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 日本の土地の標高を測る全ての基準となる「日本水準原点」。国会議事堂の前にあるこの原点の隣に、国土地理院が新たにGPS(全地球測位システム)などを活用する「電子基準点」を設置した。電子基準点は全国に約1300カ所あるが、都心に設置したのは初めてだ。3月26日から運用を始めた。

国会議事堂の前にある日本水準原点と、その隣に設置した電子基準点(写真:国土地理院)
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 日本水準原点は、日本各地の標高を求める水準測量の出発点だ。全国に約1万7000カ所ある水準点は、離島などを除き全て日本水準原点を基準とする。現在、各地の標高を調べる際は、これらの水準点を基に測量している。

 最も高い精度で標高を求めるには、標尺と呼ぶものさしを両端に立て、80mごとに測量しなければならない。例えば、最寄りの水準点から8km離れた場所の標高を求めるには、水準測量を100回繰り返すことになる。多くの人手と時間がかかるのが難点だ。

 一方、電子基準点は人工衛星を利用するのでリアルタイムで高さを測ることができる。ただし標高は、場所によって微妙に異なる重力の影響を受ける平均海水面を基準とする。そのため、重力の影響を受けない衛星を利用する測量だけでは、標高を求めることはできない。GPSが普及した現在でも、標高の測量には明治時代から続く水準測量を用いている。