与党内で学校法人「加計学園」の獣医学部新設に関する柳瀬唯夫経済産業審議官の説明に対する批判の声が広がっている。自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は11日、都内で講演し「(柳瀬氏が)『記憶の限りでは』という注釈を付けないといけないのであれば『会っていない』と言い切ることはできるはずがない。理解できない」と厳しく批判した。
中村時広愛媛県知事は10日、県職員が2015年4月に首相秘書官だった柳瀬氏と面会した際のやり取りを備忘録として作成したと認めた。文書には「首相案件」などと記載されていたが、柳瀬氏は「記憶の限りでは、愛媛県や今治市の方にお会いしたことはありません」とコメントした。
小泉氏はこれまで、森友学園を巡る文書改ざんに関しても、安倍晋三首相の昭恵夫人の国会招致の必要性を否定しないなど、安倍政権に厳しい対応を求めている。
小泉氏は講演後、国会内で開いた党の若手議員らとの勉強会で、旧民主党政権時代に官房副長官を務めた松井孝治慶大教授を招き、「政と官」の関係などについて議論した。5月にも中間報告をまとめる意向だ。
柳瀬氏の発言をめぐっては、自民党の石破茂元幹事長も都内の会合で「行政は公平公正でなければならない。お友達だから便宜を図ってもらえるなら、ばからしくて行政に信頼なんて置かない」と苦言を呈した。岸田文雄政調会長は記者会見で「愛媛県側の発言と柳瀬氏の発言が食い違っている」と指摘し「真実を明らかにするのは当事者でなければできない」と述べた。
公明党の石田祝稔政調会長も記者会見で「政府に一層の真相究明の努力をお願いしたい」と発言。公明党幹部は「『記憶の限りでは会っていない』という説明は、実際には会ったのではと疑われる」と指摘した。