ミサイル「やってくるぞ」 トランプ米大統領、ツイッターでシリア攻撃予告
ドナルド・トランプ米大統領は11日朝、化学兵器による攻撃が疑われるシリアにミサイルが「やってくるぞ」とツイッターに投稿し、近く軍事行動を起こすことを示唆した。
トランプ大統領は、「ロシアは準備しろよ。(ミサイルが)やってくるぞ。素晴らしくて新しくて『スマート』なやつだ!」とツイートした。
ロシア政府高官らは、米国から攻撃があった場合には対抗措置を取ると警告している。
バシャール・アル・アサド大統領率いるシリア政権は、今月7日に首都ダマスカス近郊の反政府勢力が支配するドゥーマに化学兵器による攻撃を行った、との疑惑を否定している。
トランプ大統領は11日に投稿した複数ツイートの一つで、アサド大統領を「(毒)ガスで人殺しをするけだもの」と呼んだ。
トランプ大統領は別のツイートで、「ロシアと我々の関係は今、冷戦時代も含めて過去最低だ。そうである必要はない。ロシアは経済的に我々の助けが必要で、実現するのはとても簡単なことだ。全ての国が協力する必要がある。軍拡競争やめるか?」と述べた。
米国と英国、フランスは協力することで合意しており、化学兵器使用疑惑への制裁として週末に軍事攻撃を行う準備をしているとみられている。
今後の展開
トランプ大統領は10日に、今週末から予定されていた南米公式訪問を中止。米国のシリア対応が、限定的な攻撃よりも規模の大きな軍事行動になる可能性を示唆していると、ワシントンで取材するBBCのバーバラ・プレット=アッシャー特派員は指摘した。
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しかし、11日朝にトランプ氏がツイートした後、政権高官らはより慎重な姿勢を示している。
ジェイムズ・マティス国防長官は、米国は依然として化学兵器攻撃の評価を行っており、米軍は「もし大統領が軍事的な選択肢が適切と決めた場合には、それらの選択肢を提供できるよう」準備ができている、と語った。
サラ・サンダース大統領報道官は最終的な決定は下されてないとし、「すべての選択肢がある」と話した。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、もし軍事行動があった場合、「政権の化学兵器の攻撃能力」が標的になると述べている。
関係筋がBBCに語ったところによると、テリーザ・メイ英首相は国会の承認を求めずにシリアでの軍事行動に参加する意向。
米海軍の駆逐艦「ドナルド・クック」が現在、地中海に展開している。
ロシアの軍艦がシリアのタルトス港にある自国の基地を離れているとの情報がある。
ドゥーマで何が起きたのか
シリアの反政府活動家たちや、救助隊員、救急医療関係者は、シリア政府軍が首都ダマスカス近郊の東グータ地区にあるドゥーマに、毒性のある化学物質が詰め込まれた爆弾を落としたと主張している。
米国の医療支援団体「シリア系米国人医療協会(SAMS)」によると、医療施設に運び込まれた500人以上に「化学物質にさらされたことを示す」症状があったという。
世界保健機関(WHO)は11日、SAMSなど協力団体からの報告を確認するため現地入りを要求した。報告は、死者70人のうち43人に「非常に毒性の強い化学物資に触れたときに出る症状」があったとしている。
化学兵器禁止機関(OPCW)は、禁止された化学兵器が攻撃で使用されたのか判断するため、シリアに調査チームを「間もなく」派遣する予定。
ドゥーマでは先週、シリア政府軍とロシア軍からの攻撃が再び激しくなった。反政府勢力はロシア軍がかかわった合意の下、ドゥーマから撤退を始めている。
ロシアの主張
ロシアは、化学兵器攻撃の疑惑は西側がシリア政権を攻撃し、介入する口実を与えるための「挑発」だと述べており、11日には、現地で採取された検体から化学物質の利用を示すものは見つからなかったと発表した。
ロシア高官らは、米国から攻撃があった場合には対抗措置を取ると警告している。ロシアのアレクサンドル・ザスピキン駐レバノン大使は11日、ロシア人員の生命が脅かされた場合には、ミサイルを迎撃し発射元をたたくというロシア軍トップの警告に再び言及した。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、西側による攻撃が「挑発の痕跡を急いで取り除き、国際機関の調査官が到着したときには証拠になるものは何も見つけられない」ようにするためなのではないかと指摘した。
ウラジーミル・プーチン露大統領はモスクワで新たに任命された大使たちと面会した際、良識が通って、状況が安定化するのを望むと語った。プーチン氏は、ロシアが「国際社会に対する責任を完全に果たす」と述べた。