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 イーサネットは、家庭や企業のビルなど比較的狭い範囲のネットワークであるLANを構築するための有線ネットワーク技術である。TCP/IPなどのデータを物理的に伝送する、ネットワークの最も基本的な役割を担う。低コストで高速にデータを伝送できる特徴を持つ。

 イーサネットを構成するハードウエア要素は、パソコンやサーバーなどの端末、LANスイッチ、LANケーブルの三つ。そして、イーサネットではデータをイーサネットフレームあるいはMACフレームという形でやり取りする。

LANの構成要素とイーサネットが受け持つ範囲
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 IPパケットなどのデータは送信側の端末がフレームに入れて送り出す。受信側の端末は、フレームを受け取るとデータを取り出して上位のレイヤーに渡す。

 LANスイッチはフレームを中継する装置である。受け取ったフレームを宛先に従って適切に届ける役割を果たす。そして端末とLANスイッチをつなぐのはLANケーブルだ。

家庭からデータセンターまで

 イーサネットは多様な場面で活躍している。家庭や企業のLANでパソコンやサーバーなどの端末をネットワークにつなぐところに加え、データセンター内のネットワークインフラの構築に使われる。データセンターにある巨大なサーバーやスイッチ、ルーターをつなぐ用途だ。

 さらに通信事業者の巨大なルーターや伝送装置をつなぐ箇所にも使われる。

 イーサネットの仕様は米国の標準化団体であるIEEEが定めている。LANの規格はIEEE 802委員会が策定しており、そのうちイーサネット関連の規格はIEEE 802.3と呼ばれる。厳密に言えばイーサネットはIEEE 802.3の通称であり、イーサネットという名称自体は米ゼロックスの登録商標である。

 イーサネットが受け持つのは、ネットワークのプロトコル階層のうち、1番下の物理層と2番目のデータリンク層の一部。物理層は、符号化や変調方式といったデータ信号の送り方などを決める部分。この物理層を改善することで、高速化を進めている。