ザッカーバーグ「完璧すぎる謝罪」の舞台裏

日米企業トップの「コミュ力格差」は絶望的だ

4月10日、米議会の公聴会で証言するフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(写真:ロイター / Aaron P. Bernstein)

巨大なソーシャルネットワークサービス、フェイスブックのユーザーデータ流用・流出問題について、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が4月10日と11日、2日間にわたって米議会の公聴会で証言台に上った。

この連載の一覧はこちら

数千万人分のデータ流出というフェイスブックにとって最大の不祥事を受けて開かれた公聴会は、延べ10時間、100人から600の質問を受けるというまさに「千本ノック」状態。この難局をザッカーバーグ氏は、究極の「謝罪力」で乗り切った。強靭なメンタルリフレックス(反射力)を養ったのは、星飛雄馬並みの血のにじむ準備と練習だ。

今回は隔週連載の番外編。その「演技」の裏側を読み解き、リーダーを目指す人ならば知っておきたい「超一流の謝罪」の作法について解説してみよう。

議員のとんちんかんな質問にも真顔で対応

ネットなどで中継されたこの公聴会、筆者もところどころ視聴したが、ちょっとしたエンターテインメント並みの面白さであった。何が笑えたかと言うと、議員のとんちんかんな質問に33歳のザッカーバーグ氏が「おい、まじかよ」「なんでこんなことも知らないのかよ」という顔を見せずに、取り繕ったまじめな顔で答えているところだ。

日本の国会もびっくりするほど、高齢化が進んでいるらしいアメリカ議会。質問者の平均年齢は62歳で、コアメンバーの平均年齢は80歳近いというシルバー集団に対峙するザッカーバーグ氏はまさに孫ほどの年齢。自分の祖父や祖母ほどの年齢の人に、スマホの使い方を懇切丁寧に解説している携帯ショップの店員のようなものだ。

たとえば、こんな質問が飛び出した。「(チャットアプリ)WhatsApp上でeメールしたら、その情報は広告主に伝わるのか?」「ツイッターとフェイスブックは同じようなもんか?」「ユーザーがおカネを支払わないのに、一体どうやってビジネスが成り立っているのか?」「うちの息子はインスタグラムに夢中でね~」「うちの選挙区に高速インターネット回線を持ってきてくれないか」などなど。

次ページわかりやすい言葉で丁寧に説明
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • NO NAMEe3602c573c3b
    質問者が日本の野党の面々で、記事を書くのが日本の大新聞の記者だったら真逆の評価だと思いますよ。
    先ず相手(立場が高い人)が罪を全面的に認めて辞職するなり謝罪金払うなりがストーリーの必須事項になりますからね。
    日本の悪いとこはそれです。
    苦し紛れの言い訳はダメですが、認識してる事実関係を述べただけで
    「謝る気があるのか!」
    「なぜ全てを(一瞬で)調べ上げて公表出来ないんだ!」
    「今すぐ辞めろ!」
    「辞めて責任が取れると思っているのか!」
    とか言う報道関係者が無意味なマスコミ対策をさせるんだと思います。
    up34
    down8
    2018/4/16 12:31
  • NO NAME4996232457ad
    コミュ力の定義が問題であって日米格差とかは無茶苦茶すぎる

    コミュ力=飲みニケーションみたいな浅はかな対話能力に対する誤解が日本にありがちなのは問題でしょうけど
    up15
    down5
    2018/4/16 13:12
  • NO NAMEb226d9ad219c
    日本は儲け話に乗ってるだけで出資者を納得させればいいからな。結局コインチェックは身売りしてミッション完了。端から社会や世界なんか見てない。
    up7
    down1
    2018/4/16 13:37
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
大空室時代が来る!<br>不動産投資サバイバル

ブーム一服の不動産投資。空室率悪化、女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」破綻など危うい気配も。多額のローンを抱えるサラリーマン投資家はどうなる?最新空室率マップも掲載。