◆ずばり答える、本音を探る[明言深聞] 松屋フーズ社長 瓦葺一利氏
牛丼チェーン「松屋」などを展開する松屋フーズが6月中旬、沖縄1号店のとんかつ店「松のや」を北谷町美浜に開店する。初年度で5~10店程度、2年目以降に20店以上の展開を目指す同社の瓦葺一利(かわらぶき・かずとし)社長に、沖縄進出の背景や店舗戦略などを聞いた。(聞き手=政経部・島袋晋作)
-沖縄進出の経緯は。
「沖縄については昔から研究してきたが、他社の出店状況を見て、本格的に考えるようになった。注目したのは日本の統計情報の中で信用性が高いといわれている人口統計。その中で伸びている沖縄は、挑戦しがいがある。昨年8月、沖縄を訪れ、活況を見て出店を決めた」
-「松屋」でなく、「松のや」で進出するのはなぜか。
「価格帯が同じ競合2社の店舗数や戦略を踏まえたら、とんかつでいくべきだろうと考えた。ただ、沖縄進出が報じられた後、『松屋』の出店を期待する声もいただいており、今後の成果を踏まえながら松屋の展開も考えたい」
-材料調達にかかる物流コストをどう考えるか。
「本土と離れた沖縄で出店する以上、物流コストは大きな課題だ。加工工場の整備が必要だが、県内企業とのOEM(相手先ブランドによる生産)契約や船便活用も考えている。内地の企業としては地場の企業の力を借りるのが一番早い。県内企業の敷地を間借りすることや、共同出資を含めて検討したい」
-2店舗目以降の展開は。
「幹線道路沿いのロードサイド型として沖縄市や宜野湾市などへの展開を考えている。那覇市内はテナントに入るビルイン型を検討している。セブン・イレブンも県内進出を控えて土地を探しており、激しい争奪戦がある。当面は数ありきではなく、サービスに磨きをかけたい」
-沖縄を訪れる訪日外国客の需要も意識しているか。
「お客さま第一を経営理念に掲げているが、店舗は社会のインフラであり、店舗を通じて地域貢献していくという考えを持っている。まずは商品と価格で県民に貢献したい。少子高齢化が進む中、当然海外展開は経営方針として持っている。多言語対応のメニューを用意するなど県内への訪日客へのサービスも充実させていく。それが結果的に今後の海外展開につながっていくことはあるかもしれない」
-沖縄でのオリジナル商品の展開は考えているか。
「競合2社もやっている。われわれも現在、開発を進めているが、沖縄のブランド豚であるアグーの商品も可能性はある。県民の皆さんに喜ばれるメニューを提供し、地元に根付いていきたい」
【かわらぶき・かずとし】 1976年、東京都出身。2006年、松屋フーズ入社。財務経理部長、取締役、常務を経て16年に社長に就任し、商品本部長も兼ねる。父は創業者で会長の瓦葺利夫氏。