ジャカルタの鉄道「日本製新車」導入で転機?

「中古車両」安価購入政策は終焉の可能性も

日本車輌製造が造った通勤車両が4月4日深夜、ジャカルタに到着。先頭車両は4月6日に陸揚げ(筆者撮影)

ステンレスボディに、青い帯、そして最近の流行とも言える半流線形の正面形状。2月下旬のある日の深夜、国内私鉄向けの新型車両かと見紛う車両が日本車輌製造・豊川工場から、豊橋港に向けて輸送された。

東洋経済オンライン「鉄道最前線」は、鉄道にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

約1カ月の航送を経て、その車両は4月4日にジャカルタ・タンジュンプリオク港へ到着した。わが国の円借款事業として来年度に開業を目指すインドネシア初の地下鉄、ジャカルタ地下鉄公社(MRTJ)南北線向け車両の第1陣となる6両編成2本、計12両である。構想から約30年、着工から約5年、実際に営業に就く車両が到着したことで、いよいよ開業が目前に迫ってきたことを実感させられた。

通勤輸送の大動脈に

MRTJ南北線は、ジャカルタ特別州最南部に位置し、隣接するデポック市、タンゲラン市にも程近いルバックブルスから、都心を経由し、旧市街でもあるコタ・カンプンバンダンを結ぶ23.8㎞の計画であるが、今回開業するのは、郊外と都心を結ぶ第1期区間にあたるルバックブルス―ブンダランHI間15.7㎞である。都心側のスナヤン―ブンダランHI間5.9㎞が地下区間、残りは高架式である。ジャカルタいちばんの目抜き通りともいえるスディルマン通り、およびファットマワティ通りの地下や直上を走行し、首都を南北に貫く。また、都心側のドゥクアタスではインドネシア通勤鉄道(KCI)環状線と空港鉄道に連絡するなど、今後ジャカルタの通勤輸送の大動脈になることが予想される。

第1期区間の土木工事は6工区に分けられ、東急建設・清水建設・大林組・三井住友建設それぞれが現地企業とJVを組み、建設にあたっている。信号・通信・出改札などのシステム納入、および受配電など含めた軌道工事等は三井物産・東洋エンジニアリング・神戸製鋼所他、4社のコンソーシアムが、また実際のオペレーションにかかわる部分に対しては、開業前・開業後の運営体制の構築・支援として、日本コンサルタンツ・日本工営・オリエンタルコンサルタンツ・パデコが共同で受注している。

次ページ新型車両の概要は?
関連記事
トピックボードAD
人気連載
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

  • とらきち140abf88244f
    JR東日本の205系は武蔵野線用で終わる。
    これで国鉄設計はで頑丈に作った電車は無くなった。
    この後、JR東日本は209系などのいわゆる使い捨て電車を作るようになったので、譲渡する中古車が無くなった。
    これが新車を導入した理由の1つだと思う。
    これからは価格では中国製に負けてしまうと思われるので、今までのノウハウで頑張って受注を取れるようにして貰いたい。
    up11
    down2
    2018/4/15 07:42
  • NO NAMEc68b70dba623
    うお、こりゃ東急の色違いではないか。
    2、3世代だかすっ飛ばしていきなりこれか。
    up8
    down0
    2018/4/15 08:12
  • NO NAMEd8e49fcc22f1
    ジャカルタは世界一の都市圏東京に次ぐ世界2位の都市圏規模を持ち、マーケット規模は3,000万人を超える(もちろん北京や上海、ソウルを超える)。今後通勤鉄道・地下鉄共に開業・延伸が期待され、鉄道需要が伸びるのは間違いないだろう。

    日本の少子高齢化で2050年ごろにはジャカルタが世界最大人口の都市圏になっているだろうから、その頃までには鉄道インフラも大方整い、車両や鉄道技術もインドネシア国内生産になっているだろう。日本もどこまで介入できるか見ものだ。
    up4
    down0
    2018/4/15 09:29
  • すべてのコメントを読む
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!
トレンドウォッチAD
日米とも深刻<br>職場ストレス死

NHKと電通で起きた過労死事件。米国でも劣悪な労働環境が原因で年約12万人が命を落とすと推計される。スタンフォード大学教授に聞く「死なない職場づくり」。今、何ができるのか。