スピルバーグも興味を持った脚本を映画化、ヨーロッパの製作者陣が切り込むアメリカの銃規制『女神の見えざる手』
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スピルバーグとジョン・マッデンが取り合った、イギリス人教師の独学による初めての脚本
一般社会においてブラックリストに載るというと、キャリアにおいて大きなダメージを負うイメージにあるが、ことハリウッドではThe Black Listに名前が連なることは大きなステップアップを意味する。というのも、The Black Listとは大手スタジオの重役たちが選ぶ、映画化されていない優秀な脚本のリストであるからだ。2005年、当時27歳で映画スタジオの幹部だったフランクリン・レナードが行ったアンケートに端を発し、今では250人以上の映画関係者が、まだ映画化されていない優秀な脚本に投票をし、それをリスト化。この中から、『 ジュノ』や『 レスラー』、『 ソーシャル・ネットワーク』『 英国王のスピーチ』『 スポットライト』などアカデミー賞を受賞する作品が現れるようになり、いまや脚本家の青田買いの場ともなっている。
『女神の見えざる手』もThe Black Listで見いだされ、映画化されたものだ。
脚本家はこれが一本目のジョナサン・ペレラ。イギリスで弁護士をしていたペレラは、仕事を辞めて、アジアでの教職に転職。韓国で英語教師をしているとき、独学で脚本作りを学び、あるとき、母国イギリスのロビイストが不正行為で逮捕されたことに発想を得て、一人の天才的なロビイストの違法行為すれすれの活動を描くことを決意する。ただし主人公は野心溢れる女性へと変換。それまで勝つためにはどんなことをも厭わなかったクールな女性が、ある政治家に依頼された大きな仕事だけは、頑として引き受けず、逆にその案件を徹底的に反対する立場を取るという物語となった。
一時はスティーブン・スピルバーグも興味を持ち、自ら映画化しようとしていたというが、手を挙げたのは脚本家と同じ、イギリス出身の映画監督、ジョン・マッデンだった。脚本家も監督もイギリス人だからこそ、鋭く切り込む内容になったともいえる。なぜなら、ヒロインのエリザベス・スローンが徹底抗戦するのが、大物政治家たちによる、女性たちの積極的な銃保持のキャンペーンだったからだ。製作を請け負ったプロダクションが、フランス人監督、リュック・ベッソン率いるヨーロッパコープなのも興味深い。
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