「半分、青い」 第8回
第2週 「聞きたい!」
お墓参りと止まらない親子ゲンカ
律) 鈴愛! 大丈夫?
鈴愛) 何か、ふらっとなった。
律) めまいかな。
鈴愛) もう平気や。治った。
**********
律) じゃあな。
鈴愛) うん。
(道の先で振り返り、律を見る鈴愛)
(ニヤっと笑って3回笛を吹く鈴愛)
(振り向く律)
鈴愛) 律~!
律) 何だよ?
鈴愛) 呼んだだけや!
(笑って走り去る鈴愛)
**********
ここは、町で一番のお金持ち、
ブッチャー…あら失礼。
西園寺君の家です。
家の中で運動会ができる
かってほどの、広さです。
有志が集まって作っているのは、
商店街の秋祭りの飾り。
商店街のご婦人たちも、もちろん、
西園寺夫人が仕切っています。
富子) 皆さん、お茶が入りました。
さあどうぞ。
**********
(七並べをしているブッチャーと鈴愛たち)
(愛犬メルシーを抱いた、
ブッチャーの姉、麗子の手札)
追い詰められています。
麗子) パス2。
菜生) 私もうすぐあがりかも。
(メルシーを七並べの上に放り出す麗子)
麗子) ああ~っ! なんて事するの!?
メルシー!
ブッチャーはお姉ちゃんも、
性格はブッチャーでした。
**********
さて、今日皆さんが、
ここに集まったのは、
実は本当の理由がありました。
和子) お先に。
晴) どうやった?
和子) な~んか、異次元。
晴) 異次元?
和子) 悪なかったよ。シュワ~ッてして。
1980年、
「おしりだって洗ってほしい」の、
お尻洗浄器付き便器トイレが、
初めて発売されました。
**********
<楡野家>
仙吉) は?
晴) おじいちゃんのお尻に、
いいんやないかって。
(物音)
鈴愛) お父ちゃんうるさい!
宇太郎) 痔にな。
あれ、いいらしいんやと。
俺も最近ちょっと怪しいもんな。
仙吉) でも高いんやろ?
よう分からんし、使い方とか。
鈴愛) あっ!
(テレビに松田聖子)
鈴愛) ♪あ~私の恋は~
草太) うわ~やめて!
聖子ちゃんだけで聞かせて!
おねえうるさい!
鈴愛) ♪風に乗って走るわ~
あ~青い風~切って走れ
あの島へ~
仙吉) それよりな、みんなで、
お墓参りに行かへんか?
**********
<墓地>
鈴愛) おじいちゃん、
何持ってきたの? 弓矢?
草太) 釣り竿?
仙吉) ん? 大事なもんや。
**********
(墓石に水をかける宇太郎)
宇太郎) お花あげて。
(お墓に花をたてる鈴愛と草太)
(お墓に向かい、手を合わせる仙吉、
宇太郎、晴、鈴愛と草太)
(持ってきた包みを開ける仙吉)
鈴愛) あっ、鈴愛の糸電話!
仙吉) おばあちゃんに見せて
やろうと思ってな。
鈴愛) これで、
おじいちゃんとおばあちゃんと、
話をさせてやろうと思った。
仙吉) おお、聞いた。
ハハッ、ありがとな。
でも鈴愛、残念やけど、
三途の川はこの世にないんやわ。
鈴愛) あの世か?
仙吉) まあ…そんなとこやな。
鈴愛) そんな気はしとった。
仙吉) ハハハッ、しとったか。
ハハハハッ。
(お墓に糸電話を置き、手を合わせる仙吉)
**********
(草原にシートを敷き、
お弁当を食べている鈴愛たち)
鈴愛) これはな、音がきれいに聞こえる
ように、ナイロンの糸、律がした。
これはな、糸が絡まらんように糸巻き。
律がした。
仙吉) 何や、みんな律君か。
鈴愛) 違う! 鈴愛もいろいろやった!
いろいろが何かは、聞かんといて。
仙吉) 何か、これ見てると、
話せるような気がするな。
こっちかたのコップを、廉子さんが手
に持ってくれたら…話せるのになあ。
鈴愛) もうおばあちゃはおらんか。
話せんか。さみしいな…。
仙吉) そんな事ないぞ、鈴愛。
廉子さんは、ここにもおるし、
空にもおる。見守っとる。生きとる
わしらをな、空から見守っとる。
あいつは、生きてる時から、
そういうやつやった。
晴) いい風が吹くね。
(立ち上がり、糸電話の紙コップを
口にあてる仙吉)
仙吉) 廉子さ~ん。
宇太郎) 仙吉さ~ん。
仙吉) 何やっとる、お前は。アホか?
(笑い声)
仙吉) 廉子さ~ん!
草太) おばあちゃ~ん!
鈴愛) おばあちゃ~ん!
宇太郎) お母ちゃ~ん!
晴) お義母さ~ん!
仙吉) 廉子さ~ん、元気か~!?
鈴愛) おばあちゃ~ん!
宇太郎) 元気やよ~。
元気やよ~。元気やよ~。
仙吉) 廉子さ~ん!
鈴愛) おばあちゃ~ん!
仙吉) 廉子さ~ん!
**********
<楡野家>
鈴愛) し~っ…。
草太) し~っ。
(テレビの前でラジカセの
録音ボタンを押す鈴愛)
テレビ) ♪甘い時 はずむ心
一夜のきらめきに 揺れる
キャンドルがうるむ 瞳の中で
無邪気に
晴) 鈴愛! あんたね!
鈴愛) ふぎょぎょ! 信じられん!
草太) あ~そこ好きやったのに…。
晴) もんたなんてどうでもええ!
あんたまたお母ちゃんに黙っとったね!
今、岡田医院の貴美香先生が見えた。
仕事早く終わったとかで、
うちに夕ご飯食べに。
鈴愛) 毎度、ありがとうございます。
晴) ふざけとる場合か。
あんた、律君にゴミ箱投げつけたね。
回想)
龍之介) 人の名前とは思えん!
変な名前! スズメ、ネズミみてえ!
鈴愛) ネズミやない!
鈴愛) あれは、違う!
晴) 私、あんたに言っとるよね。
鈴愛にいっつも言っとる。
嘘つくなって。失敗はしかたない。
ほやけど嘘はあかん。
ちゃんと言いなさいって。隠すなって。
何で卑怯な事すんの?
ばれなかったらええの?
おかあちゃんにばれなかったら、律君
にゴミ箱投げつけてもええんか!?
鈴愛) 鈴愛は卑怯やない。
晴) い~や、あんたは卑怯だ。
テストの点数悪けりゃ見せないし、
律君が川に落ちたのも、
ゴミ箱投げつけたのも、
ばれなきゃええと思っとるんや!
あ~あ、もう鈴愛にはがっかりやわ!
鈴愛) 私も、お母ちゃんにはがっかりだ。
晴) は?
鈴愛) 何で、うちばっかり
こんなお母ちゃんなんや。
晴) はあ?
鈴愛) ほんだって、ほんだって…
「おかあさんて いいにおい」って
歌ったけど、「せんたくしてた
においでしょ」とか歌ったけど、
鈴愛はあの歌、全っ然ピンと来ん!
ほんだってうちのお母ちゃんは、全然
ええ匂いやない! 糠味噌の匂いか、
コロッケ揚げてる油の匂いや!
晴) コロッケはうちの看板メニューや!
糠味噌は、おばあちゃんから受け継
いだ大事な糠味噌で、あんたは、何
のおかげで食べとると思っとる!?
鈴愛) 和子おばちゃんはええ匂いがす
るし、宝石みたいなクッキーも出るし、
洋服だってきっとセンスがいいし、うち
は五平餅ばっかりでパッとしんし!
宇太郎) おいおい何事。
店まで聞こえるて。
晴) この子がまた嘘ついたんや。
鈴愛) 嘘はついてない!
鈴愛は知っとる。お母ちゃんが、
何で、パーマかけんか。
ゴアになってまうからや!
お母ちゃんはパーマかけたら、
マグマ大使のゴアにそっくりや!
宇太郎) ハハハハ…。
鈴愛) お母ちゃんは手が大きい!
めちゃくちゃ手がでかい!
ゴアと一緒や!
こうやってこうやってやってみい!
パーマかけて手、こうして挙げたら、
ゴアや! 地球を征服しに来た!
ゴア) 私の名はゴア。
晴) あんたね、
いい加減にとかんとぶつよ!
仙吉) 何何? どうしたどうした?
あら! 大変や! あらららら…鈴愛!
え? あらら…はいはいはい。
(鈴愛の涙を見て、ティッシュ
ペーパーを用意する仙吉)
晴) おじいちゃんも
甘やかさないで下さい!
仙吉) あらら…はいはいはい。
晴) 何で、律君に石投げたの?
鈴愛) 石やない。石はさすがに投げん。
晴) あ…ゴミ箱か。
何で、投げたの?
鈴愛) 律に投げたんやない。
ブッチャーに投げた。
当たると思わんかった。
当てるつもりはなかった。
晴) 何で投げたの?
鈴愛) 言いたない。
和子おばちゃんやったら分かってくれる。
晴) 何やって?
鈴愛) お母ちゃんは優しくない。
晴) そんなに和子さんがいいんやったら、
もう和子さんのとこの子になりなさい!
鈴愛) なるよ。
和子おばちゃんちの子になる!
宇太郎) 鈴愛。おい! 鈴愛!
(家を飛び出す鈴愛)
**********
(商店街を歩く鈴愛)
おばあちゃん、
鈴愛、どこ行けばいい?
いや~そんな所でおばあちゃんに
話しかけられても、
おばあちゃんも困っちゃうなあ…。
**********
ああもう、クソ可愛いぞ、鈴愛! 笛を吹い
て、名前を呼んどいて、呼んだだけ~って。
マグマ大使は子供が呼び出せるヒーロー。
鉄人28号はロボットだけど、マグマ大使は
ロケット人間、人間のヒーローだってとこ。
(って実はずっとロボットだと思ってた私)
その辺が、マグマ大使にこだわる理由かも。
マグマ大使をちゃんと観ていた記憶がない
ので、ゴアの映像を見て、和子さんのもの
まねのクオリティの高さ、晴がゴアに似て
いるという、鈴愛の指摘の的確さに笑った。
そして、家族をお墓参りに誘う仙吉じいち
ゃんのさりげない優しさ。三途の川はこの
世にはないと教えた上で、糸電話で廉子
さんに呼びかけるのがいい。こっそりおば
あちゃん役となって答える宇太郎もいい。
廉子さんは、ここにもおるし、
空にもおる。見守っとる。生きとる
わしらをな、空から見守っとる。
あいつは、生きてる時から、
そういうやつやった。
家族みんなで、大好きな人の名前を呼ぶ。
会いたいから、大好きだから、名前を呼び
たくなる。それが、冒頭のシーンや、2人が
互いの名を呼びあうシーンに重なってくる。
大事に至ってないし、想像の翼を広げれば、
子供達の気持ちを汲んで事件の話はしな
かったのだろう和子さん。客観的な立場で、
親としては知っておきたい気持ちも分かる
貴美香先生の口からゴミ箱事件を知る晴。
あるあるなこういう伝わり方が上手い。親
として知らないではいられない情報だしね。
鈴愛が事件の事を言わなかったのを、嘘を
ついたとみなす晴。黙っている事言わない
事と、嘘をつく事は違う。証人喚問と同じ。
嘘を言わない代わりに、真実も言わないと
いう選択。そう、鈴愛は嘘は言っていない。
親には親の立場があるし、今のように子供
に媚びる親は少ない時代。晴が怒るのは
当然。でも、鈴愛の気持ちも分かりすぎて
辛い。本心でもあるけれど、本心じゃない、
お母ちゃんへの不満、お母ちゃんが傷つく
言葉が止まらない鈴愛。しまったと思って
も口が止まらないんだよね。お母ちゃんを
傷つけたくなくて黙っていたのに、違う所
でいらない事を口走ってしまう切なさよ…。
やり過ぎ、言い過ぎだけど、それもリアル。
どっちの気持ちも分かり過ぎて、胸が痛い。
気持ちをうまく伝えられない、わかってもら
えない痛みを思い出して泣けてくるし、子
供にきつい言葉を言われる親の気持ちに
なっても泣けてくる。あ~大人になっててよ
かった…(なんじゃそりゃな感想ですがw)
それにしてもウォシュレットがあるなんて、
本当にお金持ちだったのね、ブッチャー!
笑顔でシュワ~って言う和子さんに萌え♪
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