■漫画村の潰し方を語るひろゆき
2ちゃんねる創始者のひろゆきさんが、海賊版サイト問題の対策としては法改正して広告代理店を逮捕することで対処するべきだと語っています。
具体的に会社名を出して漫画村への資金提供に協力している広告代理店を非難している人もいます。
はてなブックマーク - 漫画村と株式会社○○の関係 – mangamurawatch – Medium
そういった声に対して、
アドテク業界で働く者として物申したい。漫画村はおそらくSSPの広告タグを張っていて、nex8はそのSSPと接続して広告を配信しているだけ。漫画村と取引してる広告業者を知りたければ、広告タグを見るしかない。
http://b.hatena.ne.jp/entry/s/medium.com/@mangamura/f8de72724009
と、広告主と漫画村の間に存在する大量の会社の一つでしかないという意見もでていました。
「アドテク」で画像検索をすると、こういう画像が出てきます
https://quartet-communications.com/info/listing/market/13804より引用
2013年の時点でこれです。もはや意味がわからない。こんなに複雑になっていると、個々の広告会社の人間が、自分は少し関わっているだけ。自分は悪くないと勘違いしてしまう気持ちも少しはわかる気がします。
上記の広告業界の方は「漫画村と取引してる広告業者を知りたければ、広告タグを見るしかない」と書いていますが、海賊版サイトの広告は、タグを見ても中々どの会社がやっているのかはわかりにくいです。
例えば、GoogleAdsenseであればソースに
<script async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"></script>
と書いてあるのでGoogleが関わっているんだなとわかりますが、漫画村の場合は、
<script src="http://js.aaddcount.com/160*600_2/594.js"></script>
<script src="http://js.aaddcount.com/160*600_1/593.js"></script>
<script type="text/javascript" src="http://pc.tunnel-vision.info/js/tad.js" charset="utf-8" async></script>
と書いてあり、aaddcount.comやtunnel-vision.infoにアクセスしても何も出てこないので、普通はこれがどの会社なのかはわかりません。
しかし、フリーブックスを閉鎖に追い込んだことで有名なCheena (ちーな)さんがTwitter上でこのaaddcount.comがどの会社なのかを暴き、社名を公開しています。
僕の知人にその会社と契約をしてしている人がいたので管理画面のスクリーンショットを送ってもらいましたが、確かにaaddcount.comと書いてありますね。
日本の警察は優秀らしいので当然この事は把握していると思いますが、どうなんでしょう。
既に警察が踏み込んでいて、漫画村運営者の情報を出すよう命令しているが無視されているのか、そもそも仮想通貨などで広告料金を支払っていて、この広告代理店も漫画村の運営者が誰なのかわからない状態で契約をしているのか。
まぁ、どちらにせよ日本政府はプロバイダにブロッキングの要請をするより、広告業界に海賊版サイトに関わらないように要請した方がいいんじゃないかと思います。
知人に警察に嫌われている動画サイトの広告を掲載している人がいるのですが、その人はこういう警告書をもらった事があるらしいです*1
こんな感じの警告書を広告業界全体に配るといいんじゃないでしょうか
違法サイトとの関係を隠さない広告業界
漫画村とは関係ありませんが、僕はそれなりにアクセス数の多いサイトを複数運営していた時期があり、現在は上場しているとある会社から何度も広告掲載依頼メールをもらっていました。
2014年にもらったメールの本文がこれです。
○○管理人様
突然のメール失礼いたします。
株式会社○○○○の○○と申します。
本日は貴サイト「○○」向けに、
新しい掲載枠のご提案でご連絡させていただきました。(中略)
★掲載事例
ONE PIECE速報様
<高速表示化済み>
http://onesoku.com/
広告掲載事例として、ONE PIECE速報というサイトがあげられています。
このサイトは、去年漫画のネタバレサイト運営者が逮捕されていた時にどさくさに紛れてサイトを閉鎖して逃亡したことで話題になっていました。
「超マンガ速報」「ONEPIECE速報」は、漫画の画像データやあらすじ、登場人物のセリフなどを漫画誌の発売前に掲載していた“ネタバレサイト”。「超マンガ速報」は、「長らく運営しておりました超マンガ速報ですが、諸事情により本日をもちまして終了させていただくことにしました」と閉鎖を報告。「ONEPIECE速報」も、「この度突然ではありますが、ONEPIECE速報を閉鎖する事になりました」と告知した。両サイトとも、閉鎖の理由は明らかにしていない。
こういうサイトを平気で掲載事例としてあげちゃうのが日本の広告業界なんですね。
リーチサイトを運営する広告業界
今回政府にブロッキング対象として選ばれたAnitubeをsimilarwebで調べてみると、日本国内のリーチサイトからのアクセス流入が多いようです。特に、ある一つのサイトからのアクセスが非常に多いですね。
では、このリーチサイトは誰が運営しているのでしょうか。お金目当ての個人?
いいえ、違います。広告業界の人間が運営していました。
リーチサイトを運営して違法サイトにユーザーを送客しているのも広告業界で、
広告枠を買い取ってサイトの運営資金を提供しているのも広告業界。
このリーチサイト、以前はサイト上に堂々と運営会社の名前を載せていました。知人にその会社と契約をしているアフィリエイターがいたので色々と裏取りをしましたが、勝手にその会社の名前を使っているわけではなく、実際にその会社が運営していたようです。
紅籍会が逮捕されたくらいの頃でしょうか?いつだったか忘れましたが、今では会社名を公開していません。
もしかしたら会社名の公開をやめたタイミングで他人にサイトを譲った可能性もありますが、仮にそうだったとしても、過去にリーチサイトを運営していたのは事実です。
日本の法律上問題ない範囲でやっているのであれば、個人的にはそこまで強く責める気はないのですが、それでも広告業界が海賊版サイトを支えているのは紛れもない事実なので、政府としてはそちら側の対策をする方向で動きそうな気がします。
国が出てきて本当に法改正されちゃうと広告業界側も色々とやりにくくなってしまうので、できれば法改正される前に自主規制をして業界健全化をしていくべきだと思いますが、大手の広告代理店とか動いてくれないかな。
追記
書こうと思っていて、書き忘れた内容があるので追記します。
・ブロッキング
→新規ドメイン作成or1.1.1.1を使われて対処される
・クラウドフレアを訴えて配信停止してもらう
→新規ドメイン・サイト名で別人としてクラウドフレアに再度登録されて対処される
・広告代理店を逮捕
→防弾ホスティングを使ったワンクリック詐欺の広告に切り替えて対処される
・漫画も音楽と同じ様にダウンロード違法化する
→アニメは既にダウンロード違法だがダウンロードされ放題だしanitubeは大人気。無意味。
という感じで、結局どれもダメージはあるけど対処されそうだと思ってます。ただ、ダメージが大きければ閉鎖する可能性もあるので頑張って欲しいですね。
(追記2)
著作権侵害の罰則を強化するってのも効果があるんじゃないかと思ってます。
違法サイトの運営者は100%逮捕されないという自信を持ってやっているわけではなく、仮に逮捕されても執行猶予がつく可能性があるし、実刑くらっても数年我慢してすぐ活動再開すればいいと考えています。実際、去年摘発された紅籍会のメンバーにも児童ポルノ関係のサイトを運営して逮捕歴のある人もいました。
漫画村の運営者も、仮に逮捕されても数年刑務所で健康生活を送って出所後は稼いだ金で一生遊んで暮らせばいいやくらいに考えてるんでしょう。そして、現行法のもとでは実際そうなるわけです。
例えば悪質な場合は実刑30年以上にするとか、人生が台無しになるレベルに罰則強化すれば違法サイトを作る人がいなくなるか、もしくは数千万円程度稼いだらさっさと閉鎖して活動終了してくれるかもしれません。
*1:その知人にはスクリーンショットをもらえなかったので、ネットで警告書を公開している人を探してそこから転載してきました