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この特集では45歳以上のシニア世代がSEとして輝き続け、雇用する側もハッピーになるにはどうすべきかを紹介しています。前回は雇用する側の視点から、シニアSEに仕事が来ない理由を説明しました。
今回はシニアSEとしての働き方を考えてみたいと思います。
40~50代は人生のターニングポイント
今までの経験・知識を生かして、何か新しいことをやってみたい──。エンジニアとして現場で活動してきた人が40代半ばくらいになると自負が膨らみ、転身を思い描いたりするようになります。起業やビジネススクールの講師、雑誌や専門誌のライター、ITコンサルタントなどが候補として挙がります。
一方で、将来に対する不安がソロリソロリと忍び寄ってきます。「これから自分はエンジニアとして、どのようなキャリアを築いていけばいいのだろうか」と思い悩む人が増えていきます。
心理学者・精神科医として著名なカール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)は40~50代は「人生の正午で転換期」だと捉えました。「危機の時期」とも指摘しています。確かに、この時期は人生のターニングポイントに当たると言えそうです。
40代になるとライフイベントは質、量ともに変化します。ライフイベントは人生の重要な出来事を指し、ストレスとの相関関係が強いと言われています。この頃に体験するライフイベントの多くは親の介護、子供の独立、単身赴任など「別れ」に関わるものです。このように何かをなくすことを喪失体験と呼び、私たちに大きなストレスを与えます。
親にとって、子供の結婚や独立は確かにうれしいものです。同時に、一緒に暮らしていた家族との別れを意味します。介護は育児とは全く異なる面を持っています。予測がつきませんし、介護の終わりは永遠の別れを意味します。在宅介護が推奨されている今日、私たちにとって介護も大きなストレスの要因になると予想されます。
身体機能の低下という問題も出てきます。やる気はまだまだあっても、身体が付いていかなくなるのです。中高年のモチベーション低下は気持ちの問題と捉えられがちですが、それは誤りです。身体が付いていかないために、やる気がなくなってしまうこともよくあります。
脳血管疾患などの生活習慣病が多発し始めるのも、この時期です。食習慣や運動習慣、飲酒などが原因です。免疫力や回復力も低下するので疲れやすく、翌日までその疲れが取れなかったりします。
キャリアは「残す」もの
このように自分自身の変化が起きている中で、シニア世代はキャリアを生かすために何をすればいいのでしょうか。大きく2点挙げられます。