妖精＜人間とは物事がうまくいかなかったときに理由を求める生き物である。状況やタイミング。
天気や運勢。さまざまな言い訳を引っ張り出しては自分を慰める。「こんなはずではなかった」「もう一度やり直せれば」と。やり直せればホントにうまくいくのだろうか？一度目でできなかったことが二度目でできる自信はどこから来るのだろうか？＞
男の名前は岩瀬健。今この男の本当の実力が試されている。自分の殻を破り捨て１４年間告白できなかった彼女に思いを伝えることができるのか。その真価が問われている
果たしてこの男に幸せは訪れるのであろうか？
幹雄ああー！あのときか。もういいでしょ。昔のことは。
うるさいなー。人生にはね苦い経験だって必要なんです。
あんときエリをちゃんと止めれてればこんなに後悔させずに…。
健《あの日屋上で幹雄と鶴と三人で飲んでいたとき礼と多田先生は二人で屋上にやってきた》
健《このとき礼は多田さんに告白されたと後で知った》
《戻って多田さんより先に気持ち伝えないと何にも変わらない。戻って今度こそホントの気持ち伝えたい。戻って…》
妖精これまでずっと告白ができなかったダメな人間が新郎を差し置いて先に告白するなんて無理だと思わないか？
彼女のそばにいた１４年間で一度もできなかったことをやろうとしてんだぞ。
口でいくらやると宣言したところで自分の殻を破れなければそんなことできるはずがない。
自分の殻を破って多田さんの告白を阻止してでも絶対先に告白します。
慎重かつ大胆にまいりましょう。ハレルヤ～チャンス！ぬおおおーっ！
西尾「冬のソナタ」ってそんな前の作品じゃねえだろ。はいお待たせー。
重人「冬ソナ」が韓国で最初に放送されたのが２００２年１月。
日本では２００３年４月。韓国での平均視聴率は２３．１パーセント。
《礼も多田さんも「冬ソナ」にはまってたなんて。どうすんだよ！？ヨン様！》
尚ああー。「田村で金。谷で金」俺は掃除できん！パタ！
かき氷おごってもらったら何でもするって言ったでしょ。
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♪「スイスイスーダララッタスラスラスイスイスイ…」
幹雄先週ついにゲット成功。半年金ためてやっとだよ。
さっきからふざけてばっかりで全然仕事してないじゃん！
幹雄ドキュメンタリー撮ってやろうか？「岩瀬健二十歳になっても幼なじみに怒られる！」
だって大学３年の夏休みだぜ。ああーまあ普通に考えたらサークルの合宿行ってるか海で遊んでるかのどっちかだな。
海にでも行ってたら最高のシチュエーションで告白できんのに何だよ大掃除って》
伊藤すごい経験をしたもんだね。学生スマッシュとかすごかったよね。
ろくろの回転を見極める動体視力を鍛えるにはどうすればいいか。
伊藤ごめん。ホラッチごめん。あいつらうざくてさぁー。
高校から大学２年までずーっと彼氏と遊んでたからね。
礼今日で最後にします。きちんと向き合っておかないときっと一生後悔すると思う
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礼答えはありませんでした。ずっと引きずっていたけど今日やっと終わりました
気まぐれで優しくされることにもうなびかないって決めたの。
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幹雄風で泡がこっち来る。礼ちょっと。ケンゾー！ケンゾー。
幹雄どうしたの？それ。さっき片したとき見つけたの。
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《もし…。もし俺が殻を破れなかったら多田さんより先に自分の気持ちを伝えることができなかったらこの笑顔はまた手の届かぬものになってしまうのだろうか》
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そういうミラクルはホントの告白んときに取っとかなきゃダメでしょ。
エリああー。やっと片づいたね。尚うん。終わったな。
ホントにお疲れさまでした。（一同）お疲れさまでした！
幹雄もうさっさとビール飲むぞ。ああ。早く準備しよう。
エリじゃあ先生お先ー。先生ありがとうございました。
誰もいないじゃん。ここが穴場だって気づいてねえんだな。よっ！
《礼の浴衣姿があまりにもきれいで一瞬忘れそうになった。多田さんより先に気持ちを伝えないと…》
尚いやいや。もう来るよ。もう来る。もう来る。でも風が気持ちいいよねぇ。
《真夏屋上浴衣花火。ここで言えなきゃ男じゃない！》
ただ見えないだけじゃん！鶴この野郎。鶴この。鶴鶴この野郎。鶴鶴この野郎。（尚）お前奥入れすぎだよ。
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ただ寂しさ紛らわしたいだけだろ？お前に甘えてるだけだと思うな！
男はさすぐ悲劇のヒーロー演じたがるんだよ。自分からふったとか関係なくなっちゃうんだな。
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エリはなぁ俺がどんなに手伸ばしたって届かねえ人なんだよ。
女なんかに鶴の格好よさ分かんなくたっていいんだよ！
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どんなに手伸ばしても一生手の届かない高根の花なんだよ！
だから頼むから俺のあこがれなんだから都合のいい女になるんじゃねえよ！
もう見てらんねえんだよ！もうあいつんとこ行かなくていいよ！
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尚あの。それでバスケ部入ってそれでも身長が伸びなかったらバレー部に入る。
尚それでも伸びなかったらバンジージャンプで体を全体的に引っ張る！
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尚えー！来れないの？多田ごめんなさい。行きたいんですけど仕事が片づかなくて
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《鶴に言った言葉はチャンスを見送ってばかりいた自分に対するいらだちだった》
《結果や体裁ばかり気にして一度も全力でバットを振らないまま試合を終えてしまった自分へのいらだちだった》
《もし間に合うならどうか。どうかもう一度チャンスをください》
《バッターボックスに立つチャンスをもう一度だけください》
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今ちょうど吉田さんのことを考えてたんでびっくりしました。
去年の花火大会のとき電話で花火の音を聞かせてくれたの覚えてますか？
ああ。みんなで現地まで行ったんだけどもう大混雑だったんで今年はここの屋上で見ようと思ったらマンションに隠れて見えなくて。
うわっうわっ。来た。うわー！うわっうわっ。熱い熱い！
《運命とはどうしてこんなにも切なくできているのだろう》
《人が幸せになりたいと願うときどうして誰かが悲しまなければならないんだろう》
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《でもどうしても多田さんよりも先に礼に伝えたい言葉がある》
はいはい。姫がねそうおっしゃるんだったら準備しますよ。
もしお前が王様になったら俺と礼を廊下で二人きりにしてくんない？
あのねあのね。王様は何でも好きなこと言っていいの。
大学に入学したころから何となく気にはなってたんですけどそれが何なのか自分でも分からなくて。
多田好きっていってもあれですよ。ライクじゃなくってラブのほうの意味ですから。
幹雄先生！場所とかタイミングとかちゃんと考えないと。
そんなふうに好きって言われて女の子うれしくないわけないじゃん！ねえ？
尚あっ。じゃあちょっくらほら近寄れ。カップル誕生かおい！
酔っ払い！ちょっと黙ってろよ。（尚）吉田さん吉田さん。
《結局最後まできっかけや場所にこだわってこの期に及んでも自分の殻を破れなかった》
《多田さんは思っているよりもずっとすげえ人だった。１４年の歳月を費やしても礼に言えなかったひと言をいとも簡単に言ってみせた》
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いやー。お前が行けって言ってくんなかったら俺たちどうなってたか分かんないもん。
そんな小さなことにこだわってるから大きな幸せがつかめないんだよ！
行く気のない人間に無理やり過去に戻ることを求めたりはしない。
過去へタイムスリップしてきてたんだろ？フッ。何となくは気づいてたけどさっき確信したんだよ。
お前がおかしなこと言ってた日とこのスライド写真の日がぴったり一致するんだ。
だってお前さ生の北島康介より先に「気持ちいい超気持ちいい」って言っちゃえるのおかしいだろ。ビデオにもちゃんと残ってるし。あと６年前の甲子園の予選のときイナバウアーっつったろ？やっとつながったよ荒川静香。もっと早く気づいてりゃ協力してやれたのにな。
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