この記事は日経 xTECH登録会員限定ですが、2018年4月17日11時まではどなたでもご覧いただけます。
オーストラリア通信芸術省(Department of Communications and the Arts)は2018年4月9日、「Impacts of 5G on productivity and economic growth(経済発展と生産性に対する5G効果)」と題する調査報告書を発表した(ニュースリリース)。今後の5G本格展開や5Gサービス導入支援に際して必要となる各種規制変更に向けた検討資料として、導入に必要な費用とその利点、ビジネス、一般消費者へのインパクトなどをまとめている。同調査報告書は、同省から2017年10月12日に発表された5G展開方針説明書「5G - Enabling the future economy」(関連記事)を補完するものとなっている。
報告書の主旨は下記のとおり。
- 5Gの導入で、オーストラリア経済全体のMFP(multifactor productivity、全要素生産性)向上が期待できる。試算では、5G本格展開後10年で、1人当たりのGDPは最高2000豪ドルの増加が見込める。
- 5G活用が見込まれる産業分野としては、情報・メディア・通信業界が45%と最も高く、その後に、芸術・エンターテインメント分野、教育、卸売・小売、金融・保険といった業種が続く。
- 5G技術導入による効果には、GDPでは表されないものもある。一般消費者には通信サービスの選択肢増加とコスト削減、社会全体としては、ガバナンスの透明化や、教育や医療サービスの充実などが期待できる。
- 5Gの経済的なインパクトは、それが以前の移動通信技術の改善版になるか、様々な分野に広く適応可能な革新的かつ基幹的な汎用技術(General Purpose Technology、GPT)になるかによって決まる。一般的に、GPTの方が、長期にわたって生産性の向上が見られるため、その伸び率は緩やかとなる。
- オーストラリアは電気通信機器とそのサービス活用率が英国の次に高く、米国、カナダ、ドイツ、韓国、中国に勝っている。今後の5G技術フル活用に適した環境にあると言える。
この調査報告書は、下記から入手可能となっている(「Impacts of 5G on productivity and economic growth」ダウンロードサイト)。