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何気なく耳にしている言葉でも、正しい意味や使い方を知らいことが多くあります。その中でも「基調」という言葉にスポットを当てて紹介していきます。言葉の意味はもちろん、どんなシーンで使われるのか、似ている類語まで見ていきます。
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テレビなどを見ていても、「この部屋は白を基調として大変落ち着いた造りで」「黒を基調としたクラシカルなドレス」など、何かの見た目や状態を表現する時に「基調」という言葉を耳にします。 このように当たり前のように使われている言葉に限って、本来の意味ではなかったり、少しずれた意味で捉えていることも多くあります。ビジネスシーンではもちろんのこと、日常会話でも恥ずかしい思いをしないよう、言葉の正しい意味や使い方を身につけましょう。
「基調」は、ほとんどの方が間違いなく「きちょう」と正しい読み方ができます。基調という言葉自体は「名詞」であり単体で使われることが多いですが、新たな名詞と組み合わせて「基調講演」という造語も存在します。 ちなみに、「基調講演」の意味は基本方針について企業や政治家などが行う講演、またはキーノートスピーチのこととされています。
基調の読み方や新たな名詞をくっつけた造語があることが分かりましたが、改めて「基調」の意味について紹介します。
① 〘音〙 「 主調(しゆちよう) 」に同じ。 ② 作品・行動・思想などの根底を一貫して流れる基本的な考え方。 「作品の-をなすのは作者のヒューマニズムだ」 「 -演説」 ③ 絵画・装飾などで,基本として使われている色。 「黒を-とした服装」 ④ 〘経〙 大勢としての相場や経済情勢の基本的動向。
このように基調の意味として「考え方」「色」「経済」という大きく3種類の対象に使われるとされています。特によく耳にするのは冒頭でも紹介したように「色」として装飾状態などを表現する場合ではないでしょうか。 そして上でも挙げたように「基調講演」などで物事の基本的な思想を表す時や、さらに「景気が回復基調」のように経済状況を表す時にも使われます。
「基調」が様々なジャンルにおいて、ベースとなるものだということが分かりました。ところで、基調を英語でいうと何になるのでしょうか。
ずばり、「基調」を英語でいうと「Keynote(キーノート)」となります。直訳すれば物事の「キー(鍵)」となる「ノート(書き留めたもの)」となり、英語表現では演説や計画、行動や思想の要旨や政府などの基本方針の意味合いで使われます。 また音楽の「主音」という意味も持っています。「基調」という言葉自体には主音という意味はありませんが、社会を取囲むさまざまな音環境の総体という「基調音」という言葉が存在するなど、やはり言葉を使用する対象は共通しています。
「基調」の英語表記が「Keynote」になることが判明したところで、他に類義語が存在するのか見てみましょう。
モチーフは本来フランス語であり「motif」と表記します。モチーフは大まかに2つの意味を持っています。1つ目の意味は「何かを作るにあたっての動機や主題」であり、2つ目の意味は「メインとなる模様や飾り」となっています。 モチーフが何かアクションを起こす前の「動機」であるのに対し、基調は起こしたアクションの根底に「変わらず存在するもの」というイメージになっています。また決定的に違うのは服飾や芸術などの分野で「模様や柄」に対して使うのが「モチーフ」で、「色」に対して使うのが「基調」になります。
テーマの意味は「行動の基調となる考えや主題」だとされています。意味の中に「基調」が使われているので、決定的な意味の違いは無いと言えます。作り上げたものの「題材」や「主題」となっている事柄を「テーマ」と称しています。 世の中には「テーマパーク」「テーマソング」「テーマミュージック」「テーマ小説」のように、ジャンルとして確立されているテーマの造語が多くあります。
ベースは大きく3つの意味を持っています。1つめは物事の「もとになるもの」「基本や土台」となっています。「ウイスキーベースのカクテル」のように、それを作り上げる土台といった意味合いが強くあります。 2つ目は「根拠地や基地」となっており、軍事用語やキャンプ用語などで使用されます。3つ目は野球の「塁」のことで「3塁ベース」といった使い方をします。 最近ではビジネス用語として「ベース」の活用形で「正直ベース」という言葉もあります。本来は「実のところ」「本当のところ」と表現すべきですが、横文字化することで曖昧なニュアンスに包んでいるとも言えます。
話が逸れますがビジネスシーンにおいて重要視されることは「スピード」であったり、「マメさ」であったりと人それぞれに異なってきますが、根底としてあるのは「分かりやすく相手に伝えること」なのではないでしょうか。 上でご紹介した「正直ベース」や「営業マター」「消費者ドリブン」「アライアンス先の候補」「プライオリティ高め」など、挙げればキリがないほど複雑で意味が分かりにくい「カタカナビジネス用語」が存在します。 カタカナビジネス用語を使うことで「こなれ感が出る」「デキるビジネスマンを演出」という効果があると考えがちですが、まさにビジネスマン精神の基調である「分かりやすさ」が半減してしまう恐れがあるため要注意です。
基調と類似する言葉がいくつか存在することが分かりましたが、具体的に「基調」を日常会話などにおいて、どのように使うのが正解なのでしょうか。例文と合わせて見ていきましょう。
「基調」は、作品や装飾品などを紹介する際に、主体となっている「色」を挙げて表現するシーンで多く用いられています。 例文としては、「白を基調とした部屋に、黒を基調とした家具を取りそろえたモノトーンスタイル」であったり「選挙戦も終わり、都知事の装いが緑を基調としたものから青を基調としたものに変わった」など、直接目にしていなくても、その情景が思い浮かべられるような表現方法だと言えます。 また芸術作品と色の関係において、かの有名な画家「ピカソ」の「青の時代」と呼ばれる「青を基調」とした作品を集中して生み出した期間があります。「盲人の食事」「悲劇(海辺の貧しい家族)」といった作品で貧困や弱者を題材に取り、青で統一された画から陰鬱なイメージが受け取られます。 このように、基調とする「色」がモノ全体のイメージを決めるといっても過言ではありません。
「基調」と言う言葉の使い方の例として、「人類愛を基調とした作品」というフレーズを耳にしたことがあるでしょうか。絵画や書籍、音楽などにおいて基調とするテーマはさまざまですが、「人間愛」を基調とする作品も多く存在します。 特に有名なのがロシアの文豪「トルストイ」の残した「戦争と平和」や「アンナカレーニナ」という書籍です。著者トルストイ自身が非暴力主義者であり、作品に反映されています。また、彼の残した言葉に「確実に幸福な人となるただ一つの道は人を愛することだ」という人類愛をはっきりと語ったものがあります。
その人や組織、政府や会社などが持つ基本的な「考えや傾向」「思想」を表現する際に「基調」という言葉が使われます。すでに挙げたものと重複しますが「基調講演」または「基調演説」が代表的な例だと言えます。 その他にも「児童1人1人の個性を大事にすることを基調とした教育目標」「東京オリンピックに向けて、和を基調とするおもてなしが増える傾向にある」「洋風建築を基調とする外観」のようにさまざまなシーンで使うことができます。 特に講演や論文など、長い時間をかけて相手にメッセージを伝える場になると「基調とされている考え」をあらかじめはっきりさせておくことで、伝えたかったことが迷子にならずに済みます。
いかがでしたでしょうか。基調が持つ意味や、主体となる色などの見た目に限らず思想や考え、スタイルの根底にあるものを表す言葉であることが分かりました。類語で紹介した「モチーフ」「テーマ」「ベース」は、基調と意味を共有するものもあるので、シーンによっては言い換えが可能ですが、「似て非なるもの」としてニュアンスが変わってくる場合があるので注意必要です。 また難しいと敬遠していた文学作品や書物など、「基調」とされているテーマさえつかめれば、要点を理解することも可能だと言えます。逆に言えば「基調とするもの」がはっきりしていないと、伝えるべき意味やメッセージが伝わらないということです。ビジネスシーンにおいても、日常生活においても自分の「基調」となる信念が必要だと言えます。