“私的検問”で正当防衛も有罪、罰金30万に呆然

沖縄・東村ヘリパッド工事

 沖縄本島北部の東村高江の道路で男女2人に暴行し、全治3日のけがを負わせたとして、傷害罪に問われた同村の会社役員の依田啓示被告(44)に対し、那覇地裁(柴田寿宏裁判長)は9日、求刑通り罰金30万円の判決を言い渡した。この事件は、米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)の移設工事に反対する活動家が道路を「私的検問」していたことに起因する。

依田啓示被告

支援者集会で裁判について報告する依田啓示被告=9日、沖縄県浦添市

 被告は2016年9月、自身が経営する民宿に宿泊中の外国人観光客を連れて観光案内している途中、複数の反対派に車を止められ、男女と言い争いになった結果、手を出したが、「正当防衛だった」と主張していた。

 原告の主張を全面的に認めた判決に「呆然とした」という被告は支援者集会でこう話した。

 「理不尽でいわれのない容疑を掛けられ被告にされている自分自身は被害者。原因を作ったのは誰か、普通に考えればわかる」

 その上で被告は、活動家は高江で機動隊を引きずり回すなど過激な反対活動を繰り返していたことが明るみになり、「彼らの素性を伝えられただけで大きな収穫」と指摘。「裁判所の外では勝利したも同然。人々はSNSなどで非合法の暴力活動に気付いている」と前を向いた。

 その一方で、今回のケースにより「過激派に盾突くだけで『ヘイト』とレッテル貼りされてしまい、言論が委縮する」ことに危惧を示した。

 傍聴した男性は、「私的検問が許されたも同然ではないか」と憤り、反対派による威力業務妨害や道交法違反が問われなかったことを疑問視した。被告は控訴する方針を固めている。

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