2018-04-16

LGBT当事者の端くれだけど、「LGBTが気…本音」の記事炎上の仕方に違和感がある

やましい内容でもないので、オープンにしてあるほうのはてなブログで書こうか迷った内容なのですが、

私のことをセクシャルマイノリティと知らない読者さんも多いことだと思いますので、念のため自衛のためにこちらに記させていただきます

(メインの記事当事者視点で語ってしまうと、自動的カムアウトしてしまうことになるため、という意味です。)

LGBT気持ち悪い人の本音 「ポリコレ棒で葬られるの怖い」

https://withnews.jp/article/f0180406003qq000000000000000W03j10101qq000017134A

昨今、こちらの記事が「いじめる側の理論であると、かなりの勢いで燃え盛っていますが、

私の一読した感想としては、「どちらかといえば、「理解しよう」としてくださっている側」かな、と思いました。

たとえば、記事中の、

「同性パートナーだと保険金の受取人になれないんですよ! 3年前に知って驚きました。そんな不都合は、すぐ解消してあげたらいいと思うんです。」

こういったところに、このような感想がすぐ出てくるということは、ほんとうに忌み嫌っている側でもないし、共存したくないと思っている側ではないと思ったんです。

「そういう人はいてもいいと思うし、自分にはよさはわからないけれど、それが原因の不都合があるのは不平等から解消されるべき」

という思想は、決して叩かれる側の思想ではないと思うのです。

急に風潮が変わってびっくりしている、とか、自分にとっての当たり前が急に当たり前ではなくなってしまって社会の変化の早さに戸惑っている、と言ったふうに、

この記事から感じられたのは、「戸惑い」の感情でした。不理解、ではなかったように思われます

率直な感想として、率直でいいと思います

実のところ、何を美しいと感じたり、何を好ましいと感じたり、何を疎ましいと感じたり、何を吐き気がすると感じたり、するかは個人思想自由であって、見ず知らずの他人正義感から本音を語るような場ですら)「差別的から発言してはいけない」、といって規制していいものではないと思うのです。

この方はじっさいゲイ活動家の方にあって話をし、その場で相手を怒らせたわけではなく和やかに話を終えて場を去ったことでしょう。

そして、別れた後から、「あれが、本当のLGBTか、良く解らない……。自分と同じ性別を愛するなんて理解不能だ」と自分の中で反芻する。

それで、とても、いいと思います

自分は、LGBTのなかでも、(ここで具体例としてあげられた)ゲイではなく、T(トランスジェンダー)なので、

ゲイの方の感想はまた違うかもしれません。

LGBTとひとくくりにされていますが、LGBとTは本質的に違うもので、おそらく、LGBの方の納得する「社会理解」とTの納得する「社会理解」は、

段階的にかなり異なっているものであるのではないかと思われます

LGBは恋愛にまつわるマイノリティですから恋愛(~結婚、家庭)に対する社会の捉え方が変化すればそれですべて問題解決するのです。

そこで、現状のところ、上記で述べられたパートナー保険金を受け取ることが不可能だといった制度上の不都合は、解消されるような流れになりかけているように見えます

そして、制度上の不都合解決された先に求めるのは、「同性愛をめぐる目線への不都合の解消」になることかと思われます

一言で言えば、「同性愛異性愛と同じぐらい自然ものだし、同性愛からかったり、あるいは過度に神格化してほしくない」といった要望になることでしょう。

そういった段階の不都合辟易しているLGBの方からすれば、先ほどの記事の人はそのようなからかうような視点をまだ拭えてはいないですし、おそらく、自分たちを攻撃してくる対象と映ることでしょう。

自分はTのほう、トランスジェンダーのほうであり、トランスジェンダーの中でも比較的少数派のTGなので、「身体性別性自認が異なり、かつ、身体的な改造を求めないタイプになります

社会的に性自認の方で生きられれば充分、といったタイプではあるので、自分が最も求めている「社会理解」は、生まれつきの身体のまま、戸籍等を性自認のほうに変更することが可能になること、になります

まりTGは「性別というものの捉え方」にまつわるマイノリティなので、性別のものに対する社会の捉え方の変化を要求しているのです。

ちなみに、私の外見につきましては、初対面では99.999999パーセント身体の方の性別認識されますあくまで、中性的ファッションを好む人、と認識されています

性自認のほうのファッションを購入し着用しておりますが、ジャストサイズの服で、かつ社会に紛れて違和感がないものをチョイスしていますので、変な話、異性装とすら認識されることはありません。

TGである私の求める「社会理解」は、この状態で、どうみてもそういうふうに見えない「もう一つの性別」として扱え、と要求しているわけです。

……どうですか?受け入れられますか?

「うっ」と思いませんでしたか

これを認めてしまえば、社会が混乱すると私も思います

というのも、これは、今までの性別というもの概念をいったん壊して再構築するように社会要求しているわけですからちょっとハードルが高いことだと思います

目の前の男性/女性に見えるAさんについて、本人に聞くまで性別がわからないという状態です。

現代社会では、目の前のAさんはどうやら男性っぽいか男性だろう、と決め打ちしてかかることが当たり前のように許されていますが、

その行為自体が「失礼」になり、本人が「男性です」と答えるまで、どうみても男性でも「性別不明」として扱わなければいけない社会になりうるわけです。

とうてい達成されうる目標だとは思えませんし、それにこれがもし達成されてしまった場合不利益を被る人が出てくるでしょう。

初対面でまだ性別を明かしていない相手からスマート男性/女性扱いやエスコートをしてもらえない社会になるわけですから

もし、こういう風潮になった場合、かなり困惑……しませんか?

多分、先述の記事男性困惑ってこういうタイプの「困惑」じゃないかと思うんです。

同性愛違和感がないという人で、先述の男性困惑感想否定的感想を言っていた人は多いですが、確かに同性愛理解やすいんです。

でも、同性愛はすんなり理解できても、トランスジェンダーの中の狭義のTGを同じように理解することが出来ない人は結構いるんじゃないかと思います

どうでしょう

「初対面で性別不明扱いにするのは、中性的な外見の人に限定すればいいのでは?」というアイデアもありますが、それもまた、難しい問題を孕んでいます

というのも、中性的からといって必ずしもセクシャルマイノリティだというわけではないからです。確かに中性的な男女に少なからセクシャルマイノリティが紛れ込んでいるのも事実です。しかし、そうでない人も多いです。

学生のころ、中性的雰囲気同級生がたまにいましたが、その中で何人かは現在トランスジェンダーとしてカムアウトするようになりましたし、

そして、何人かは既婚者になりました。つまり、当たり前のようにいた中性的学生たちの中には、多くの異性愛者と少数のトランスジェンダーがいたわけです。

彼らの性自認が「どっち側」なのかは、外見から見分けるのは困難だと思います。私も、彼らが大人になってカムアウトしたから「ああ、そうだったのか」と知っているにすぎないですし、当時はわかりませんでした。

このあたりの事情を鑑みますと、万人が納得する「理解」や「共存」って実は結構難しいですよね、っていう感想です。

VR空間なら自由に生きられそう。

  • anond:20180416003431

    VRでアバターを利用するのが一般的になったらなったで こういうアバターを使ってるやつはゲイだとかオカマだとかそういうレッテルや類型が流布されるようになって 結果として現実と...

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