和歌山駅からやや離れているので今回は寄れなかったが、和歌山の喫茶店を語る上で外せない「純喫茶ヒスイ」のことも書いておこう。
JR和歌山駅と南海和歌山市駅の間に「ぶらくり丁」という商店街がある。
かつては大阪のミナミと肩を並べるほどの賑わいを見せる商店街だったが、今は衰退し往年の活気はない。
ぶらくり丁に店を構えるのが、1964年(昭和39年)創業の「純喫茶ヒスイ」。
和歌山が喫茶店好きの聖地と呼ばれる所以はこの店の存在が大きいと思う。
「47都道府県の純喫茶」でヒスイを知って、初訪問したのが2014年7月。
「ぜひ一度自分の目で見たくて遠方から来ました」と話すと、マスターご夫妻と娘さんに歓迎してもらったことを覚えている。
高い吹き抜け天井の細やかな意匠。吊り下げられたシャンデリアの存在感。
教会のような巨大なステンドグラスと、間に飾られたモナリザ。
豪華絢爛な装飾に、どこぞの宮殿やねんと呆然。
椅子に身を沈めて、飽きずに頭上を見上げていた。
柱で区切られた一角は床がやや低くなっている。
現在は使われていない2階に上がらせてもらい、夢中で写真を撮った。
ぶらくり丁の栄華がヒスイにだけ残っているみたい……。
その後2016年の12月に再びヒスイを訪れたのだけど、なんと私のことを覚えていてくださった。
2回目とはいえ私は存在感が希薄で記憶に残らないタイプだから、忘れられてるだろうと思い自分からは言わなかったのに「前も来てくれたよね」と娘さんから仰ってくれて、驚きとともに泣きそうになるくらい感激した。
この日食べた自家製ケーキセットはまさかの430円。
「喫茶とインテリア WEST」でヒスイの内装とスピリットが詳しく紹介されている。
読んだらヒスイに行きたくなるはず。
ニュース和歌山の名コーナー「純喫茶をたずねて」にはマスターご夫妻の写真が載っている。