【設計不良品】AUKEY USB PD対応2ポートACアダプタ PA-Y10 レビュー

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AUKEYブランドのUSB PD対応2ポートACアダプタ(型番:PA-Y10)を購入しましたので、レビューを行います。

対象の製品

クイックレビュー

外装の表記と、実際に送信されるSource_Capabilitiesメッセージの内容が一致していません。また、必要でないのにDual-Role Dataのビットが1に設定されています。

そのため、知識のある人がすべて承知の上で自己責任で使うならともかく、一般ユーザーにはオススメしません。

使用機材

  • メディアロジック USB Power Delivery アナライザ DTW2U3 『PDワットみるC』 (製品ページ / Amazon)
  • Apple USB-C充電ケーブル (型番:MLL82AM/A)
  • Xiaomi Mi 6 (MIUI China Stable 9.0.6.0.NCACNEI)
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開封・製品画像

  • 56.5W Turbo Charger
  • Model/型番: PA-Y10
  • In/入力: 100-240V ~1.5A 50/60Hz
  • USB-C Out/出力: (PDO) 5V==3A / 9V==3A / 12V==3A / 15V==3A / 20V==2.3A
  • (PPS) 3V-16V==3A
  • USB-A Out/出力: 5V==2.1A
  • AQH49
  • PSEマーク: あり (ひし形 / テュフ・ラインランド / SQグローバル株式会社)
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USB PD (Fixed Supply)

AUKEY PA-Y10は機器を接続すると以下の内容のSource_Capabilitiesメッセージを機器に対して送信していました。

20VのPDOが外装の表記と一致しない

AUKEY PA-Y10の外装では20Vの出力は最大2.3Aとなっていますが、実際に送信している20VのFixed Supply PDOでは最大2.25Aとなっています。

最大出力が0.05A(1W)違っているだけなので、実使用において何か支障が出る可能性はゼロでしょう。かといって、この数値の不一致を安易にOKと言ってしまうのもそれはそれで躊躇われます。

なぜかというと、USB PDの信号(PDO)で通知される電圧・電流は0.05V(50mV)・0.01A(10mA)刻みで設定される数値だからです。「指定された値になっていない」という意味では、5Aズレていようが、0.5Aズレていようが、0.05Aズレていようが同種の欠陥なわけです。

そのため、外装の表記と実際のUSB PDの信号が一致しないというのは、実際の製品が開発側の意図した設計になっていないと解釈できるため、安易に許容すべきではないと私は思います。

Dual-Role Dataの値が1になっている

AUKEY PA-Y10の送信しているSource_CapabilitiesメッセージではDual-Role Dataの値が1となっています。

PPSを含むUSB PDの動作において、単純にACアダプタから機器に対して給電するだけであればDual-Role Dataのビットが1と設定されている必要はないため、0となっているのが適切です。

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USB PD (Programmable Power Supply)

※現状ではPPS対応機器が少ないため、Xiaomi Mi 6でしかテストできていません。AUKEY PA-Y10の問題ではなくただの相性問題である可能性もあるため、話半分で読んで下さい。

AUKEY PA-Y10はProgrammable Power Supplyへの対応が謳われており、Sinkが接続されると『5V/3A』『9V/3A』『12V/3A』『15V/3A』『20V/2.25A』という内容の5つのFixed Supply PDOに加えて、『3~16V/3A』という内容のPDO(Programmable Power Supply APDO)を持つSource_CapabilitiesメッセージをSinkに対して送信していました。

ネゴシエーション

このAUKEY PA-Y10にXiaomi Mi 6を接続したところ、まず最初にFixed Supplyで『5V/3A』のネゴシエーションが行われ、その数秒後からProgrammable Power Supplyでのネゴシエーションが行われ始めました。

電圧がおかしい

PPSのネゴシエーションは特に問題なく行われていた(ように見えた)ため、本来であれば電圧のグラフはきれいな右肩上がりとなっていたと考えられます。しかしながら、実際の電圧は下記のようなめちゃくちゃな変動を起こしていたようです。

一体何が起こっていたかというと、『ネゴシエーション直後だけその電圧になるが、すぐに5Vに戻る』ということを繰り返してた模様です。そのため、ノコギリの歯のようにギザギザとしたグラフになっています。

接続してから約5分後にはHard Resetが行われ、さらに接続し続けていると『ネゴシエーションが完了しているのに電圧が0Vになる』という状態になりました。(放っといても0Vのまま)

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Vbus

AUKEY PA-Y10はUSB Type-Cの規格通り、Sinkが接続されるまでVbusに電圧を印加しません。

Configuration Channel

AUKEY PA-Y10のConfiguration ChannelはUSB Type-Cの規格通り、それぞれが別個のRp抵抗でプルアップされています。

所感

『外装とSource_Capabilitiesメッセージが一致していない』『Dual-Rola Dataの値が1になっている』『PPS動作時の電圧がおかしい』ということで、致命的ではないもののちょいちょい気になる点のあるACアダプタです。知識のある人が自己責任で使う分には問題ないと思いますが、そうでない一般ユーザーにはオススメしません。

45W以上を出力できるマトモなUSB PD対応ACアダプタをそれなりの値段で入手できるようになるのはもう少し先になりそうです。

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