一面実習生「管理費」で所得隠し 中国国有企業の日本支店外国人技能実習生の紹介業務をしている中国の国有企業「中国中軽国際控股公司(中軽公司)」の日本支店(岐阜市)が、名古屋国税局の税務調査で二〇一〇年から一五年までの六年間で、約二億二千万円の所得隠しを指摘されていたことが分かった。技能実習生を紹介した日本企業などから受け取った「管理費」名目の収入を問題視され、重加算税を含めて約八千五百万円を追徴課税されたとみられる。 日中間の租税条約は、日本国内に支店や事務所がある中国企業が日本で得た所得には、日本で課税するよう定めている。中軽公司の担当者は本紙の取材に「日本の国税当局の指摘に従って不備を整理し、税金も全額納めた」と答えた。 複数の関係者によると、中軽公司は中国で実習生を募り、東海地方の縫製業を中心に日本各地の企業や仲介団体へ紹介。日本支店には駐在員を置き、実習生と紹介先とのトラブル対応や、実習生の生活相談などをしているという。 こうした業務の対価として紹介先の企業などから「管理費」としてお金を受け取っているが、この六年間に日本での法人所得が全くなかったように申告していたとみられる。日本支店は管理費を巡る日本での税務について中国の本社に相談していたといい、国税局が意図的な課税逃れと判断したもようだ。 実習生を受け入れた日本の企業などへの取材では、中軽公司の所得の一部は中国に送金された疑いがある。しかし、中軽公司の担当者は「管理費は日本の駐在員の経費として使っており、中国へ送金していない」と否定した。 登記簿などによると、中国中軽国際控股公司は一九八三年、北京に設立された国有企業。日本支店は〇九年五月に設置された。日本に紹介した実習生は今回指摘を受けた六年間だけで延べ四万人を超えるという。 <外国人技能実習制度> 途上国の実習生に日本の産業技術を習得させる目的で、1993年に始まった。縫製、建設業などの業種に、2016年末時点で23万人が実習しながら働いている。違法賃金など実習生の労働環境が国際的な批判を浴びるなどし、国は昨年11月に制度を改正。受け入れ団体の許可制を導入するなど厳格化する一方、実習期間を最長3年から5年に延長したほか、対象に介護職などを追加した。 今、あなたにオススメ Recommended by
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