ここ数日、「子ども食堂」に関連した報道や記事をよく目にする。
「子ども食堂」とは、主に貧困家庭の子どものために月に数回などの頻度で、無償か廉価で食事を提供する活動のことだ。
地域や団体によっても、NPOだったりボランティア団体だったり企業だったりと、実施主体は異なる。また、食事や居場所作りに力を入れていたり、学習支援などと連携していたり、それぞれの団体等の特色を生かしたものも多い。
「子ども食堂」の活動は2012年ごろから徐々に始まったと言われている。
対象とする子どもたちも、必ずしも貧困家庭に限らず、比較的ゆるやかに受け入れているところも多い。子どもの貧困対策というイメージも強いが、地域の拠点としての機能をもつこともある。
運営費等は多くの場合で、ボランティアや寄付(手弁当の団体もある)と言われている。企業や民間団体の助成を受けたり、地方自治体等が予算を組んで財政的に支援しているところもある。
その活動の内容も、あり方も、財政的な基盤も、目指すものも、担い手の人たちの属性に関しても、かなり多種多様だとも言える。
そんななか、先日、子ども食堂安全・安心向上委員会(代表者湯浅誠氏)による調査によって、現在、少なくとも全国で2200ヵ所をこえる「子ども食堂」が存在することが明らかになった。また、参加した子どもは年間で延べ100万人をこえるという。
これはもはや、ある種のブームをこえて、多くの人たちが身近にその存在を感じることができるインフラになってきたと、言っても良いだろう。
もちろん、これだけの数の子ども食堂が存在するということは、質の問題も考えなければならない。こういった観点からも上記の同委員会は現在クラウドファンディングをおこなっている。
これは、「子ども」と「食」に関する安全を担保するために、200ヵ所の子ども食堂を対象に保険加入費用(社会福祉協議会等によるボランティア行事保険等)を提供することが目的だそうだ。
対象となった子ども食堂は年間約1万円~3万円の保険料を3年間援助してもらうことができ、4年目以降の経済的自立を目指す、とされている。
もっとも、年間1万円の保険加入費用を負担できない(集められない)団体は、そもそもの持続的な運営に大きな課題がある、とも思うが、そういったことも今後、同委員会では支援をしていくのであろう、とは思う。
1000万円の目標に対して現時点でスタートしてから数日で約350万円以上(4月11日時点)を集めているので、多くの人の共感を得ていると言えるだろう。
とはいえ、特に、子どもの支援として考えれば、いわゆる生活に困窮している世帯へのサポート、場合によっては、虐待などの困難な状況にある子どもの状況に直面する可能性があり、当然ながら専門機関との連携は必須だ。
実施主体がNPO等の地域ですでに支援に携わっている専門機関や団体のみでなく、多くの場合で、地域の「ふつうの人たち」が担い手となっているのであればなおさら、その点は考慮しなければならないだろう。
もちろん、「誰でも始められる」というハードルの低さから「子ども食堂」は爆発的に拡大した、ともいえるので、そのあたりは難しいところではあるのだけれども。