読者の方からリクエストをいただきましたので、ニッカ オールモルトを採り上げたいと思います。20代の頃に何度か飲んでいますが、積極的にウイスキーを飲むようになってからはご無沙汰でした。

allMalt名前からするとモルトウイスキーのように見えますが、実はブレンデッドウイスキーです。
一般的にブレンドに使われるグレーンウイスキーはとうもろこしやライ麦などの穀物を使いますが、このウイスキーはモルトウイスキーと同じ大麦麦芽を使っています。
これを複式蒸留器に入れて、グレーンウイスキーと同じ方式で原酒を造っていきます。
ニッカではカフェ式の複式蒸留器を使っているため、多少原料の香りが残っているわけですが、それでも単式蒸留器を使ったモルトウイスキーに比べると香りが落ちます。

1990年に発売して以降「女房を酔わせてどうするつもり?」という台詞(中野良子、田中美佐子、石田ひかり)が一世を風靡しました。

実際に飲んでみると、アルコール由来の刺激がまず強くやってきます。
ストレートやロックの飲み始めはそれが強くて香りがみじんも感じられませんが、トゥワイスアップやある程度氷が解けた辺りから、ニッカご自慢の余市モルトのバニラ香とスモーキーフレーバー、宮城峡モルトの華やかな香りがやってきます。

ところが水割りにするとその香りが一気に薄れ、ブラックニッカよりも劣ったイメージになってしまいます。水割りやハイボールにするにしても、割る量は少なめにした方がいい感じです。

他のブレンデッドのラインナップに比べると、比較的ピュアモルトに近い味にはなっていますが、ストライクゾーンが狭い印象があります。ニッカらしさがあって悪くは無いんですけど...。

アルコール度数は40度、700mlで価格は1200~1300円ほど。1990年に発売した当初は2450円でしたから、半額まで下がったんですね。
この姉妹品としてモルトクラブがありますが、こちらはモルトウイスキーの比率を下げたもので、どちらかと言えば熟成焼酎に近い味わいのようです。価格は1100円台。

ただ、今や500mlながらも2000円以内でピュアモルトやシングルモルトが買える時代。多少単価は安いものの、今更これを買うべきかとなると、微妙な位置にあります。
昔はピュアモルトでも高嶺の花、少しでもそれっぽいものをお手軽にどうぞ、という意味では、その当時においては貴重だったと言えます。ハイニッカやブラックニッカスペシャルが無くなると困るニッカ党は多いかと思いますが、オールモルトが無くても困らないかな、と思いますね。
私であればシングルモルト余市500mlを選びます。もっとマイルドなウイスキーが求められるなら、ブラックニッカ・リッチブレンドを勧めます。

<個人的評価>(A~E)
香り:C ロックかトゥワイスアップでないと香りが開かない。ストレートだとアルコール臭だけ。
味わい:C 全体的に余市、宮城峡モルトの味があるので、ニッカとして及第点。
総評:D 中途半端。ピュアモルトが手軽に入る現代においては時代遅れか?



(2016/5/24 追記)
2015年9月に値上がりされ、1700円ほどになり、モルトクラブは販売終了しました。