歴史再発見 「庚申信仰と庚申堂」
2015年7月15日 (取材&記事:happyrarasan
庚申信仰とは、教祖もなければ経典・教義らしきものもない信仰で、今の我々からすると何とも得体の知れない俗信といえるかもしれません。しかし、この日、睡眠をささげて、一晩一心に願い続ければ如何なる願いも叶うとされていました。 | |
庚申堂と庚申塔について(藤沢市) |
|
藤沢市内の庚申堂 創立年代不詳 本尊は江戸時代前期の作 青面金剛立像(市指定重要有形民俗文化財) 開帳は60年に一度の庚申の年。 次回は2040年 境内の1.7mの庚申塔 (寛文13年(1673年))銘も市指定重要有形民俗文化財です。 藤沢市内の庚申塔 藤沢市には多くの庚申塔が見られますが、青面金剛像は必ず彫られていて、上部左右の大陽、月、下部の三猿は誰が見ても認識できるので庚申塔であることは見分けられます。 |
|
|
|
庚申塔は庚申塚(こうしんづか)ともいい、中国より伝来した道教に由来する庚申信仰に基づいて建てられた石塔のことです。庚申講を3年18回続けた記念に建立されることが多く、塚の上に石塔を建てることから庚申塚、又は塔の建立に際して供養を伴ったことから庚申供養塔とも呼ばれています。藤沢市内だけでも庚申塔は相当数あるといわれます。この数からしても庚申講が如何に盛んに行われていたかがわかります。 |
|
六臂青面金剛 (左の写真) 六臂青面金剛+邪鬼+三猿(右の写真) |
伊勢山公園(藤沢4-4)駒形塔 承応二年(1653)(有形民俗文化財) 白幡神社(藤沢2-4-7) |
三尸の虫と庚申待ち |
|
庚申とは干支(えと)の庚(かのえ)・申(さる)の日を意味し、この夜に人間の体の中にいる三尸の虫が、寝ている間に体から脱け出して、天帝にその人間の行った悪行を告げ口に行く。天帝は寿命を司る神であるから、悪いことをした人に罰として寿命を縮める。ところが、三尸の虫は、人間が寝ている間にしか体から脱け出ることができないので、庚申日は、徹夜をする、これを庚申待ちといいます。 | |
青面金剛について |
|
この庚申待ちの行事に、さまざまなことを行って徹夜していましたが、青面金剛はこの三尸の虫を喰ってしまうので、いつの頃からか、庚申待ちには、この青面金剛を本尊として拝むようになり、庚申イコール青面金剛となりました。この日、睡眠をささげて、一晩一心に願い続ければ如何なる願いも叶うとされています。 |
|
青面金剛 真ん中より少し下の左右にいる動物は鶏です。 庚申の日を夜明かしすると酉の日になることから彫られたらしいです。この石碑には、仲のよさそうな雄と雌が彫られています。 青面金剛が持っている羂策は棒に巻き付いた蛇のようです。蛇は三尸の虫封じの道具とされています。宝剣・弓矢は悪魔降伏の為に持っていると思われています(丸森町筆甫早稲田観音堂) 下部の見猿/言わ猿・聞か猿は8世紀頃天台宗の教えとして日本に伝わりました。中国語の「不見不聞不言」を訳したものでサルとは関係なく、全て「ざる」で終わることから猿にかけたものと思われます。 |