東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 神奈川 > 記事一覧 > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【神奈川】

楽しく備え 炊き出しの料理本 熊本地震2年のあす出版

「おしゃれなレシピ本と防災本のバランスに苦労した」と話す山本さん=川崎市高津区で

写真

 二〇一六年四月に起きた熊本地震の被災地支援を踏まえ、川崎市内や都内のウェブデザイナーや料理家らが集まり、料理本「おいしいミニ炊き出しブック」を作った。地震から二年になる十四日に発売する。「普段使いで楽しく災害に備えて」と呼び掛ける。 (小形佳奈)

 本は、災害発生から時間を追って、手に入る食材や心身の状態に合わせ、簡単にできる五十三品を紹介している。発災直後は冷凍食品や肉など傷みやすい食品から使い、おわん一つで食べられる料理、疲れがピークに達する発災二週間ごろには肉を使ったスタミナ料理やスイーツ、ライフラインが復旧する三カ月ごろには一汁一菜でバランスの取れた食事を提案している。

 「カセットガス一本でどのくらい料理ができるか」「水をどう確保するか」など、実体験に基づいたコラムも掲載されている。

 制作実行委員会リーダーでウェブ制作会社経営山本美賢さん(54)=川崎市高津区=は、熊本地震発生当時、長男(13)の小学校でPTA会長をしていた。保護者の弟が益城町に住んでいることを聞いた山本さんは、現地の要望を聞きながらPTA仲間や同じマンションの住民と協力して支援物資を集めて送った。

 山本さんは、支援物資を使った炊き出し料理の写真をフェイスブックで見て、驚いたという。「炊き出しと言えば、巨大な鍋のイメージだったのに、益城ではおばちゃんたちが普通の鍋できんぴらやマカロニサラダを作って、バイキング形式で並べていたんです」

 東日本大震災後、防災に関する出張授業や、日常用と備蓄用を兼ねた食品を消費して賞味期限切れを防ぐ「ローリングストック法」を広める活動をしてきた山本さん。益城の炊き出しのノウハウを本で残そうと、知り合いのカメラマンや料理家、編集者に声をかけ、クラウドファンディングで材料費や印刷費を募り、年明けから約三カ月で完成させた。

 山本さんは「ライフラインが不通になった自宅での生活を想定し、平時に皆で料理を持ち寄って開く『ご飯会』が、災害時の『ミニ炊き出し』につながる」と話す。A4判九十五ページ、税抜き千三百円。インターネット書店などで購入できる。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】