさっさと座れ!うわー!全然エリじゃねえ!榎戸!お前こら!悪ぃ。
見間違えた。
(尚)間違えるわけないだろうお前!
礼は席替えをする前と同じ席に座っていた
何となく分かっていたはずなのに何で隣に座ることができなかったんだろう。
何でこんな簡単なことができないんだろう
過去に戻っても素直になれない自分に無性に腹が立った
今日で最後なんですよね?教育実習。
(多田)ええ。
あっ。
そう考えると君たちと会うのも今日で最後なんですね。
いやぁ。
そうならないのが問題なんですけど
(多田)情けない話ですけどやり直せるならもう一度教育実習やり直したいです。
えっ?ああいや。
これでホントにやり直せたら苦労しないんですけど。
実は大勢の人を前にすると極度に緊張してしまうんです。
今日でもう2週間になるっていうのにいまだに全然慣れなくて。
はあー。
やっぱり教師なんて自分には向いてないんだなぁって痛感しました。
でもさっき吉田礼さんに言われて思ったんですよね。
この30人が僕の最初で最後の生徒かもしれないのに何にもできなかったなぁって。
伝えたいことたくさんあったはずなのに何にもできなかったなぁって。
多田さんはすげえいい先生になりますから。
えっ?みんなから慕われるすげえいい先生になりますから。
気遣ってくれてありがとう。
あっ。
卒業までの学生生活悔いのないように頑張ってくださいね。
くれぐれも僕みたいに後悔することがないように。
そういえば僕に何かあだ名ってついてました?はい?学生ってすぐ先生にあだ名つけるじゃないですか。
ほらキャメロンとか。
多田さんには特に…。
あっ。
ですよね。
いやいいんです。
あの。
ちょっとうらやましかっただけで。
あの野郎!
(幹雄)ちょっと力入りすぎじゃね?まだ誰かさんと仲直りできてないからだよ。
そんなの全然関係ないから。
(エリ)ねえ。
礼と健っていつから一緒なんだっけ?小3。
(幹雄)もう人生の半分以上一緒なんだな。
別に。
ずっと同じクラスだったわけじゃないし。
でもすごいよねえ。
ただの腐れ縁ですから!
(多田)今までの人生であだ名で呼ばれたことって1回しかないんです。
ずーっと「多田君」か「多田さん」のどっちかで。
その1回は誰からなんですか?
(多田)ああ。
幼なじみです。
ほかの友達は誰も使わなかったので全然浸透しませんでしたけど。
でも何か妙にうれしかったんですよねえ。
あっ。
岩瀬君もみんなからは「健」って呼ばれてるのに吉田礼さんからは「ケンゾー」って呼ばれてますよね。
ああ。
(多田)あだ名の由来とかあるんですか?出会ったころからずっとそうやって呼ばれてたんであんまり気にしたことなかったですね。
最初ケンゾーって本名なのかと思いました。
もしかしたら吉田さんもケンゾーが本名って勘違いしたんですかね。
えっ?ああいやあの。
ふと思っただけなんで。
じゃあ。
(礼)ありがとケンゾー君
(健)ケンゾー?
(伊藤)よーし。
じゃあホームルーム始めるぞ。
今日の連絡事項は…。
(多田)卒業までの学生生活悔いのないように頑張ってくださいね
(多田)くれぐれも僕みたいに後悔することがないように先生!
(伊藤)うん?どうした?黒板の字が見えないんで席替わってもいいですか?
(伊藤)さっき席替えしたばっかりだろう!だって座ってみたら全然見えないんですもん。
(伊藤)じゃあ何でそんな後ろのほうに座ったんだよ?いや。
こんなに目が悪くなってるとは思ってなくて。
だってこっからだと先生がトム・クルーズに見えますもん!よく見えてるじゃないか。
間違ってないぞ。
でソクラテスが席替わってくれるって言うんで替わります。
(重人)俺か!?俺の地位がそんなに欲しいか?政権交代は世の定め。
この荒れ果てた教室を後ろからながめるのも悪くはない。
別に荒れ果ててないだろ。
お前扱いづらいなぁ。
健。
もう最初から言えよ。
悪ぃ。
見えると思ってたのよ。
ぶぶぶぶっ。
(足音)
(生徒)あっちでキャメロン脱いでるって。
(尚)おいみんな!キャメロンが脱いでるって!嘘!?
(男子生徒の騒ぐ声)はあー。
見に行けばいいじゃん。
気になってるくせに。
っていうか何でここに来んの?後ろだと黒板の字が見えねえからだろ。
右目も左目も2.0。
視力しか人に自慢できることないでしょ?正直迷惑なんだよね。
また一緒に日直の仕事やらなきゃいけないんでしょ?結局学級日誌だって全部わたしが書いてるし。
黒板だって全然消さないし。
(礼)転校してきた吉田礼です。
よろしくお願いします
(拍手)ありがとケンゾー君ケンゾー?いやー。
勝手に切んなよ。
あんときはホント格好よかったのにねえ。
「のに」って。
どんだけ?あのままお嫁さんになってもいいかもって思ったもん。
何だよそれ。
引っ越してきたばっかりで誰も友達いなくってさ。
おとなしかったのあの日だけだったけどな。
そんなことないでしょ。
次の日から「ケンゾーケンゾー」ってこき使ってさ。
何か恥ずかしくなってきた。
あー!急にすっごい恥ずかしくなってきた!ああ。
学級日誌全部ケンゾーが書いてよ。
ありがと健三君
6年前には見ることのなかった笑顔がそこにあった。
この笑顔は皮肉にも多田さんがくれた笑顔だった。
胸の奥がズキズキと痛んだ
(校長)お疲れさまでした。
お世話になりました。
(多田)失礼します。
(伊藤)帰宅途中の寄り道の件。
おい。
お前らしっかり話聞けよ。
お前ら最近たるんでるぞ。
先週の土曜日制服のままの2年生の生徒が深夜11時すぎに吉祥寺のゲームセンターで遊んでいたところを警察に補導された。
お前らいつも誰かに見られてるという意識を持って…。
礼。
うん?全然似てないじゃん。
お世話になりました。
(伊藤)おう。
また遊びに来いよ。
いや。
もともと遊びに来たわけじゃないんですけど。
(伊藤)ハハハ。
固いなぁ。
「またな」ってこったろ。
あ…。
(生徒たち)先生!
(尚)はい。
2週間ありがとうございました!えっ?まあ教師には向いてないと思うけど頑張ってね。
あ…。
どうもありがとう。
・
(バイクのエンジン音)たもっちゃん!こっち!
(西尾)うちはな花屋じゃねえんだぞ!ハンバーガー屋だぞ!
(エリ)おーサンキュー。
もう店戻んなよ。
お客さん来てるかもよ。
(西尾)うちの店なめんなよ。
痛い。
(西尾)今月のお前ら以外の客の数ゼロだよ。
ゼロ。
ハハハハ!ゼロ!ハハハハ!何かやけになってない?うん。
(生徒)あっこれこれ。
ああそうなんですか。
(生徒)ありがとうございました。
(エリ)うん。
えっ?
(エリ)礼が渡しな。
さっきあんなひどいこと言ったんだから。
(尚)そうだぞ。
先生絶対傷ついてるぞ。
わたしが?じゃあ俺渡すよ。
(幹雄)何で?俺日直じゃん。
(幹雄)おう。
礼渡してくれ。
こら。
えー!ちょっと。
幹雄。
ああー。
あっ。
どうぞ先生。
あ…。
どうも。
(拍手)さっきはごめんなさい。
こちらこそこんな教育実習生でごめんなさい。
あ…。
《ああーっ!もう!》ちょっと。
仲直りの印にチュッとしろ。
チュッと。
ウフフ。
何言ってんの。
お前それアメリカン冗句か!いや。
アメリカン冗句じゃねえよ!何だよ?お前!お前がそういうこと言うとホントに教会でキスしちゃうんだよ!またとんちんかんなこと言いやがってお前!この野郎!
(多田)岩瀬君。
質問してもいいですか?はい?これどういう意味ですか?
(エリ)「絶対にあきらめません。
負けませんから」どういう意味?
(尚)意味分かんねえし。
特に意味はないよ。
ないない。
先生と何か競ってるの?男は勝つか負けるかだろ!岩瀬君には勝てそうにないですけど。
《何かむかつくんですけど》
(尚)んなことよりさこれからたもっちゃんとこ行こうよ。
先生と話したいこといっぱいあるし。
(エリ)おーいいねえ。
(尚)行こう。
じゃあ寄り道しますか。
(尚)おう行こう行こう。
あ…。
はあー。
何でこんなことしたの?俺じゃねえし。
とぼけても無駄だから。
この字はどう見てもケンゾーの字でしょ。
何年一緒にいると思ってんの?
(伊藤)おいお前ら!写真撮ろう!写真!写真。
そうだ。
先生写真撮ろう!あっはい。
エリ!ふざけんなよ。
(尚)おい健!早く!おい!ジャンケンほい!勝った。
何ジャンケンだよ?何のジャンケンだよ?何やってんだ俺は。
うっ。
幹雄!動くなっつーの!
(伊藤)おいいくぞ!はいチーズ!
(シャッター音)ぬおおおーっ!・『ハレルヤ・コーラス』
(尚)何だよ。
あの二人教育実習からいい雰囲気だったのか。
(幹雄)何か最初は険悪だった気がすんだけどな。
(エリ)健が仲取り持ったんじゃなかったっけ?
(尚)全然覚えてない。
《そうですそうです。
二人のキューピッドはまたしてもこの私でございますよ!》
(ため息)・『ハレルヤ・コーラス』
(ため息)
(妖精のせきばらい)
(ため息)
(妖精)俺の忠告覚えてるか?はい?本質を見極めろ。
まあそんなようなこと言ったと思うんだが。
そうでしたっけ?今回のお前のやり方は決して間違ってはいなかった。
俺はそう評価してる。
でも結局二人を近づけたのは僕なんですよ。
一見遠回りに見えてもそれがいちばんの近道だったってことがあるだろう?はい。
まあ今回の件がそれに該当するかは置いといて。
それじゃ意味ないじゃないですか。
えてして人間というものは相手をけ落とそうとしたり出し抜いたりしようとするもんだ。
だがお前はそれをしなかった。
いや。
しようと思ったんですけどする勇気がなかったんですよ。
いや!意気地なしに徹する勇気があったということだ。
うれしくねえ。
そんな心配すんな。
彼女の中ではお前の価値は着実に上昇してる。
ホントですか?まあそれが結婚につながるかは全く別の話だが。
えっ?なっ?フッ。
(指を鳴らす音)《制服の第2ボタンがなくなっていた。
一つ確かなことはその第2ボタンを受け取ったのは礼ではなかったということだ》・『明日晴れるかな』◆当番組は同時入力のため、誤字脱字が発生する場合があります。
2018/04/11(水) 15:50〜16:47
関西テレビ1
プロポーズ大作戦 #03[再][字][多]
「席がえしたら結婚できますか」
山下智久 長澤まさみ 藤木直人 榮倉奈々 平岡祐太 三上博史ほか
詳細情報
番組内容
またしても披露宴会場に戻った健(山下智久)は、次のスライドを見ていた。礼(長澤まさみ)を奪った新郎・多田哲也(藤木直人)その人が、健と礼のクラスの教育実習を終えた最後の日の記念写真だ。皮肉にも、その写真の中で健は、多田との別れがつらくて号泣している。自分の情けない姿に落ち込む健は、またまた高校時代へと戻った。
多田は健たちのクラスを担当する教育実習生だが、地味なキャラクターゆえ、
番組内容2
生徒たちからは関心を持たれていない存在だ。別のクラスに来ている美人実習生・キャメロン(松本莉緒)と比べても明らかにハズレだ、という幹雄(平岡祐太)、尚(濱田岳)らに同意する礼に、内心喜ぶセコい健。
授業中にこっそり回された「最終日に花を贈るか否か」というアンケートにも、クラスのほとんどの生徒が、NOに印を付ける。多田は、生徒たちの誰ともうち解けないまま、2週間の実習を終えようとしていた。
番組内容3
突然、健の記憶がよみがえった。あのとき、ある物を偶然見つけた健が、多田と生徒たちの間の壁を取り払うことになったのだ。そしてまた今回も、健はそのきっかけとなるある物を拾い、とっさにそれを隠した。うしろめたい気持ちになる健。
席替えを行うことになった。男女が交代で各々自分の好きな席に座り、ご対面するという方式にしようと盛り上がる。健はなんとなくわかっていた。礼がどの席を選ぶかを…。
出演者
山下智久
長澤まさみ
*
榮倉奈々
平岡祐太
濱田岳
*
三上博史
*
藤木直人 ほか
原作・脚本
【脚本】
金子茂樹
監督・演出
【プロデュース】
瀧山麻土香
三竿玲子
【演出】
成田岳
音楽
吉川慶
【主題歌】
桑田佳祐
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32724(0x7FD4)
TransportStreamID:32724(0x7FD4)
ServiceID:2080(0x0820)
EventID:18304(0x4780)