第4272ばか
リズ☆青い鳥
三好の近況報告。
キラキラの新人たちが眩しくて、羨ましくて、なんとなく伏し目がちな今日この頃。
仕事はもっぱら、泳いでいる人ばかりを描く日々です。
水泳シーンはカロリーが高いのでワンカット上げるのに四苦八苦しておりますが、楽しいです。
ガンバロー!
さて、ここでお知らせというか、個人的感想というか、映画の宣伝をひとつさせて頂きます!
いよいよ来週、4月21日公開の「リズと青い鳥」!
三好は一足早く初号で観てきました!
監督本人がどこかで語っていた通り、傍観者の視点で描かれたこの物語は、実に魅力の溢れる映画に仕上がっています!
序盤から中盤にかけては、何とも言えない緊張感が場面を支配し、見終えた時には希美とみぞれのささやかな成長に、心底ほっとして強張っていた緊張が緩やかに解けていきました。
感動しました…
しかし、それにしても不思議な映画でした。
観賞中に実写かと錯覚するような臨場感を体感したのですが、邦画のそれとはなにか違う。
実写のようなリアルな作劇… と云うものでは決してないのに、登場人物たちの息遣いを間近に感じる…
ひとつ思い当たるのは、やはり山田監督の言葉。
傍観者の視点による映画。
映画を撮る者はおおよそ観る者を飽きせないように展開に抑揚を付け、心が奪われるような瞬間を絵にしようと腐心する。
つまり主観、客観を織り交ぜて躍動感を演出し、映像としての魅力を少しでも付加しようとする。
三好も演出をすることがあるので、この辺りはとても苦労しています…(視線を逸らされるのがとても怖いので…)
ところがこの映画にはそれがない? …ように感じる…
まさに傍観者を決め込んで、物陰から二人の主人公を静かに覗き見ているだけのような映画…
淡々とした時の流れが観客の前をひっそりと過ぎてゆく。
ドラマというにはあまりにもありふれた日常が推移する。
それなのに不安が緊張感を孕んで徐々に胸が騒ぎだす。
その不安の正体はしばらくするとぼんやりと見えてくる。
監督の云う傍観者とは、映画というよりは演劇鑑賞のそれに近く、この映画は役者と観客の距離が限りなく近い。
そのあまりに近い距離感が実写よりも生々しい緊張感を映像に定着させている。
廊下を歩く靴音が肌に響き、息遣いで空気がゆれる。
希美とみぞれが居る空間で、二人と同じ時を共有している事が肌身で分かる。
その舞台で、私は十代の頃の無防備に晒された脆弱な感性をリアルに追体験する。
それはとても苦くて痛い…
ただ、驚いたことに、それが心地よい。
三好は映画という表現の懐の深さを改めて知ったのだ。
これは日常のうつろいに寄り添うことの幸せを謳った映画だ。
劇的瞬間ではない、その幕間に隠れた密やかな儚さに視線を向けた映画なのだ…
キャラクターデザイン及び総作画監督の西屋太志氏の仕事は、まさに本物の魔術師の如く希美とみぞれに命を吹き込み、牛尾憲輔氏の楽曲は奇跡のような色彩を伴って観る者の心を優しくつつむ。
響け!ユーフォニアムのファンは勿論、山田尚子監督が気になる人には何としても観てほしい。
映画館という舞台で北宇治の校舎に吹く風を、希美やみぞれと共に体験してほしい。
是非是非。