日本人で、一番画数の少ない名を持つ人は誰だろうか?
理論的には(本当にいるかどうかわからないが)「一一」さんで、全部で2画、ということになる。
「一」は横棒でも長音でもハイフンでもなく、漢数字の1で、読みは
「いち、かず、はじめ、にのまえ、よこいち」
などと読むそうだ。
全国におよそ380人くらいいる実在の名字らしい。
しかし、よほど酔狂な親でもなければ、この名字の子供の名前に「一」(はじめ)などとは付けまい。
そもそも、有名人でも名前に「一」とつけてる人はあまり見ない。
創作の世界でよければ、アニメ「いなかっぺ大将」に出てくる登場人物、西一(にしはじめ)がいる。
また、芸名でいいなら九十九一(つくもはじめ)も有名だ。
この人は、本名は福地隆(ふくちたかし)というらしい。
エジソンの名言「発明は99%の努力と1%のひらめきから」が芸名の由来とか。
「五木ひろし」「北島三郎」「八代亜紀」「永六輔」など、数字が名前に入っているのは珍しくもなんともないが、姓や名が純粋に数字だけというのは、やはり珍しいと思う。
すぐに連想するのは「坂本九」であろう。
彼の出生時の名前は「坂本九」(さかもとひさし)。
荷受請負業「丸木組」の社長坂本寛の第9子として生まれたので、そのようにつけられたらしい。
「九」と書いて「ひさし」と読むのがよく分らない。「久」と字の形が似ているからなのか?
巨人のピッチャーだった選手に高橋一三(たかはしかずみ)がいる。
が、彼の名前の由来はよく分らない。「一三」くらいの名はそれほど珍しくないのかもしれない。
映画監督の「伊丹十三」。
この人の本名は池内義弘だが、父親が伊丹万作だったので名字を伊丹とし、名前は小林一三(こばやしいちぞう、実業家・政治家)にちなんで、「伊丹一三」とした。
さらに、「マイナスをプラスに変える」という意味で「十三」に改名したという。
直木賞で有名な直木三十五の名前の由来も変わっている。
本名は植村宗一。直木の字は、植村の「植」を分解したもの。
「三十五」は年齢から来ており、31歳の時に「直木三十一」の筆名で文筆活動を始め、以降誕生日を迎えるたびに「三十二」「三十三」と筆名を変えていき、最終的に「三十五」で落ち着いたとのことだ。
まるで「椿三十郎」の名前みたいである。
山本周五郎の本名は清水三十六(さとむ)だが、おそらくこれは明治36年に生まれたことでつけられたのだろう。
筆名は、住み込みで働いていた質店「山本周五郎商店」に由来している。
山本五十六も本名だが、これは父親が五十六歳の時に生まれたことでつけられた名前のようだ。
作詞家の西條八十もまた本名。両親は、苦しいことがないようにと、「苦」に通じる「九」を抜いた「八」と「十」を名前につけたという。このあたり、坂本九とは正反対である。
「三五十五」というと、小林まことの漫画「柔道部物語」の主人公の名前だが、電撃ネットワークのメンバーの芸名でもあった。2015年に肺がんのため52歳の若さで亡くなっている。
数字の名前ではないが、こうした掛け算の語呂合わせでつけられた芸名や筆名には、戦前に活躍した喜劇人の山茶花究(さざんかきゅう)や、小説家の獅子文六(ししぶんろく)がいる。
名字の例だと、例えば千昌夫などが有名だ。
茶人の千利休と親戚なのかと思ったら全くそうではなくて、本名は阿部健太郎というのだそうである。
確かに阿部健太郎では、「星影のワルツ」も「北国の春」もヒットしなかっただろう。
将棋の棋士で現役最高齢の加藤一二三(ひふみ)は本名だ。
段位は九段なので、縦に読むと「かとうせんにひゃくさんじゅうくだん」とも読めるというネタになっている。
最近ではバラエティ番組にも出演し、「ひふみん」の愛称で人気者だが、どうして「一二三」という名前になったのかは、wikipediaを見ても記載がない。
ところで、一番大きい数字の単位は「無量大数」、その次が「不可思議」というらしい。このあたりを名前につける親はさすがにいないと思うが(落語の「寿限無」じゃないんだから)、その次の「那由他」(なゆた)は実際にいるようだ。
将来、那由他くんや那由他さんが、芸能界やスポーツ界で活躍する日もそう遠くないだろう。
逆に1未満の小数の方をとって、「模糊」(もこ)とか「刹那」(せつな)、あるいは「阿頼耶」(あらや)なんて名前を子供につける親もいそうである。
まあ、そういう自分も「曖昧模糊」ならぬ「合間妹子」をHNにしているわけだが…。
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直木賞は知っていても三十五を知らない人は多いですよね、名前の由来を知れて良かったです、しかも植木の字を分解!
2017/2/11(土) 午後 2:31
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