トランプ米大統領、「ひどい」TPPへの復帰検討を指示
ドナルド・トランプ米大統領は12日、環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰の検討を指示した。トランプ大統領は昨年1月にTPPからの離脱を表明していた。
同日開かれた上院議員らとの会合には、貿易戦争を懸念する農業州から選出された議員らも参加していた。
トランプ大統領はこれまでTPPについて、「ひどいこと」になる可能性があると強く反対していた。しかし、中国との対立がエスカレートするなかで、トランプ大統領の貿易戦略を批判する声が高まっていた。
トランプ政権が鉄鋼やアルミニウム製品への関税を導入し、幅広い中国製品に対する追加関税を検討するなか、与党・共和党の一部議員を含む政治家たちは、トランプ氏が米国を大きな損害をもたらす中国との経済戦争に導くのではないかと不安視している。
政治家らは、農業など米国の産業への報復措置を招くような関税を手段にするよりも、ほかの国と協調して中国に圧力をかけるべきだと主張している。
関税に強く反対してきたベン・サス上院議員(ネブラスカ州選出)はツイッターで、トランプ大統領が復帰検討を通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー代表と国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長に指示したのは「良いニュース」だとコメントし、「今、中国の不正行為に対抗するために米国ができる最良の策は、自由貿易と法の支配を掲げるほかの太平洋11カ国を主導することだ」と述べる発表文をツイートに添付した。
当初、米国を含む12カ国の間で交渉が行われていたTPPは、オバマ前政権時に、アジア地域における中国の台頭への対抗策として考え出された。
これに対して労働組合などは、TPPが大企業を優遇していると批判。2016年の大統領選では、トランプ氏の対立候補だった民主党のヒラリー・クリントン元国務長官も、TPPへの反対を表明していた。
トランプ氏は大統領就任直後にTPP脱退を決め、主要な選挙公約の一つを果たした。
米国が脱退した後も、残った11カ国は交渉を継続。参加国は今年3月に協定に署名した。
産品を輸出する農家などは、米国がアジア地域との貿易で不利な立場に立たされることへの懸念を表明してきた。
トランプ大統領は12日の会合で、「我々(米国)の要求が受け入れられる形」でのTPP復帰を検討するよう指示したという。トランプ氏は以前にも、TPP復帰を再検討する考えを示していた。