連続テレビ小説 カーネーション(2)「あこがれ」[解][字] 2018.04.10
うちの頭ん中は今着物より勉強よりだんじりの事でいっぱいです
(小原糸子)なっちゃるでえうちも大工方に。
(テーマ音楽)・「小さく丸めた躯は今」・「悲しみ隠し震えて」・「命を表しているのね」・「重く濡らした瞼は今」・「よろこび映す日の為」・「心を育てているのね」
(小原善作)おい糸子!はい?
(善作)ちょっと来てみい。
はあ。
どやこの紬ええやろ?ごつい上物やで。
うん。
ほんでこの綸子がまたええんやど。
ええなあこの艶。
綸子は絹やろ。
絹はこの艶が肝心なんや。
お前聞いてんか?へ?へえ聞いてます。
こんな綸子はな岸和田中探したって…。
うちにはまだ着物の事はよう分かりません
聞いてんかちゅうねん。
(教師)それでは小原さんから発表して下さい。
「私の名前は小原糸子です。
糸子という名前はお母さん方のおじいちゃんが付けてくれました。
意味は一生糸で食べていけるようにという事やそうです」。
(教師)なるほど。
糸で食べていけるように。
つまりそれはどういう事ですか?は?糸で食べていくというのは?分かりません。
しゃあないですね。
先生が考えてみましょう。
大阪は糸にまつわる産業が盛んな町です。
大津貝塚佐野。
岸和田にも綿の工場がたくさんありますし小原さんのおうちも呉服屋さんですね?はいそうです。
つまり将来あんたもうちの呉服屋をもり立てなはれ。
立派な婿さんもろうてよう仕えなはれ。
おじいさんが小原さんに願っているのはそんな事やないでしょうか。
はあ。
婿さんによう努めてもらうためには小原さんもええお嫁さんになれんとあきませんよ。
どうかしましたか?うちはお嫁さんにはなりません。
はあ?では何になるんですか?はい。
うちは大工になります!はあ!?だんじりで大工方をやりたいさかい大工になります。
(笑い声)
(安岡勘助)女のくせに何言うてんねん!
(教師)小原さんふざけるのも大概にしなさい。
ふざけてません!修身の授業で習いませんでしたか?「女は常に男の一歩あとを歩き男を引き立てる」。
それが女の役割です。
男と同じ仕事をしようやなんて考えてはあかんのです。
何でですか?
(教師)はあ?何で男と同じ仕事をしたらあかんのですか?
(佐藤平吉)あかんもんはあかんのじゃ!
(教師)佐藤君!あかんものはあかんのです。
理由なんかありません。
そんなもんやと決まっとるんです。
はいでは次。
澤田君。
(澤田)はい。
何?
(吉田奈津)何にも。
はいでは次吉田さん。
はい。
「私の名前は吉田奈津です。
うちの家は吉田屋という大きな料理屋をやっていて女将の名前に代々『津』の字が付いています。
そやさかいうちのお父さんがうちも立派な女将になれるように『奈津』と付けたそうです。
うちはお母さんみたいな立派な女将になって婿さんを一流の料理屋の主人にしてさしあげたいと思います」。
ほんますんませんでしたなようさん広げさせてしもて。
いえいえいえ。
お眼鏡にかないませんでな。
また寄らせてもらうよってええのあったら入れといてな。
・
(善作)またお待ちしとります。
着物が売れへんかったら足袋の一つでも買わしゃええのに。
(ため息)昼から吉田屋へ集金に行っておいでや。
ああ?集金や。
そんな事分かっとるわい。
分かっとんのじゃ!フフッ。
格好ばっかりつけくさって。
売るんも下手なら集金も下手。
あない商売に向かん男何で呉服屋なんかやってんやろ?さいなら。
気ぃ付けて帰りや。
さいなら。
あんた何でこの天気に傘なんか差すのん?はあ。
うちはお父ちゃんに日焼けせんよう厳しいに言われてますねん。
日焼け?「色の白いは七難隠す」。
吉田屋の女将はべっぴんやないとあかんさかいなあ。
・待て〜!待て〜!ちょっとちょっとちょっと…。
もっかい言うてみい!な…何回でも言うちゃらあ!女のくせに威張んな!女は男の言う事聞いちゃあったらええんじゃ!くっそ〜待て〜!ちょっとちょっと待ちなさい。
うらあ〜!あ〜っ!あ!堪忍おっちゃん。
堪忍おっちゃん!堪忍!
(小原千代)すんませんでした!小原さんはいささか元気がよすぎます。
もっと女子生徒らしい振る舞いをおうちの方でもきちんと教育なさって下さい。
はあ〜。
ほんまにすんません!
(教師)ほんなまあ今日のところはこれで。
ほんまにあの…お大事になさって下さい。
すんませんでした。
(ため息)すんません。
はらっ?まあ糸子!へ?あんた分かってんのん?はあ分かってます。
お父ちゃんが帰ってきたら覚悟しときや。
ええ?言うん?お父ちゃんに。
そらそうです。
ようおきゅう据えてもらいます。
堪忍お母ちゃんそれだけは堪忍してえな。
あきません観念しなさい!善作には黙っとき。
は?けど…。
どうせ今日も集金できんと鬼みたいな顔して帰ってきよるで。
そんな時こんな話聞かしてみ。
火に油や。
家燃えてしまうわ。
そやな。
そやなおばあちゃん。
お父ちゃん商売で苦労してんやもんな。
うちの事なんかで機嫌悪さしたら気の毒やな?そうやそうや。
はあ〜一安心や。
ほな遊んできま〜す!糸子!こら糸子!
おばあちゃんが言うにはこのごろは不景気で着物がちょっとも売れません。
その上お父ちゃんは集金が大の苦手なんやそうです。
そんな時はうちに出番が回ってきます
ソーリャ!ソーリャ!ソーリャ!もっかい走るで〜!え〜もうしんどいよ。
もっかいや行け〜!ソーリャ!ソーリャ!ソーリャ!糸子〜!糸子!ほんまに人をアホにしくさって。
そない上等な料理屋やったらな着物の金ぐらいさっさと払わんかいね!ええか?金もろたらなここにきちっと入れんやで。
はい分かってます。
うん。
ほれつけちゃれ。
へえ。
あんたまた糸子に集金に行かすんけ?やめときよこんな子どもに。
しゃあないやろ!向こうが払わへんのやさかい!
(千代)うちが行きましょか?アホか。
わしが行って払わんもんをお前が行って払うか?こういう時はな子どもに行かすのが一番効くんじゃ。
どんながめつい客でもこんな子どもを手ぶらで帰すのは忍びないちゅうて払いよるもんなんじゃなあ糸よ。
任しといて!うちが集金に行って手ぶらで帰った事なんかないさかい。
うわ〜頼もしい!ほんでな客は吉田屋ちゅう料理屋や。
吉田屋?分かるか?吉田奈津や。
同級生のうちや!ほんまけ!?せやけどあっこの親父は手ごわいど。
にったらにったら笑うてなうまい事かわしよんねん。
お前よっぽどここ使うていけよ。
うん分かった。
うちやってみるわ。
うん。
(三味線)
(吉田志津)はい腰決めて。
(三味線)トントン!トントン!間が悪いよ。
(三味線)お扇子きれいに!
(三味線)おおきに。
はいお疲れさん。
あ犬の散歩行っときや。
はい。
・こんにちは〜。
は〜い。
ちょっと待ってな〜。
どちらさん?何やあんた?何しに来たん?集金や。
集金?お父ちゃんいてるか?何であんたなんかが集金に来んねん子どものくせに。
ええさかいあんたのお父ちゃん呼んで。
そんな事やったらお勝手へ回り。
ここは玄関や。
また明日来。
はあ?お父ちゃんは?お父ちゃんがそう言うてんねん。
今日はお金無いて。
明日なんかあかん。
今日払てもらわな!知らんて。
はよ帰りて!ちょっとおっちゃん!うちは子どもの使いとちゃうねんで!おっちゃ〜ん!おっちゃ〜ん!何言うてんねん。
子供の使いやんか!おっちゃんおっちゃん!わっ!はあ〜うっさいうっさい。
うちは手ぶらで帰った事がありません
2018/04/10(火) 16:35〜16:50
NHK総合1・神戸
連続テレビ小説 カーネーション(2)「あこがれ」[解][字]
糸子(二宮星)は学校で、だんじりに乗るため大工になりたいと言い、笑われる。けんかして叱られても平気で遊んでいる糸子に、呉服屋の父・善作(小林薫)は集金を命じる。
詳細情報
番組内容
糸子(二宮星)は学校で、一生糸で食べていけるようにという名前の由来を話す。「将来は嫁として実家の呉服屋をもり立てろ」という担任教師の言葉に、糸子は「だんじりに乗るために大工になりたい」と答え、みんなに笑われる。男子とケンカした挙句、用務員に頭突きをして担任からきつく叱られても、全くこたえない。父・善作(小林薫)の言いつけで、同級生・吉田奈津(高須瑠香)の家、高級料亭「吉田屋」に集金に行くことに…。
出演者
【出演】小林薫,麻生祐未,二宮星,正司照枝,高須瑠香,中村未輝,桂茶がま
原作・脚本
【作】渡辺あや
音楽
【音楽】佐藤直紀
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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