最強に美味しくて最強に健康にいい、そんな夢の食べ物・納豆。
炊きたてご飯に乗せればそりゃ天国、そのまま食べても何かに入れても何かを入れてもどうやっても美味い! 嫌いな人にとっては匂いがネックかもしれんが、納豆好きには優雅な芳香でしかないんじゃ!
冒頭から納豆への熱い想いをひけらかしてしまい申し訳ありません。しかし、私シマヅは納豆が好きすぎるのです。
酒を飲んでは納豆を食べ、小腹が減っては納豆を食べ。日本が誇るこの素晴らしい発酵食品にただひとつ欠点があるとしたら、泥酔して「シメに食うか」とパックを開けて口に入れたところで寝落ちした次の朝、口内と寝具が悲惨なことになる、くらいでしょうか。
そもそも、イソフラボンの塊の納豆さんは、アラサー女子や健康に気をつかっている男性からしたら超絶ありがたい食べ物。大量に食べイソフラボンの恩恵を受け、お肌ツルツルになりたい! 飲みすぎのダメージがきている内臓もいたわりたい!!(イソフラボンにそんな効果があるのか知らんけど、プラセボって大事だし)
納豆を大量に食べたい筆者にとって、ワンダーランドみたいなお店を見つけました。
渋谷のお隣、池尻大橋にある「納豆工房 せんだい屋」というそのお店、納豆専門メーカーの納豆を時間無制限で食べられて、たったの790円だそうな……! しかも定食付き!
わずか! 790円で! 超優良納豆を嫌というほど食べまくれる!!!
そんなの、行くしかありません。
納豆パラダイスこと「納豆工房 せんだい屋」へ
伺ったのは「せんだい屋 池尻大橋店」。
東急田園都市線 池尻大橋駅から徒歩約6分の場所にあります。徒歩約6分といっても、西口を出て三軒茶屋方向にまっすぐ歩くだけなので迷いませんし──
何より、納豆の自販機というファンキーな目印もあるので、初めて行く方でも「あ、ここだ」とすぐわかるでしょう。
それにしても納豆自販機、そんなものがあるなんて。我が家の目の前に置いてほしい。
お店の名前から、宮城県仙台市のメーカーだと思い込んでいたのですが、こんな貼紙を発見。
山梨とな! 山梨県のメーカーなのに、なんで「せんだい屋」なの?
と、店名の由来を聞いたところ、「わが社には40年の歴史があります。一時期、山梨で納豆を作るのが流行ったんですよ。初めは仙台出身の方が先頭に立って納豆づくりを始めたんです。我々はその方から引き継いだので『せんだい屋』としています」とのこと。なるほど。筆者は山梨県出身ですが、納豆づくりが盛んだった時期があるなんて初めて知りました。
山梨県のメーカーというだけで推せる、郷土愛が爆発しそう……!
だけど、こちらは日々納豆に溺れる人間。食べ放題だからといって安物を出していないかとか、納豆の味を評価する目は厳しいままで行きますからね!!
入店した瞬間に確信する、ここは納豆パラダイスだと…!
「納豆ぶっかけうどん・そば」「納豆豚キムチ丼」など、納豆を中心にしたメニューがそろう中、今回注文するのはもちろん「納豆食べ放題定食」(790円)。
「国産小粒」「国産大粒」「国産ひきわり」「えだ豆納豆」「ごま納豆」「わかめ納豆」「ひじき納豆」「きび納豆」の8種類がおかわり自由で時間無制限! しかも、ご飯大盛り無料という太っ腹さ! 本当に790円でいいの……?
ここのご飯大盛り、おにぎり5個分ということで、お茶碗にちょっと多めっていうレベルではありません。ちなみに、おかわりは有料。
納豆はいっぱい食べたいけれど、ごはんおかわりは追加料金がかかるので筆者の食べ放題のルールに反するし……納豆のペース配分は戦略を立てた方がよさそう。
「大盛りで本当に大丈夫ですか?」と心配してくださる店員さんに「大丈夫です!」とキリッと伝えたら、やってきました! 納豆食べ放題定食!
山みたいに盛られた白米が、今か今かと納豆を待ち構えている……!
納豆&白米のほかに、味噌汁と小鉢、漬物がついているのもうれしいところ。
さてこの納豆食べ放題、最初は好きな納豆を2種類ずつ選び、食べ切ったら好きなものを同じように2種類ずつ(同じ種類でも違う種類でも)を追加注文していくスタイルです。
▲左「国産小粒」、右「国産大粒」。ちなみにネギは最初からのっています
筆者がまず選んだのは、オーソドックスな「国産大粒」と「国産小粒」。
「お店で納豆の食べ放題」という特別感のせいか、「世界で一番好きな食べ物は納豆!」といった感じで気分は超ハイに。では、いただきます!
まずはいちばん普通っぽい「国産小粒」から行ってみます。
市販の納豆と同じかと思いきや……ふつうの納豆よりも大豆の味、納豆の風味がともに強くはっきりクリアな感じ! さすが、専門店の納豆!
続いて「国産大粒」。小粒と味自体は変わらないけど、大粒ゆえか粘り気がめちゃめちゃ強い! 混ぜる手が痛くなるほどです。大粒なので大豆の優しい甘みと風味、噛み応えがしっかり感じられる。真の納豆好きには、こちらがオススメ。
第2陣は「国産ひきわり」と「えだまめ納豆」。
▲左「国産ひきわり」、右「えだまめ納豆」
「国産ひきわり」は粘り気の強さと豆の舌触りの相性が最高! 市販のものよりもうまみと香りが30%ぐらいアップしている印象です。市販品との違いをかなり感じます。
「えだまめ納豆」は国産大粒に似ているけれど、うまみがさらに強い印象。より柔らかな歯ごたえで粘りも強く、意外なことにこれが一番「納豆を食べている!」という感じでした。ただ、青臭さなど、枝豆らしい味は感じられなかったです。
ここで、筆者に悪魔のささやきが……
「ひきわり納豆? 味噌汁に入れるしかないだろ!」
というわけで定食の味噌汁にひきわり納豆を投入、「納豆汁」にしてみます。直接食べるの専門で、味噌汁に入れたことがなかった筆者。ちょっとした冒険です。
なんだこれは! 相当うまいぞ!!
納豆の匂いとお味噌の香りが調和しあっていて、なおかつ納豆の粘り気が汁に行きわたってトロトロに。これは納豆ラヴァーとしては崇め奉りたくなるレベル! 勇気を出してよかった……!
納豆汁があまりにウマくて食欲に火がついた!
第3陣は「わかめ納豆」と「ごま納豆」。変わり種納豆、さまざまな副原料を加えてから発酵させたものです。
▲左「わかめ納豆」、右「ごま納豆」
「わかめ納豆」は、わかめの香りはそこまでしないけれど、ニュルニュルした舌触りが楽しい! 変わり種納豆の中では個人的ベストです!
「ごま納豆」は、ごまのプチプチした食感と若干の香ばしさが納豆によく合います。
第4陣は「ひじき納豆」と「きび納豆」。
▲左「ひじき納豆」、右「きび納豆」
「ひじき納豆」は「わかめ納豆」と同様、香りはアクセント程度。ひじきが嫌いな人でも難なく食べられそうなお味です。逆にいうと、ひじき感は弱め。
「きび納豆」は、なめらかな納豆の中、雑穀・きびのちょっとつぶつぶした舌触りが面白いアクセントになっていて、なんだか楽しいです。
変わり種納豆たちに入っている具材はすべて「美容や健康にいい」とされているもの。あんまり単品で食べる機会はないけれど、納豆に入っていると手軽に摂取できてうれしい! 納豆だけでも超強力な健康食品なのに、さらにプラス! 今日で筆者は美しく健康に生まれ変わったに違いない!
おかわりが止まらないよ…!
まずは全ての納豆を味わった筆者。ここまではオードブル、今から本番や!
さあ2周目からは、卓上の調味料をフルに使ってガンガンおかわりしていきますよ!
しょうゆはもちろん合いますが──
個人的にはタレ・しょうゆの半々がオススメ! 小袋入りのタレはけっこう甘めなので、しょうゆと合わせるとちょうどいい感じでした。自分好みのタレで、納豆が進む進む!
小袋のからしもあるので、味を変えながらどんどん食べて……
そんなこんなで、18パック完食! どや!
こんなに食べる客はいないだろうと店員さんに聞いたところ──
店員さん「男性だと40パック、女性だと33パックが公式記録です。食べ放題がこの値段なので、だいたい6パックくらいが利益を出す限界。シマヅ(筆者のこと)さんみたいにたくさん食べられてしまうと利益はもちろん出ませんが、そもそもそれが目的じゃないので大丈夫です(笑)」
では、なぜこの食べ放題を始めたのかといいますと、
「利益を出すことが目的でなく、うちの納豆により親しんでもらうこと、また商品をおみやげに買っていってもらうことを期待した」との思いから、この太っ腹サービスを始めたそう。
店内にはさまざまな種類の納豆や、納豆を使った食品などが並んでいます。
こうした販売スペースの奥に、イートインスペースが。
イートインスペースというより、街角の小ぢんまりした食堂のような雰囲気。この日はほぼ満席でした。みなさん思い思いに納豆を楽しんでおります。
まとめ
めっちゃお腹いっぱい、納豆菌いっぱいになったのに、公式記録には負けた!
とはいっても、大盛りごはんと納豆のマリアージュが最高すぎたので、頑張ればご飯はもう1杯、納豆はもう18パックくらい食べられるし、むしろ食べたいといった心境。負けたのは悔しいけれど、きっと超健康にはなれた!
(もちろん、納豆に限らず何でも食べすぎは体に良くありません。筆者は欲望の赴くままに食いまくってしまいましたが……)
こちらのお店、納豆ドーナツや納豆アイスなど、納豆を生かしたスイーツも売っています。食べ放題チャレンジ後にはさすがに入らないので、次回だな。でもたぶん、また食べ放題やっちゃってスイーツ食べられないな。新記録を狙うにはどうしたらいいだろう。前の日から絶食するかな。などと帰りの田園都市線内でブツブツつぶやいていたところ、幼い子供から熱い視線が。
やだ、納豆パワーで美しくなった私に釘付けなのかしら? と思いましたが、「ママ、あの人ひとりでお喋りしてるよ」「コラっ、見ないの!」と怒られていました。私は「キレイなお姉さん」じゃなく「ただの不審者」なようです……。
紹介したお店
- ジャンル:食堂・定食
- 住所: 〒154-0001 東京都世田谷区池尻3-20-3 柳盛堂ビル1F
- エリア: 池尻大橋・三宿
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著者プロフィール
ライター/シマヅ
1988年生まれ。フリーライター。 武蔵野美術大学造形学 部芸術文化学科を卒業後、2年ほど美術業界を転々としていたが現在は主にWEB上で文章を書き生計を立てている。女性向けコラム、インタビュー記事、グルメレポート、体験記事など、幅広い分野で執筆活動を行う。