【4月14日 AFP】共産主義国キューバではインターネットへのアクセスが制限されているが、首都ハバナで自撮り棒を持って海沿いのマレコン(Malecon)通りを歩くフランク・カマレリス(Frank Camallerys)さん(19)は、動画共有サイト「ユーチューブ(YouTube)」に投稿した映像で数千人のネットユーザーを魅了している。

 キューバの他の人気ユーチューバーやほぼ全てのキューバ国民と同様にカマレリスさんも自宅からインターネットにアクセスすることはできない。

 だから動画を投稿するにはハバナの街を歩いて、1時間1ドル(約107円)でWi-Fiにアクセスできる広場に行かなければならない。最新作をユーチューブにアップロードするのにも30分以上かかる。

 キューバには若き人気ユーチューバーがカマレリスさんを含め約50人いる。カマレリスさんが1年前に作成したチャンネル「Camallerys Vlogs」のチャンネル登録者は9000人を超えた。

 カマレリスさんは「動画をつくって、オンラインに上げるために2、3キロ歩いて、それからアップロードが終わるまで40分待つ。どれだけこれ(ユーチューブ)にはまっているか分かるだろ」と述べた。

 世界の大半では携帯電話や自宅のWi-Fiを使って簡単にソーシャルメディアにアクセスできるが、キューバ国民はカマレリスさんと同様の障害に直面している。

 キューバでネットコンテンツは「パッケージ」で拡散する。「パッケージ」とはコンテンツを保存したUSBメモリーのことで、これを手渡ししている。

 配布者は普通のインターネットからコンテンツを入手し、1ドル相当の料金を取って各家庭に提供する。購入者は小説やサッカーのFCバルセロナ(FC Barcelona)や米プロバスケットボール(NBA)の最新の試合などをダウンロードする。

 1日に1ドルはキューバ政府職員の平均月給に相当する金額だが、民間企業の給料ははるかに高い。パッケージのラインナップは毎週更新される。

 エマ・ロペス(Emma Lopez)さん(18)はパッケージの利点を熟知している。「最初、私の動画を見た人は3人しかいなかった。でもパッケージが広まったおかげで視聴回数が増えて、最終的には全国で有名になった」