政府が来年4月に「特定技能」という新しい在留資格の創設を検討していることが日経新聞によって報じられた。
外国人労働力のさらなる確保が目的だという。労働力不足を何とか解消しようとする政府の焦りのようなものが感じられるが、その焦りがこの国の歪みをさらに加速させてしまうのではないか。そんな懸念をもった。
本題に入る前に、前提情報を簡単にまとめておこう。
昨年10月末時点の日本における外国人労働者数は、企業からの届け出ベースで約128万人。5年前の68万人と比べて2倍近くまで急増している。
厚労省によると、外国人労働者の内訳は主に4つのカテゴリに整理される。
それらを現時点で人数の多い順に並べると
1. 身分に基づく在留資格(約46万人)
2. 資格外活動(約30万人)
3. 技能実習(約26万人)
4. 専門的・技術的分野の在留資格(約24万人)
となる。
これら4つのカテゴリとその他を含めて合計すると128万人になるというわけだ。
最も人数が多い「身分に基づく在留資格」は、永住者、永住者や日本人の配偶者、そして定住者などで、定住者には日系人が含まれる。
バブルで労働力が不足していた90年代初頭の法改正によって、数多くの日系人がブラジルやペルーなどから日本の工場で働きにくることになった。
現在でも静岡や群馬、神奈川など、製造業の拠点に日系人が集住する場所がいくつもある。
2番目に人数が多い「資格外活動」の多くはいわゆる留学生だ(30万人のうち26万人)。
近年コンビニや居酒屋、ファストフードなどで外国人のアルバイトを見かけることが多くなったが、彼らは日本語学校や専門学校、大学で勉強をしながら、その合間にアルバイトをして学費や生活費を稼いでいる。
法律上週28時間以内までなら「資格外活動」としての就労が許可されており、政府が公式には認めていない「単純労働分野への外交人労働力の受け入れ」を暗に認める構造になっている。飲食や小売、宿泊などサービス業が大勢を占める。