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質問:
 『新世紀エヴァンゲリオン』について質問です。
 エヴァについて20年以上 経ったので、そろそろ本当の事を教えてください。


 テレビ版の、あのシュールで不可解な終わり方が多くの考察・論争を呼び、結果として大きなムーブメントとして繋がっていきました。


 『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』以来の大きなアニメを盛り上げる為に、岡田さんを始めアニメ評論家たちが敢えて言わずにおいた、 あるいは分かっていたけど、ずっと黙っていたんじゃないかと疑問に思った部分を質問させていただきたいです。


 あの終わり方は、計算ではなくスケジュール崩壊の果ての、納品拒否ギリギリの苦し紛れのモノだったのではないでしょうか?

 山賀博之さんを始め、関係者・ガイナックスのスタッフは、「フロイトを始め精神分析なことに傾倒しており、ラストの方のスケジュールは、むしろ計算どおりだった」的な事を言っていますが、私は疑問に思っています。


 スケジュール崩壊の果てに偶然ひねり出したシュールな映像が、誤解の果てに、大きな論争とムーブメントを呼んだのではないでしょうか?

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 いや、そんな事を考えているのは、アナタだけだと思って(笑)。

 あのね、そんなにテレビって、ギリギリの納品って許してくれないし。


 最終回 近くになると、スタッフは手が余ってくるから、余裕が出来るんですよ。

 打ち切りでもない限り。


 だから、僕が『トップをねらえ!』の第6話を作ったときに、もう最初から「モノクロで行こう!」ってふうに決めてたし。

 「クライマックスシーンは全部 止め絵の連続で、オペラみたいな音楽をかけよう」って言ってた。

 でも、それであっても「お金が足りなかったから?」とか「スケジュールが足りなかったの?」って、さんざん聞かれた。

 それで面白いから庵野と二人で「いや、その通りです! もう間に合わなかったんです!」って ちょっと言ったら、それがあっという間に拡散して、本気で信じられちゃったっていうのがあるから(笑)。


 エヴァの最終回も、「ああいうのが作りたかった」っていうのが分かりきってるんですよ。


 あ、ナディアは違いますよ。
 真ん中へんの無人島編は。

 ナディアは本当に困った(笑)。

 でもラストが ああいうふうになるのは、もう最初から決めてました。


 なので、エヴァも最後はスケジュールがカツカツで誤魔化そうとして、あんなの撮った というのじゃない。

 だって、台本を写したり、実写っぽいものを撮ったりする方が、絶対に手間がかかっちゃうわけだから。


 アニメって、手を抜いたアニメを作るほうが一番 楽で。
 何か ちょっと変化球みたいな事をしようと思ったら、それだけスタッフのストレスも手間もかかっちゃうんで。

 あのエヴァの最終話あたりは、計算どおりだったと思いますよ。


 ただ その “計算どおり” っていうのが、ぴったりフィットする人もいれば、全然 納得できなくて「本当のことは? 本当のことは?」って言う人もいるんですけども。

 あの当時から、アニメの評論家というか、俺たちは何も隠してないですから(笑)。


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この記事は『岡田斗司夫ニコ生ゼミ』4月1日(#224)から一部抜粋してお届けしました。

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