ウーマン村本「今の芸人は、先輩の芸をなぞっただけの“量産型コピーロボット”」
「(元旦に放送された)朝生から1週間は、大炎上でしたね。でも、これほど生産性のある叩かれ方したのは僕くらいですよ。影響力のない学者やジャーナリストは、ここぞとばかり僕の名前を使って、ネットに記事を書いて発信していたし、大量の罵詈雑言を浴びせられた一方で価値ある意見も聞けたし(笑)」
そして、そんな喧噪も収まらない元旦、テレビ朝日系『朝まで生テレビ』で改憲議論に加わると、「(9条条文のとおりに)戦力を放棄すればいい」「非武装中立がいいと思う」と発言。ほかのパネラーからは「侵略されたらどうする」「無知を恥じろ」と集中砲火を浴び、ネット民の多くからは「反日」「非国民」の烙印を押されたのだ……。
「憲法9条をそらんじられる一般人なんて、そうはいない。だから、朝生では『まず、何が違憲なのか教えてください』って言ったんです。テレビだから、『多少は知ってます』と僕が中途半端なことを言っても意味がないですしね。そうしたら、田原(総一朗)さんに激ギレされるし(苦笑)、四方八方から怒られて……みんな、ズルいですよ。というのも、朝生のオファーが来たとき、『僕は高校も出てないし、小学生レベルのことを聞きますけど、それでもいいですか?』と、出演者全員に確認して、了解を貰ってたんです」
村本は確信犯的に“狂言回し”を演じることで、番組ではフルボッコに遭ったが、市井に生きるふつうの人々の多くは共感したようだ。実際、朝生の放映後、街中で初対面の人から「僕も憲法がわからない」「よく言ってくれた」と声を掛けられるという。
「朝生を観ている人のなかには、小中学生のときに憲法9条について習ったかもしれないけど忘れていたり、今さら聞けないという大人が山ほどいる。でも、改憲は国民投票だから、こうした人も1票を投じるわけです。それなのに『無知を恥じろ』と言われたら、人は恥を隠し、黙ってしまう。そして、知ったかぶりの大人が大量生産されてしまう……」
大量生産されるのは「知ったかぶり」だけではない。異論に聞く耳を持たず、論破することばかりに血道を上げ、自説を守ることに汲々とする学者や専門家は、空疎な議論を大量生産し続けている。改憲や基地問題が国民的議論に発展しないのも頷ける。
「朝生で語られてることって、大抵、聞いたことがある。でも、出演者は互いに『そうそう』と相槌ちを打ち、すでに知っていることの確認と、自分は正しいという安心感を得るために、延々となぞり合っている……強い違和感を覚えたし、そんな空気を崩すために、内側からクセ球を投げ込んだんです(笑)。朝生の出演者が普段やっている講演は、要は、自分のファンしか集まらない“単独ライブ”みたいなもの。そして、テレビといういろいろな客がいる“寄席”でも、相変わらず閉鎖的でマニアックな話をし続ける……。もっと広く議論を開放してほしい」
今この記事も読まれています
ハッシュタグ
おすすめ記事
この記者は、他にもこんな記事を書いています