朝鮮日報

為替介入内容公表に踏み切る韓国政府

■為替市場情報公開に向けた協議

 米国は包括通商競争力法(1988年施行)と貿易円滑化・貿易執行法(2015年施行)に基づき、韓国と為替協議を行っている。米財務省は最近3年間、4、10月に貿易円滑化法に基づき、貿易相手国をモニタリングし、為替操作国を発表してきた。為替操作国は(1)対米貿易黒字が200億ドル超(2)経常収支黒字がGDPの3%超過(3)為替介入規模(外貨の買い入れ)がGDPの2%を超過--という条件を全て満たすことが指定条件だ。韓国はこのうち(1)(2)には該当するが、(3)には該当せず、2016年4月から4回連続で「監視対象国」にとどまっている。監視対象国は昨年10月時点で韓国、中国、ドイツ、日本、スイスの5カ国。しかし、トランプ政権が通商圧力を強め、不確実性が高まっている。韓国に基準があいまいな30年前の包括通商競争力法を適用し、為替操作国に指定するのではないかとの観測も出ている。

 韓国政府が20年近く譲歩しなかった為替市場介入内容の公開というカードを交渉テーブルに乗せたのは、米国の圧力に対抗し続けた結果、1988年のような悪夢が繰り返されかねないという懸念が背景にあるとみられる。為替操作国に指定されると、米国の政府調達市場に韓国企業が参加できなくなり、為替操作国指定解除のため、市場介入内訳の公開だけでなく、自動車関税面などで譲歩を迫られる可能性がある。

 韓国政府が譲歩せざるを得ないと判断したのは、OECD加盟国や主要20カ国・地域(G20)で介入内容を公表していない国は韓国しかないことも一因だ。

 しかし、企業にとっては、政府が為替市場介入の内訳を公開すれば、ウォン高が急激に進み、輸出への打撃が避けられないとの懸念がある。韓半島(朝鮮半島)の北朝鮮リスクが和らぎ、ウォン高が進む状況で、政府の手足は縛られる。国策シンクタンクの研究員は「米国が望むのは、韓国の為替介入情報ではなく、韓国との貿易で赤字を削減することだ」と述べた。

崔鍾錫(チェ・ジョンソク)記者
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