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ムダな仕事をなくす2つのポイント

 ムダとりワーキングを成功させるには、ポイントが2つある。1つはトップダウンで取り組むこと。ムダとりワーキングは会社として必須の取り組みと位置付けて、必ずやらなければならないという枠組みやルールを設けることが欠かせない。そうしないと、現場担当者は目の前の仕事をこなすことを優先してしまい、ムダとりワーキングを後回しにしてしまうからだ。

 もう1つのポイントは、取り組みの中心人物に、現場の実務担当者を据えることだ。当社で実施した時には、課長クラスの実務担当者に、ムダとりワーキングの推進役を担ってもらった。実務担当者には「自分たちの仕事のムダをなくし、より効率よい現場に変えられるチャンスだ」といった取り組みの意義も伝えて、自分事として参画してもらうことも欠かせない。きっと積極的に協力してくれるはずだ。

 ムダとりを考える時に、「過去の経験からこの作業は必要」とか「これまでやってきたからやめることはできない」と考えてしまいがちだが、現時点で最良の形を考えて思い切って提案してみることをお勧めする。当社でムダとりの成果発表会をした時に、役員から「改善案が多かったが、もっと、どーんとやめた、という施策がほしい」というコメントがあった。上層部は、本気で生産性向上を目指しており、過去にこだわらず、大胆な改革を期待しているものである。

ムダとりワーキングで得られた課題の例
(出所:日立ソリューションズ)
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 このほか、上司が部下に対して行う施策で、部下の業務時間の削減に効くのは「権限移譲」だ。任せる仕事の目的をしっかり伝えて共有したうえで、仕事のやり方は部下に任せる。これでかなりの効率化が図れる。部下も自分で考え、責任を持って判断・行動するようになり、リーダーシップの醸成、人材育成にもつながる。

 「部下の仕事を事細かに監督して指示する」「何事も上司に確認を取る」というマイクロマネジメントに慣れている上司・部下は要注意だ。現場での判断と上司への報告を効率よく進めてほしい。

伊藤 直子(いとう なおこ)
日立ソリューションズ スマートライフソリューション事業部 ライフスタイルイノベーション本部 働き方改革エバンジェリスト
1992年日立中部ソフトウェア(現日立ソリューションズ)に入社。ソフトウエア開発部門を経て、現在は、社会イノベーション事業の一環としてライフスタイルイノベーションに従事。自社の働き方改革の推進とともに、企業の働き方改革を支援する事業に携わっている。名古屋在住で、東京と名古屋を拠点にテレワークを活用しながら仕事をし、自ら柔軟な働き方を体現している。