【リール(フランス)10日=松本愛香通信員】サッカー日本代表監督を解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(65)の直撃に成功した。現地時間7日に契約解除されてから初の肉声。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の2カ月前に職を追われた心境を問われて「恥ずべきことだ」と言い放ち、解任が明らかになった前日は139件も電話がかかってきたと明かした。今後については「もうすぐ日本に行く」と来日を予告した。

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 ハリルホジッチ氏は“死んで”いなかった。おとなしく黙る男ではなかった。桜咲く、フランス北部リールの自宅。快晴の正午すぎに車庫が開いた。愛犬コスモを乗せた車を運転し、敷地外に出たところで日本人を見て窓ガラスを下げた。

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 「何も準備していないから…今ここでは話せない」

 そう第一声を発しながら取材者を思いやった。頑固だが、根は優しい。就任から約3年。記者の直撃を避けたり逃げたことはない。

 「あなた(記者)の仕事は理解できる。昨日も私の電話は鳴り続けていた。139件だ。ジャーナリストは誰も(解任劇を)理解できていない。だから世界中の知人から電話がくる」。それだけ言い、力強く愛車のアクセルを踏み込んだ。

 前日9日はディアナ夫人が対応し「ここに主人はいない。(取材は)不可能」と代弁した。確かに最後まで姿を見せなかったが、本当に在宅していなかったのだろう。逃げも隠れもしないのが流儀。この日は、出先から戻ると再び車を止めて2度目の質問に応じた。

 W杯2カ月前。このタイミングで監督の座から引きずり降ろされ、日本初のW杯イヤー解任男になった。率直な気持ちを尋ねると「スカンダラス(けしからん)」と言い、誰に対してか問われると「自分に対してだ」と続けた。さらに食い下がると「セ・ラ・オント! セ・ラ・オント!(恥だ、恥ずべきことだ)」。誇り高き指揮官は語気を強め、逆境に立つ自らを責め立てた。そして、かつて率いたアルジェリアからの就任要請があるという一部報道には、あの、あきれたような表情を見せ「ノンノン」と小声で否定した。